部活中の「衝突」によって足を骨折した高校生2人が、ギブスと松葉杖とともに過ごす日々を、執拗なまでに、そして親密に見つめていく——。怪我をきっかけに心を通わせる女子高生2人の姿を描いた青春映画『2人のギブス』の公開が決まった。
・坂本龍一の息子・空音央監督の長編劇映画デビュー作品、異例のヒットで日本凱旋!
青春映画であると同時に、「身体の映画」でもある
(C)小さな映画
本作は、語られるよりも先に、「身体」が語りはじめる。
部活中の「衝突」によって足を骨折した高校生愛花(古見陽香里)と詩織(古林南)。だが、カメラは彼女たちが怪我をした『衝突』の瞬間を映さない。
物語は時間が少し経過した、「その後の日々」から始まり、そこに存在する二人の静かな呼吸のような時間を見つめている。
教室、帰り道、部室へと続く階段。ふたりの移動は遅く、不自由でぎこちない。だがその不自由さこそが、この映画の“語り口”だ。
ギブスとは、外傷を保護し、動きを制限する医療器具であると同時に、「かつて痛みがあった」という事実を可視化するものでもある。包帯の上から固められた石膏に覆われた足は、言葉にならない違和や衝突を、静かに代弁するものにもなりうる。
本作は、ギブスを単なる小道具としてではなく、「語られない心情のメタファー」として画面の中に昇華させていく。
やがてふたりは、かつての衝突を“再現”しようとする。それは過去をなぞるためではない。言葉では届かない何かを、動きによってたどろうとするためだ。そのぎこちなさの中に、一度きりの出来事の重みが、じわりと浮かび上がってくる。
第25回TAMA NEW WAVE「ある視点」にて上映され、高い評価を得た本作は、ある夏の日に監督の日高虎太郎が駅で見かけた松葉杖をついた女子高生二人──その光景から生まれたという。
日高監督は本作について、「再現の不可能性」への希求から構想したと語っている。語りなおすことのできない出来事、そこにある微細な“ずれ”、そして、それでもなお相手と向き合おうとする過程を、できるかぎり誠実に映し出したい──その静かな意志が、この作品の根底に流れている。
『2人のギブス』は、青春映画であると同時に、「身体の映画」でもある。言葉にしづらい感情、不意に訪れる孤独や嫉妬、共有されない痛み、隣にいることの難しさと尊さ。そうした感情を、視覚と聴覚を通じて観客の“感覚”に訴えかける。
そして、この“感覚”を体現したふたりの俳優、古見陽香里と古林南の演技にも注目だ。
以下、監督とキャストのコメント全文。
■日高虎太郎(監督)
2年前の夏、下北沢の駅近くでギブスを嵌め、松葉杖をついた女子高生2人組を目撃した私の経験からこの作品は出発した。
互いに同時的に怪我をした2人(愛花と詩織)が、その怪我をきっかけにバスケットボール部員として不能になり、それまでの部内での地位、当人の実力が2人の間では無効となる。この映画は接触事故が起きた瞬間、ましてや、それ以前の愛花、詩織の女子高生として、バスケットボール部員としての生活に対してキャメラが捉えることなく、怪我をしてから、さらに時間が経過した2人から物語は始まる。
そして、このキャメラで捉えなかった2人の怪我の原因となった衝突を愛花と詩織が映画内で再現しようとする様を出来る限りの誠実さを持ってキャメラで捉えることによって生み出されるものに私は強く希求したいと思った。
松葉杖での生活を送るきっかけとなったあの衝突、愛花が作中で形容する『爆発』は一回性のもので、その再現の不可能性というものを描き、決して対等にはなれない2人。それゆえに別個人として互いを発見していく過程を写せたらという想いで作品の製作に着手した。
■古見陽香里(池浦愛花役)
池浦愛花を演じております古見陽香里です。今回、愛花役として本作品に出演させていただけたこと、たくさんの方々に感謝致します。
高校時代の記憶を思い返しながら、照らし合わせながら、大切に撮影に挑ませて頂きました。数年ぶりに“⻘春”が帰ってきた様な気がしてとても幸せな撮影期間でした!
最後に。私1人だけではなくキャストやスタッフの皆様、監督と創り上げた“愛花”を温かく見守っていただけたら嬉しいです!
■古林南(伊坂詩織役)
初めて脚本に目を通したとき、卒業アルバムを開くような懐かしい気持ちになりました。
人に対して抱く感情の中には、「好き」「嫌い」みたいにはっきりと断言できないことばかりです。そんな人と人の間にある“何か”を真っ直ぐに見つめた物語です。
不器用で不完全な等身大の⻘春の中で、誰かが誰かを想う視線を追うように《詩織》を演じました。
『2人のギブス』は2025年8月30日より公開。
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