『ストレイヤーズ・クロニクル』清水尋也インタビュー

いじめられっ子から不良役までこなす幅広さ、注目の若手俳優の素顔に迫る!

#清水尋也

現場ではゲームアプリでタイムアタックしたり、楽しくやっていた

俳優・清水尋也16歳──。中島哲也監督の問題作『渇き。』で壮絶ないじめにあう“ボク”役で注目を集め、続く映画『ソロモンの偽証』では一転、クラスメイトに恐怖を与える不良を演じた。

「とても作品に恵まれています」とこれまでを振り返った清水が、最新作『ストレイヤーズ・クロニクル』で挑んだのは、並外れた記憶力を持つ特殊能力者の少年・良介だ。話題作に立て続けに出演し、印象的な演技を見せる清水に俳優という仕事への想いやプライベートまでを聞いた。

──本作では、超記憶力を持つ“進化した人間”を演じましたが、台本を読んだ時の感想は?

清水:『渇き。』も『ソロモンの偽証』も普通ではない役柄でしたが、今回も特殊能力を持つ役柄で、しかもそのことによって苦悩したり、ネガティブに考える役。自分が持ってない部分を作り上げるのは大変だろうなと思いました。

清水尋也

──具体的にはどんな風にアプローチしていったのですか?

清水:良介は自分の殻に閉じこもり、人に対して内気な性格なのですが、昴(岡田将生)、沙耶(成海璃子)、隆二(瀬戸利樹)、亘(白石隼也)とは家族みたいな存在だったので、カメラが回っていない時も、皆さんに仲良くしてもらって、オンオフがないような感じを出すことを心がけました。

──チーム・スバルでは、どんなコミュニケーションをとったのでしょうか?

清水:昴とのシーンが多かったので、岡田さんには色々な話をしていただきました。現場では、ゲームアプリでタイムアタックしたり、みんなでワイワイ楽しくやっていて、撮影が終わったあとも、ご飯に連れて行ってもらったり、よくしていただきました。

僕自身はびびるタイプ。殴り合いとかも絶対したくない
『ストレイヤーズ・クロニクル』
(C) 本多孝好/集英社 (C) 2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

──『渇き。』の時に共演した小松菜奈さんが、現場で清水さんはリラックスして和気あいあいとしていたとお聞きしたのですが、物怖じしないタイプなのですか?

清水:僕自身はびびるタイプだと思っていて、高いところが苦手だったり、吠える動物が苦手だったり……。殴り合いとかも絶対したくないし、平和的に解決したいなっていつも思っています(笑)。でも撮影の現場って、好きなお芝居を思う存分やらせてもらえる場所なので、楽しまなきゃっていう思いが強いんです。特に『渇き。』の時は、楽しいシーンが全くない役だったので、カメラが回っていないシーンは楽しもうっていう意識が強かったです。

──登場人物がさまざまな特殊能力を持っていますが、清水さんが持つならどんな能力が欲しいですか?

清水:僕は時間にルーズで、友だちとかの待ち合わせでも遅れちゃうんです。だから、空を飛んで一直線で待ち合わせの場所に行ける能力が欲しいですね。朝起きるのも苦手なので、撮影の時とかは、もう大変です(笑)。

──瀬々敬久監督はいかがでしたか?
清水尋也

清水:すごくやりやすかったです。監督が本読みの時「好きなように任せるから、一回自分の思うようにやってみてくれ」って仰ったんです。型を作らないというか、役者が思うように演じることを大切にしてくれる監督さんです。でも、監督からすぐにOKが出ると、逆に心配になることもありました(笑)。

──『渇き。』の中島哲也監督、『ソロモンの偽証』の成島出監督という日本を代表する監督さんの現場も経験されましたね。

清水:成島監督は「こういう絵を撮りたい」というビジョンをお持ちの方で、僕たちは監督のビジョンに近いものを表現するために頑張ろうという意識でした。中島監督は、あまり細かく指示をされない方なんですが、あるシーンで「演技がつまらない」って言われて30回ぐらいやり直したことがありました。その時に「まずは試しなさい。台本に書いてあるト書き(台詞以外の演出指示の事)は最低限のことだから、自分でいいと思ったことは付け足して、どんどん幅を広げてみなさい。違ったら俺が言うから」って言われたんです。それまでは台本に書いてあったことを真面目にやっていたのですが、違うやり方もあるんだなって知りました。この経験が、瀬々監督の現場でも生きたのかなと思います。

──次々と話題作に出演し、役者としてステップアップしている実感はありますか?

清水:作品に恵まれているなという実感はあります。ほぼ経験のないときに『渇き。』に出演させていただき、『ソロモンの偽証』では正反対の役をいただきました。そして今回は特殊能力を持つ役。普通の人生では経験できないようなことをやらせていただき、自分の中の感性だったり、考え方も広がりました。

──知名度も上がっていると思いますが、周囲の反応を含めて変わった部分はありますか?

清水:一番変わったのは、ご一緒する役者さんたちですね。『渇き。』では、役所(広司)さんや國村(隼)さんなど素晴らしい俳優さんたちの演技を見て学ぶことができましたが、直接的絡むようなシーンはなく、『ソロモンの偽証』も一緒に芝居をしたのは、同世代の新人でした。でもこの作品では岡田将生さんや成海璃子さん、染谷将太さんたちと常に一緒に芝居をしました。そんな有名な方たちと、同じ絵の中で芝居をして、完成した作品をみるのは不思議な感覚です。

兄とは、仕事の話や悩みは恥ずかしくてあまりしません
『ストレイヤーズ・クロニクル』
(C) 本多孝好/集英社 (C) 2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

──目指している俳優さんや、役者像は?

清水:尊敬する役者さんはたくさんいますが「あの人みたいになりたい」とは思わないようにしています。目標にすると、そこで成長が止まってしまうような気がして……。限界を決めたくないというか。でも染谷さんだったり山田孝之さんだったり、コメディもシリアスも、どんな役でも自分のものにしているような役者さんはすごいなと尊敬します。

──4月から高校に通っていますが、仕事以外で何をしている時が一番楽しいですか?

清水:音楽を聴くのが好きですね。ジャンルは問わず聴きますが、今はヒップホップの延長のラップにはまっています。フリースタイルラップというのがあって、その中で、ラップバトルをするんですよ。決まった8小節の中で、好きなことを言って韻を踏んで戦うというものなんですが、すごくワクワクしますね。

清水尋也

──お兄さん(清水尚弥)も俳優さんですよね。

清水:もともと兄が俳優の仕事をしていたんです。兄が始めて5年後ぐらいに僕も始めたので、大先輩ですよね。兄弟だから、家で仕事の話とか悩みとか話すのは、恥ずかしくてあまりしませんね(笑)。でもお互い出ている映画をチェックしたり、感想を聞き合ったりはたまにします。

──この作品でどんなことを得ましたか?

清水:『渇き。』や『ソロモンの偽証』では、同世代の役者が多く、ベテランの素晴らしい役者さんは見て学ばせていただきましたが、この作品では、素晴らしい俳優の方たちと映像の中で一緒にお芝居できました。そういう方たちの芝居を受けることで、セリフの重みなどを、身に染みて感じる場面がたくさんあった作品です。

(text&photo:磯部正和)

清水尋也
清水尋也
しみず・ひろや

1999年6月9日生まれ。東京都出身。中島哲也監督の映画『渇き。』で激しいいじめにあうセンセーショナルな役柄を演じ注目を集めると、『ソロモンの偽証』では一転、同級生をいじめ抜く不良を好演。期待の若手俳優として注目を集めている。

清水尋也
ストレイヤーズ・クロニクル