『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』マシュー・マコノヒー インタビュー

「アメリカはまだ再建中!」オスカー俳優が語る改革者

#マシュー・マコノヒー

現代にも通じる、革命を起こした男について描いた物語

今から約150年前のアメリカに実在したヒーロー、ニュートン・ナイト。南北戦争が激化するなか、白人と黒人を率いて南軍に立ち向かった男だ

真の自由を求め、貧しい白人の脱走兵と農民たち、逃亡した黒人奴隷約500人で結成された反乱軍を率い、100万人に向かっていった男の姿を描いた映画『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』で主人公を演じているのはオスカー俳優のマシュー・マコノヒー。現在公開中の本作についてマコノヒーに語ってもらった。

──脚本を読んだ感想をお聞かせ下さい。

『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』撮影中の様子

マコノヒー:ストーリーそのものに意志があって生きているように感じたんだ。南北戦争が題材かどうかは関係なく、革命を起こした男について描いたすばらしい物語だったんだ。現代にも通じる話だから、映画化すべきだと思った

──ニュートン・ナイトについては資料も少なく、唯一ハリウッドで映画化された作品では誤った解釈で描かれていたそうですね。そんな彼の実像に迫った本作は、リサーチに10年もの年月をかけたプロジェクトで、あなたはゲイリー・ロス監督のリサーチ旅行にも参加したそうですね。

マコノヒー:ゲイリー(・ロス監督)と僕はニュートンの故郷と墓を訪ねたんだ。俳優として、実在した人物を演じるというのはときにその重圧を感じることがある。今回の場合は、物語が、僕だけでなく他の誰にも扱いきれないほどにすごすぎて、逆に心が軽くなったんだ。ニュートンについて学べば学ぶほど、彼が強さと併せ持つ明晰さや思いやり、その3つが調和してできた彼の屈強な優しさに僕はインスピレーションを受けて、よりやる気に満ちあふれるようになった

南北戦争の時代は、今の世界と密接につながっている
『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』
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──舞台となるのは南北戦争で、日本人にとっては馴染みのない時代でもあります。

マコノヒー:もし南北戦争マニアなんだったら、きっとこの話にもっと興奮するだろうね。舞台となる時代は異なるけれども、今、僕たちが暮らすこの世界と密接につながっている。アメリカはまだ”再建”中だからね。

──ロケ撮影はいかがでしたか?

マコノヒー:ほとんどのシーンが屋外なんだ。これって幸せなことだよ。だってグリーンスクリーンじゃないから、いろんなことを想像して演じる必要がないんだ。大切なのは、自分を取り巻く状況。暑かったり寒かったり、蚊がいたり、水があったり、なんでもだ。そういうものが実際にあることが大切で、観客が求めていることでもある。

──とはいえ、湿原での撮影は大変だったのでは? あなたはジェフ・ニコルズ監督のサスペンス映画『MUD マッド』にも主演しています(※「MUD」は「ぬかるみ」という意味)

マコノヒー:何人かの友だちに、「お前は湿原と何か深いつながりがあるようだな」と言われたよ。確かに、僕は湿原のミステリアスな感じが好きなんだ。

マシュー・マコノヒー
マシュー・マコノヒー
Matthew McConaughey

1969年11月4日生まれ。アメリカ、テキサス州出身。俳優だけではなく、プロデューサー、監督としても活躍。『評決のとき』(96年)で大きく注目され、『アミスタッド』(97年)などに出演。『マジック・マイク』(12年)で高い評価を得て、『ダラス・バイヤーズクラブ』(13年)で実在したHIV患者を演じ、アカデミー賞主演男優賞を獲得。その他、『リンカーン弁護士』(11年)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)、『インターステラー』(14年)、『追憶の森』(15年)などに出演。