10月1日夜、映画『パンケーキを毒見する』のスピンオフ企画「新政権を毒見する! どうする総選挙!」がオンラインにて緊急開催された。出演者は『パンケーキを毒見する』の内山雄人監督、同作の河村光庸プロデューサー、俳優の古舘寛治、政治経済アナリストの古賀茂明、立憲民主党の小川淳也、日本共産党の田村智子。
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古賀茂明、岸田新総裁は良い人だが「逆に言うと官僚に嫌われることはできないような人」
自民党総裁選で岸田新総裁が誕生するなど、政局が大きく揺れ動く中、映画『パンケーキを毒見する』のスピンオフ企画として、「新政権を毒見する!どうする総選挙!」をWEB配信番組「共感シアター」で緊急開催。菅義偉という人物に焦点を当てた同作から派生して新政権を新たに毒見し、来るべき衆院選のポイントについて語り合った。
新たな自民党総裁となった岸田文雄に関して、元経済産業省の官僚でもあるの古賀は「彼はホントに良い人。『聞く力』と言っていたがあれは嘘じゃなくて、よく聞いてくれるんだよね。あまり怒らないし。でも逆に言うと官僚に嫌われることはできないような人なんですね」と回答。
田村は「岸田さんが新総裁になった記者会見での言動からもうおかしいと思った。コロナ禍で国民が分断された、と言っているが、手に手を取って何とかしている人たちの姿がどう見えてるのか? もう任せておけないと思いました」と語り、自民党総裁選については「候補者のうち3人はアベ詣(もう)でをしたという、今回は自民党ってここまでダメな政党なのかと見せた総裁選だった」と語る。
小川淳也、岸田政権は「安倍麻生傀儡政権にしか思えない」
一方、小川は「岸田さんはハト派で経済政策も柔らかいなので期待したい部分もあるが、学術会議、森友問題への態度をみていると安倍麻生傀儡政権にしか思えない。第一、岸田さんの話って盛り上がらないでしょ、テンションが下がる。これがすべてを物語っている」とバッサリ。自民党については「菅さんの首をすげ変えても、“何が何でも権力を手放さないんだという自民党の執念”は見習うべき。僕らは民主党政権時に、任期8ヵ月残して早々に解散しちゃったんですよ。この執念は、四の五の言わずに学ぶべきだと思いました」と意外なことに自民党を見習うべきと存在と思ったことを明かし、「今回、岸田さんと河野さんで、明らかに世論の軍配は河野さんに上がっているんですが、自民党は大したもので日頃の言動とか行動を見て、その人物が総理総裁に値するかどうかをシビアに見ているんですね。今回は岸田さんを選んだというより、河野さんを排除したんでしょ。この国の為政者にしていいのかだめなのかという選球眼。これも私は野党が本当に政権を担うという気概があるのであれば、学ぶべきだいう風に思っています」と独自の見解を示した。
続けて「わずか100万人の党員お祭り(自民党総裁選)でこの国のリーダーが決まるかのような、メディアもそのようにとらえて盛り上げているおかしさ。本来は総選挙でこそ決まるべきことなのに、なぜ我々野党はこの土俵にあがれないのか? 考えなければいけない。現実に支持されてないことを考えなければならない」と自戒を込めて話した。
それに対し、古賀は「野党は卑下しすぎ」と反論。「野党の議員の方一人一人見ていてしっかりした方たくさんいらっしゃいます。自民党なんか人間性で見ても本当にとんでもないんじゃないかなと思う人もいますけどね。茂木、世耕なんて官僚からみたら最悪だ」と評価。自民党の強さを「見かけとかパフォーマンスで見せていく力は自民党が圧倒的に長けてる。スターを作るのは上手い。だから立憲民主党もそういう人をどんどん作っていったらいいじゃないですか。小川さん、あなたは副代表くらいになったほうがいい」と提案した。
『パンケーキを毒見する』の企画の仕掛け人である河村プロデューサーは、自身がプロデュースした『新聞記者』(19年)を引き合いに「『新聞記者』という映画を作っていた際に前例がなく、孤立無援になっていくんですよね。TVマスコミが全く反応してくれなかった。そこでどうやったらみんなが支持してくれるか考えたんですよね。つまり戦略ですね。どうしたら多くの人が支持してくれるのかを必死で考える。内容に忖度しないこともありますし、民主主義を守るんだという柱を持ってその覚悟と内容、戦略を考えるべきだと思う」と野党が自民党を上回るためには戦略が必要と分析した。
選挙の投票率が高い国のポイントとは?
さらに話題は、総選挙に。今回『パンケーキを毒見する』でナレーターを務めた古舘は「有権者の立場として言うと、今の政治は国民のせいでもあると思う」と日本の投票率の低さから現政権の国民の責任を指摘。
河村プロデューサーは『パンケーキを毒見する』の最後のシーンで他国と日本の成長をデータで比較することにこだわったことを明らかにし、「あそこを分かりやすく示すということは保守の人も自民党支持の人も考え直す、錯覚を正すきっかけになるのではないかと思う。比較させながら政策を(世間に)出していくっていうこれが一番大事じゃないですかと思うんです。つまりエンターテイメントですよね」と映画プロデューサーとして政治を分かりやすく伝える重要性を主張。
小川も投票率が重要だと考え、特に投票率が高い国には2種類あると説明して「『1つ目は投票義務化してる国』。もう1つは『幼いときから学校でいかに自分の人生と社会が関わってるかを教える国』。そこで育った子供たちは18歳になるともう息を吸うように水を飲むように投票に行く。こういうところから日本の政治社会を根底から作り変えていかないという問題意識を持ってます」と持論を展開。
田村は政策提言の際に個々の政策をどう伝えるのか、背後のビジョンを伝える重要性を指摘。非正規雇用や沖縄の辺野古基地の問題に対するビジョンを語った。
河村プロデューサーはそれらのビジョンを聞いた上で「沖縄の問題を取り上げる番組を作っても、ものすごく視聴率が低い。本土の人は自分の事として感じないから。だからTVは沖縄の問題を積極的にやらないんですよ。つまり、身近に自分で感じられること。もうちょっと聞いていて『まずいなあ』と思うこと、ピンとくるようなことを考えられないかなと思うんです。例えば、オリンピックなど非常に身近な問題を突っ込むとか。野党はもっと考えた方が良いと思います』と身近な問題できっかけを持たせることを戦略に挙げた。さらに、マスコミは国民と政治を切り離したと指摘し、トランプ元大統領や小池百合子都知事などメディアの使い方が上手い政治家を挙げ、マスコミを使って分かりやすく伝えることの重要性を強調した。
河村P「もっと政治はエンターテインメントにみえていい」
番組内で内山監督は、投票率を上げるべく、声が届かない人に積極的に声をかける大切さを指摘して「この番組を今見ている方など意識のある方は選挙に行くので、選挙に行かない5割をどうやって(選挙に)行かせるか、危機感を届かせる方法としてどうしたら良いんだろうと考えたとき、ネットを使う方法がないだろうかと思います」と若者にアピールするためにネットの重要性を訴えた。
古賀は「僕はワクワク感を作ることが重要だと思うんですよ。今回の総裁選でもなんでこんなに報道されるかというと河野太郎氏が反旗を翻して、いじめられている石破氏がそれを応援してそれで人気者の小泉進次郎氏が乗っかった。その3人の連合体に対して、安倍・麻生氏の息がかかった岸田氏とか高市氏とか、色んな面々が出てきて騒ぐからなんとなく面白いですよね。一番マスコミが喜ぶのはこういう戦いなんですよ。ケンカになればなるほど面白い。例えば小泉純一郎さんのときに刺客を立てるとかあったじゃないですか。ああいうのを僕はやってほしくて。例えば山本太郎さんどこの選挙区から出馬するかって今、色々やってるんだけど、僕は単純に例えば甘利氏のところや岸田氏のとこに立ってほしい。安倍氏のところでも面白いと思う。なんかちょっと少し不真面目な意見で申し訳ないですけどそれぐらい劇場を作ることが大事じゃないかな」と“ワクワク”するような状況を作り、マスコミに取り上げられる重要性を説いた。
河村プロデューサーも「そうですね。それこそがエンターテイメント!」と賛同し、古舘が『パンケーキを毒見する』に出演したように、俳優が政治色の強い作品に出ることが政治のエンターテイメント化につながると主張。「信念を持つことは基本。それをどう表現するか、表現の仕方を変える。身近なことを比較しながら有権者の身になって伝える。身近な話題として『政策』ってこと言葉は禁句かもしれない。共産党なんかは誰も同じ口調でしゃべる、これも良くない。重要なのはどれだけ政治的に感じてしまうことを避けるか。やはりワクワク感。本作は政治バラエティといって憚らない映画ですが、もっと政治はエンターテインメントにみえていい」と語った。
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