『また、あなたとブッククラブで』ビル・ホルダーマン監督×ジェーン・フォンダ インタビュー

名女優たちが官能的小説に感化!? 70億円ヒット作について監督&女優が語った

#ビル・ホルダーマン#ジェーン・フォンダ#ハリウッド#フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ#また、あなたとブッククラブで

ジェーン・フォンダ

彼女は常に性に奔放。ちょっとしたスキャンダルを与えるのを楽しんでいる

『また、あなたとブッククラブで』
2020年12月18日より全国順次公開中
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ダイアン・キートン、ジェーン・フォンダ、キャンディス・バーゲン、メアリー・スティーンバージェン。撮影時の実年齢平均74歳、全員がアカデミー賞かゴールデン・グローブ賞受賞歴ありという豪華すぎる名女優4人が初共演し、北米で興収70億円の大ヒットを記録した話題作が12月18日より公開となる。

40年連れ添った夫を亡くしたダイアン、独身を貫き複数の男性との関係を楽しむビビアン、離婚の痛手から長年立ち直れないシャロン、夫との結婚生活の危機に直面しているキャロル。それぞれ都会的で自立した人生を謳歌してきた4人は、定期的に開催される「ブッククラブ」で、本と共に食事やおしゃべりを楽しみ親交を深めてきた。そんなある日、ビビアンが世界的ベストセラー官能小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」をお題に選ぶ。始めは難色を示した3人も、読み進めるうちにその刺激的な内容に徐々に感化されていく。

本作を監督したビル・ホルダーマンと、ビビアンを演じたジェーン・フォンダに話を聞いた。

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──本作を監督することになった経緯を教えてください。

監督:変かもしれないけど、誰かにやらせたくなかったから、自分で監督することにしたんです。監督になる夢をずっと持っていて「自分でやらなきゃ気がすまない」というわけでも、8歳の子どもがビデオカメラを手に走り回って「映画監督になりたい!」と思っていたわけでもなかった。失敗しても自分の失敗であってほしいし、自分の決断であってほしい、という感じでした。

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──もともと「監督」という立場に興味はなかった?

監督:これまでは何かアイデアやビジョンを持っていても、自分のプロジェクト(映画)ではないので、それを実行できないことにイライラしていたかもしれません。今回は共同で監督をしたいと思う人がいなかったので、自分一人で監督するという選択肢しかなかったんです。

また、あなたとブッククラブで

──あなたが演じたビビアンはどんな女性ですか?

フォンダ:ビビアンはトラブルメーカーで、いつも鍋をかき回している人でもある。彼女は大胆だけど実は自分には正直じゃないわね。

──そんなビビアンがなぜブッククラブのお題に、ベストセラー官能小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を選んだのだと思いますか?

フォンダ:女友だちにセックスのことを考えさせたいからよ。なぜなら彼女は、友人たちがこの本を読み始めてスイッチが入ることを知っていたから。でもこの本はビビアン自身に大きな変化はもたらさない。なぜって彼女は常に性に奔放だから。友人たちにちょっとしたスキャンダルを与えるのを楽しんでいるんです。セックスについて諦めてほしくないと願っているのね。でも物語の最後の最後で、ビビアンの考えを変えてくれるのは友人たち。彼女たちはビビアンを鼓舞して、笑わせてくれるの。
私が演じるビビアンが心配しているのは、友人たちが「本当は諦める準備ができていないのに、諦めてしまっているのではないか」ということ。だから私の役割は、彼女たちが長い間避けてきたことについて考えさせることなのよね。

「もう終わり」と決めた時だけが終わり

──本作で最も気に入っているところを教えてください。

フォンダ:私たちの文化は、ある時点でセックスをやめることを前提にしています。だからこそ子どもたちは、実は両親が性的にアクティブであり続けていると知ったとき、とてもショックを受けるの。だからこの映画の中で私が気に入っているのは、ダイアン(・キートン)の娘が彼女をどう扱うかということ。彼女はパイロットのミッチェル(アンディ・ガルシア)にときめいているけれど、娘から見ればセックスから引退した老人でしかない。実際に起きていることと、社会や子供たちの認識との間にあるギャップは、年齢が原因であることがほとんどです。私はもう80歳だし、私生活でもそうだけど、「もう終わり」と決めた時だけが終わりだと思っています。それが必ずしも恋愛にまつわることでなくてもいい。とにかく何事にも好奇心を持ち続けること、インスピレーションを受け続けること、人生に関わり続けること、そして変化を起こそうとすること。すべては私たち次第なのです。

ジェーン・フォンダ

──名女優3人との共演はいかがでしたか? 意外にも、初共演と伺いました。

フォンダ:ええ、私はこれまで3人と仕事をしたことがなかった。でも本作をきっかけに、全員で連絡を取り合うようになったわ。4人の関係を育んでいきたいと思っているの。キャンディス(・バーゲン)のことは彼女が17歳の時から表面的には知っている。当時のボーイフレンドが彼女に会う機会を作ってくれたんだけど、彼女を見た時は気絶しそうになったわ。美人で賢くて面白かったから。ダイアン(・キートン)については、接点はなかったけれどとても尊敬と興味を持っていた。メアリー(・スティーンバージェン)は私にとって、まさに完璧な人。彼女の心はサウンドステージのように大きく、とても寛大で多面的なの。

ダイアン・キートン

『また、あなたとブッククラブで』撮影中のビル・ホルダーマン監督(左)とアンディ・ガルシア(中央)、ダイアン・キートン(右)

──本作で観客に伝えたかったこととは?

監督:今の社会やハリウッドでは年齢による差別がはびこっていて、ある年齢を迎えると自分の存在意義は終わったと考えるようになる。社会の認識なんて気にする必要はない、克服すべき唯一の障害は自分の考えだけ!ということです。

フォンダ:この映画は、年を取ってセックスからかけ離れてしまった人々に、罪悪感や羞恥心を持たせるためのものではないわ。もちろん、誰も人生の後半で性的であり続ける必要もないし、それを決めるのは自分次第よ。

ビル・ホルダーマン
ビル・ホルダーマン
Bill Holderman

1977年4月6日、アメリカ、イリノイ州出身。映画プロデューサー、脚本家。ノースウェスタン大学を卒業し、ロバート・レッドフォードのワイルドウッド・エンタープライズに 14年間勤務。その間に『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』(13年)や『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14年)など多様な作品を手掛けた。プロデューサーとしての主な作品は『声をかくす人』(11年)、『ランナウェイ 逃亡者』(12年)、『さらば愛しきアウトロー』(18年)など。脚本家としての主な作品は『ロング・トレイル!』(15年)などがある。本作が長編映画監督デビュー作となる。

ジェーン・フォンダ
ジェーン・フォンダ
Jane Fonda

1937年12月21日、アメリカ、ニューヨーク出身。『のっぽ物語』(60年)で映画デビュー。『ひとりぼっちの青春』(69年)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、『コールガール』(71年)と『帰郷』(78年)で同賞を受賞。07年にはカンヌ国際映画祭より名誉パルム・ドールを授与されている。その他の主な出演作に、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『ジュリア』(77年)、『チャイナ・シンドローム』(79年)、『モーニングアフター』(86年)、『黄昏』(81年)、『アイリスへの手紙』(89年)、『大統領の執事の涙』(13年)、『パパが遺した物語』(15年)、『グランドフィナーレ』(15年)、『夜が明けるまで』(17年)などがある。