“現実”はホラー映画より恐ろしい…！“ゾンビ映画”の巨匠が描く戦慄の事実に震える

#アミューズメント・パーク #ジョージ・A・ロメロ #ゾンビ #ホラー #リンカーン・マーゼル #教育映画 #老人 #高齢者虐待 2021.07.14

リアル過ぎて依頼者の教会も封印！老人への酷すぎる仕打ちの数々

1978年に『ゾンビ』を発表し全世界を恐怖のどん底へ叩き落し、以降、“ゾンビ映画”というジャンルを確立した故ジョージ・A・ロメロ監督。73年に手掛けたものの、未発表となっていた映画『アミューズメント・パーク』が4Kレストアを施され、10月15日より公開される。この度、予告編が解禁された。

・これが教育映画!? 容赦なく老人をぶちのめす描写がリアルすぎてお蔵入りに

本作は、もともと年齢差別や高齢者虐待について世間の認識を高めるために、ルーテル教会がロメロに依頼した企画だった。出来上がった作品は、老人の悲惨な状況を容赦なく映しており、当時のアメリカ社会をあまりにもストレートに描いたものだった。そのため依頼者は慄き、封印されてしまったという。

予告編は、「外は楽しくない」と落胆するボロボロの老人（リンカーン・マーゼル）に対し、「自分で確かめる」と言う綺麗な装いの老人（リンカーン・マーゼル）が、意気揚々と外出するシーンから始まる。場所は若者たちで賑わう「アミューズメント・パーク」。老人は混雑の中での移動は困難なため邪魔者扱いされ、スリにも遭う。人々は老人に厳しい。そして「誰もが行きつく先…」というテロップが表示され、老人は「何も…何も…何もないんだ」と嘆く。老人の後ろ姿の肩の落ち方が凄まじく、見ているこちらも居たたまれなくなったところに最後、「老人は大切に。」という言葉で締めくくられる。

エンタテインメント性は皆無。ロメロがある意味での教育映画を撮っていたという希少性。ホラー映画ではないが、ロメロの視点で現実を映し出した貴重な作品であり、半世紀の間、封印されていた幻の作品である本作を劇場で確認してみたい。

『アミューズメント・パーク』は一般公開に先駆けて、新宿シネマカリテで開催中の映画祭「カリテ・ファンタスティック！シネマ・コレクション®2021」内にて、ロメロの命日である7月16日に先行上映される。