『悪人伝』マ・ドンソク インタビュー

圧巻の全身タトゥーで極悪非道なヤクザを怪演!

#マ・ドンソク

私の役は「悪役」。そのことを強く意識して示す必要がありました

凶暴なヤクザと荒くれ者の刑事、敵意むき出しの二人が共闘して、狡猾な殺人鬼を追い詰める姿を描いた韓国映画『悪人伝』。本作は韓国にてバイオレンス・アクションとしては異例の大ヒットを記録、シルヴェスター・スタローン制作でハリウッドリメイクも決定した話題作だ。

主演は『新感染 ファイナル・エクスプレス』で一躍注目を浴びたマ・ドンソクで、全身タトゥー姿でヤクザの組長チャン・ドンス役を猛々しく演じている。ヤクザ、刑事、殺人鬼が三者三様のアクションを繰り広げる壮絶なバトルシーンも見どころだ。屈強なボディで見るからに極悪そうなヤクザを演じたマ・ドンソクが、撮影や役作りについて語った。

──本作へ出演した決め手は?

ドンソク:監督自ら手がけた脚本を読んで、すっかり夢中になってしまいました。ヤクザと刑事が一緒になって殺人犯を追いかけるというコンセプトがまず面白いですしね。バイオレンス映画に出たいと思っていたタイミングだったというのもあります。

──ご自身が演じたキャラクターは?

ドンソク:地域最大の暴力団を牛耳っているチャン・ドンスという男です。彼はある夜、突然何者かに襲撃されてしまいます。その犯人が連続殺人犯であることを知った彼は、殺人課の刑事チョン・テソクと手を組み犯人を追いかけます。ただ暴力的な男ではなく、刑事のようにデータを集め、推理を駆使して犯人を追い詰める。一般的なギャングのボスとはまるで違う一面を見せます。今まで演じてきた中でも最も個性的なキャラクターといえるでしょう。

──役作りや準備で意識した点はありますか?

ドンソク:私のキャラクターは、キム・ムヨルさん演ずる刑事と多くの時間とシーンを共有しています。2人は対立することもありますが、相性は悪くない。ただ根本的には相容れない皮肉な関係なので、その点については監督と何度も話し合いました。例えば対立する組織とのやり取りで、私のキャラクターがとった行動が観客にとって非常に残虐に映るかもしれない懸念がありました。それでも本来、私の役は「悪役」です。そのことを強く意識し示す必要があると臨みました。

──共演者の方々との仕事をいかがでしたか?

ドンソク::キム・ムヨルはまるで流れる水のように演技をする俳優です。自分の役を完璧に把握した上で、同じ画面に映る共演者たちを自然に手助けしようと動いていました。殺人鬼役のキム・ソンギュとは『犯罪都市』で共演していますが、彼の演技に深く感銘を受けました。出演シーンはそれほど多くありませんでしたが、やるべきことを完璧にこなしていました。

──監督との仕事はいかがでしたか?

ドンソク:イ・ウォンテ監督とは、実は長い付き合いなんです。いつか一緒に仕事をしようと話していた中で、彼がこの脚本を渡してくれました。彼の人柄はもちろん、脚本もとても良く書けています。監督としても何をすべきか、つまりどういう場面にどういう映像やセリフが必要か、どう役者を動かすべきか、すべてきちんと理解していました。一緒に仕事できてとても楽しかったです。

──最も印象に残っているシーンはどこですか?

ドンソク:カーチェイスのシーンですね。公道でのカーチェイスを撮影するのはとても大変でしたし、スタントチームも撮影チームも特に苦労した現場だったと思います。でも、その甲斐あって出来上がりは素晴らしいものでした。

──観客に一言メッセージをお願いします。

ドンソク:バイオレンスもありますが、とても力強くスリリングな作品です。楽しんでください。

マ・ドンソク
マ・ドンソク

1971年3月1日生まれ。韓国出身。少年時代に家族とともにアメリカへ移住。ボディビルダーやフィットネス・トレーナーとして活動後、韓国へ帰国し本格的に俳優業を始めた。2013年『隣人-The Neighbors』で百想芸術大賞映画部門の助演男優賞を受賞。日本を始め世界中で大ヒットとなった『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16年)などで確固たる地位を築き、『犯罪都市』(17年)、『無双の鉄拳』(18年)などに主演作。今後の待機作に『白頭山(原題)』(19年)、『始動(原題)』(19年)、ハリウッド進出を果たしたとなるマーベル・シネマティック・ユニバース『ETERNALS(原題)』(20年)がある。