現代と60年代、2つの時代を行き来する美しくメロディアスな悪夢

今最も新作を待たれる監督のひとり『ベイビー・ドライバー』(17年)のエドガー・ライト監督4年ぶりの最新作『ラストナイト・イン・ソーホー』が、12月10日より全国で公開中だ。それに合わせてライト監督が音楽について語る特別映像が公開された。

・『ラストナイト・イン・ソーホー』エドガー・ライト監督インタビュー

本作品の注目のキャストには、『ジョジョ・ラビット』(19年)で脚光を集め、M・ナイト・シャマラン監督最新作『オールド』(19年)にも出演した新鋭トーマシン・マッケンジー、そしてNETFLIXオリジナルシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』でゴールデングローブ賞ミニシリーズ/テレビムービー部門の主演女優賞を受賞した最注目の若手女優アニャ・テイラー=ジョイが名を連ねる。

トーマシンとアニャは、ロンドンの異なる時代に存在する2人の若い女性を演じる。彼女たちはある恐ろしい出来事によって、それぞれが抱く“夢”と“恐怖”がシンクロしていく。同じ場所で異なる時代を生きる2人が出会ったとき、果たして彼女たちに何が起きるのか。

ホラーの帝王スティーヴン・キングは「捻りの効いたタイムトラベル。この作品は特別だ」とTwitterで投稿。その他、『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督は「とても素晴らしくてスリリング」、『ザ・スーサイド・スクワッド』(21年)のジェームズ・ガン監督は「エドガー・ライトの手腕、経歴、キャスティング含め、最高の一作」、『クワイエット・プレイス』(18年)のジョン・クラシンスキー監督は「この美しくメロディアスな悪夢は、大好きなジャンルへのダブレターだ」と絶賛している。

今回公開されたのは、前作『ベイビー・ドライバー』でその印象をさらに強いものにした、エドガー・ライト監督の音楽へのこだわりと愛情が垣間見える特別映像。「若い頃は60年代の音楽にハマってた。両親のレコードを聴いてね。音楽はタイムマシンのように当時へと誘ってくれる」と語るように、劇中では冒頭から60年代の楽曲が次々と流れる。

レコードが至るところで登場し、周囲に馴染めず一人きりのエロイーズ(トーマシン)のヘッドホンから漏れ聞こえたり、ダンスや歌唱シーンはもちろん、それ以外のシーンでも音楽がストーリーや登場人物の心情に寄り添っているのもポイント。

「60年代の女性シンガーを多用したかった。ダスティ・スプリングフィールド、サンディ・ショウ、ペトゥラ・クラーク、シラ・ブラック……彼女たちの曲はメロディアスでそれでいて少しダークなんだ」

60年代のソーホーで歌手を夢見るサンディ役を演じたアニャは、「エドガーは音楽と映画が大好きで周りの人に刺激を与えるの。音楽が時代や場所を定める。手を引いてその世界を経験させてくれる感じね」と振り返る。共同脚本のクリスティ・ウィルソン=ケアンズはライトが集めた音楽を聴きながら脚本を執筆、さらにキャストたちには脚本を読む時用のプレイリストを作成した(!)という本作品における音楽と脚本の熱く密接なつながりを感じずにはいられないエピソードも。

そんなこだわりの詰まった楽曲に乗せて映画が進むにつれ、徐々に2つの時代も溶け合うように感じるはず。予想だにしなかったストーリー展開、輝きを放つキャスト、ロンドンの街並み、ファッション、そして音楽に身を任せてこの魅惑的な、めくるめく“夢”の世界に没入してほしい。

『ラストナイト・イン・ソーホー』は12月10日より全国で公開中。

INTERVIEW