『サムジンカンパニー1995』コ・アソン インタビュー

地位や学歴なんて関係ない! 高卒OLたちの逆転サクセスストーリー

#コ・アソン#サムジンカンパニー1995#韓国#韓流

コ・アソン

押し寄せる予想外の展開! 登場するキャラクター全員が魅力的

『サムジンカンパニー1995』
2021年7月9日より全国順次公開
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韓国の大企業を舞台にした高卒OLたちの逆転サクセスストーリー『サムジンカンパニー1995』が7月9日より公開される。

1995年、ソウル。大企業「サムジン電子」に勤める高卒の女性ヒラ社員たちは実務能力は完璧ながら、仕事はお茶くみや書類整理など、大卒社員のサポートばかり。だが会社の新たな方針で、TOEIC600点を超えたら「代理」という肩書を与えられることに。キャリアアップを夢見て英語の勉強に勤しむ社員のひとり、ジャヨンはある日、会社の工場から汚染水が川に流出しているのを目撃する。その証拠を隠蔽しようとする会社の不正に気が付いたジャヨンは同期のユナ&ボラムと力を合わせ、解雇の危険も顧みず、真相解明に向けて奔走する。

日本の大ヒットドラマ『ショムニ』を彷彿とさせる、女性社員たちの痛快な逆転劇は、90年代韓国の学歴社会を反映しており、日本で働く私たちにも響くメッセージを投げかける。ポン・ジュノ監督作でブレイク、ドラマ『深夜食堂』にも出演し、心優しく最後まであきらめない主人公、ジャヨンを演じたコ・アソンにインタビューした。

社内不正に立ち上がったのは雑用係の高卒社員たち!

──まず本作の脚本を読んだときの感想を教えてください。

アソン:最初は可愛いらしくて元気な映画だと思っていましたが、物語が進めば進むほど、予想外の展開がありました。主人公であるイ・ジャヨンがある事件に介入していくと自分も真剣になったり、胸がいっぱいになったりと、作品の流れに沿って同じように感情が変わって、初めて読んだ時からイ・ジャヨンという役に入り込んで読むことができました。

サムジンカンパニー1995

──ジャヨンの役作りをする上で、イ・ジョンピル監督とはどのような話をしましたか?

アソン:監督の話で最も記憶に残っていることがあります。それは撮影前に「1にはしないでほしい」と言われたことです。この“1”というのは、簡単に演じないでくれということなのか、1パターンではない色々な袖幅を持った人物を演じてほしいということなのか、あるいはイ・ジャヨンがただの優しい人だけであってほしくないということなのか、モヤモヤして撮影をするたびにその監督の言葉を思い出しました。

──魅力的な女性キャラクターがたくさん登場しますし、多くの女性が元気をもらえる映画だなと思いました。出演オファーを受けた時、役のどの部分に魅力を感じられたのでしょうか?

アソン:プロデューサーが最初にこの映画について簡単に説明してくれた時、“90年代の女性たちが戦う話”と言っていました。ジャヨンという私の役だけでなく、登場するキャラクター全員が魅力的だと思います。私は観終わってどこか元気をもらえて、一日を誠実に過ごせる映画が好きなのですが、今回の撮影ではそんな映画になればと思って、ポジティブな気持ちをたくさん込めました。

──本作の中で好きなシーンや印象に残っている台詞があったら教えてください。

アソン:好きなシーンは本当に多いのですが、最初に登場する出勤シーンを撮影した時はとても楽しかったです。ソウルの乙支路(ウルチロ)や忠武路(チュンムロ)辺りというのは、今でも90年代の姿が残っている街ですし、私もまた幼い頃のその風景を覚えています。たくさんの人を率いてその街を練り歩く時の嬉しさ、そして同時に「あの時代、ここには本当にこんな風に歩いていた人がいたんだろうな」と思って胸が熱くなりました。
またファッションについても、個人的にレトロスタイルが好きなので、90年代を再現したセットに入って、当時の服を身にまとうことがとても幸せでした。一番好きなセリフは、なんといってもジャヨンの「I can do it, you can do it, we can do it」です!

──ジャヨンは、会社で男性社員のサポートなど雑用ばかり言いつけられますが、一方でパソコンや書類作成などを完璧にこなすスキルを持っています。もしご自身が俳優ではなく会社に勤めているとして、こんな業務だったら私は誰よりもうまくできる、と思うスキルはありますか?
サムジンカンパニー1995

アソン:劇中、ジャヨンの特技がコーヒーを淹れることですが、私も実際にコーヒーを淹れるのは上手ですよ!

──最近ハマっていることやマイブームは何ですか?

アソン:料理をするようになりました。本当に一日中キッチンにいたりもします。

──日本の韓国映画ファンにとっては、2006年に公開され大ヒットしたポン・ジュノ監督の『グエムル-漢江の怪物-』でのヒョンソ役が印象に残っている人も多いと思います。公開から今年で15年となりますが、改めて俳優というお仕事の魅力はなんでしょうか?

韓国での製作発表時のショット/コ・アソン、イ・ソム、パク・ヘス、イ・ジョンピル

アソン:この仕事の魅力は、様々な俳優さんと一緒に演技ができることだと思います。そのおかげで常に緊張を保ち、新たなエネルギーを作り出すことができます。私はソン・ガンホさんと『グエムル』と『スノーピアサー』で2度共演をしました。2つの作品の間は約7年ありましたが、作品によってまったく異なる演技のアプローチをするソン・ガンホさんの姿を見て驚き、心に戦慄が走った経験があります。ポン・ジュノ監督も同じです。刻々と変奏していく映画人だと思いました。
また私は15歳の時に『グエムル』のプロモーションで初めて日本に行ったのですが、その時に渋谷の巨大なスクランブル交差点に圧倒されたんです。そしてその後10年ぶりにドラマ『深夜食堂』の撮影でまた渋谷に行ったのですが、幼い頃は巨大だと思っていた渋谷の交差点が、小さく見えたんです! 学校の校庭が卒業してから小さく見えるのと同じ感覚とでも言いますか……東京で歳月の流れを感じた経験でした。

コ・アソン
コ・アソン

1992年8月10日生まれ。2004年からTVドラマで子役として俳優活動をスタートし、ポン・ジュノ監督作『グエムル-漢江の怪物-』(06年)で一躍有名に。同じくポン・ジュノ監督作『スノーピアサー』(13年)や『ビューティー・インサイド』(15年)にも出演するなど、着実に実力派俳優の道を歩んでいる。その他の主な出演作に『ザ・キング』(17年)、『戦場のメロディ』(15年)、『正しい日 間違えた日』(15年)、『オフィス 檻の中の群狼』(15年)、『優しい嘘』(14年)、『冬の小鳥』(09年)、『楽しき人生』(07年)など。