『新宿スワン』綾野剛×沢尻エリカ インタビュー

綾野剛&沢尻エリカがゲーセン・デートを楽しむ!

#沢尻エリカ#綾野剛

私もアゲハみたいにピュアな思いを持ち続ける部分が欲しい(沢尻)

和久井健のベストセラーコミックスを、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』の鬼才・園子温が監督、新宿の歌舞伎町を舞台に水商売のスカウトマンたちの姿を描く『新宿スワン』が公開される。一文無しで歌舞伎町に彷徨いつき、スカウトマンとして働きながら、様々な人に出会い成長していく主人公の白鳥龍彦を演じた綾野剛と、龍彦と出会うピュアな心を持った風俗嬢のヒロイン・アゲハを演じた沢尻エリカが、撮影時を振り返った。

龍彦とアゲハになりきったふたりは、現場で意気投合した様子。また、園監督とのエピソードも告白した。

──新宿歌舞伎町で綴られる龍彦とアゲハの純愛が印象的です。

綾野:実際、現場では皆がアゲハに恋してました。本当に可愛らしいし。沢尻とは『ヘルタースケルター』でも共演してますが、全然真逆の役で。

沢尻:お互い真逆。だって、正直に言うと『ヘルタースケルター』の時の綾野くんとは1回も喋ってない気がする(笑)。

綾野:うん。僕も沢尻がやった役にとても話しかけられるような役じゃなかったから、遠くで見ているような感じだった。ずっと彼女はりりこの状態なので。だから僕は奴隷でした。されるがまま。記憶がなくて当然。

沢尻エリカ

──お互い、作品に身を捧げているんですね。

綾野:はい。

沢尻:今回のアゲハは龍彦に恋をして救われている役だったので、本当に現場に行くことが楽しかった。毎回、ウキウキワクワクしてました。撮影は1年前なんですが、楽しい思い出しかないです。

──龍彦とアゲハを演じていて、ご自身と重なる点や共感したことは?

綾野:基本的に僕が自分の感情を役に投影することはありません。龍彦は龍彦。あくまで僕は役に身体を貸している状態というか。ただ出来上がった作品を見て客観的に感じることはあります。こんなにいろんな人に愛される龍彦は本当に魅力的です。同時に人一倍傷ついてダメージを受ける人で、喜怒哀楽もはっきりしてる。共感って言っちゃうとちょっと違うかもしれないけど、龍彦から醸し出される“時間”、包み込むオーラみたいなものは自分も持ちたいと思いました。彼には裏がなくて嘘がない。なんか、いいですよね。

沢尻:アゲハと重なる部分はあまりなかったですね。逆にこれだけピュアな気持ちを持ち続けることってすごいなと思いました。私もそういう部分が欲しいなって(笑)。そこまでひとりの相手を思い続ける気持ちってなかなかないと思うから。

肌がモチモチして若く見えるように顔を太らせた(綾野)
綾野剛(右)と沢尻エリカ(左)

──原作の龍彦とアゲハは結構若いですよね。その辺は意識されました?

沢尻:そうですね。結構ナチュラルメイクにして、童顔に見えるように。ビジュアルの部分で意識してましたね。

綾野:僕は意識せざるをえない。32歳の男が19歳をやってるんだから。もう壮大なファンタジーなので。

沢尻:あはは

綾野:沢尻はもともと童顔だし優しい顔をしてる。子どもみたいっていったら失礼かもしれないけど、そういった顔もできる。僕は、単純に肌がモチモチして見えるように顔を太らせるようにしました。

綾野剛(右)と沢尻エリカ(左)
──顔を太らせる!?

綾野:体重を上げるしかないですけど。それで若さ特有の感じを見せられたらいいなと思ってやってました。外見は女性に敵いませんけど、心が若くなれたのは事実なんです。一緒にUFOキャッチャーをしたり。

沢尻:そう! プリクラ撮ったりね。ゲーセンに行って遊んで。まず、今なら行くことすらないし、行ってもあんなに楽しくない(笑)。

綾野:絶対、あんな感じにはならないよね。

沢尻:あの純粋さは本物だと思う。

綾野:うん、本物。

沢尻:本当に楽しかった。若さって。

綾野:何もかも凌駕するよね。今、もし2人で行って、UFOキャッチャーやりたいって沢尻に言われたら、財布からお金出して渡して、「取れないね、あ、取れた。帰ろうか」って。淡々としたものになると思う。

沢尻:うん。あんなに盛り上がれない。

綾野:若いって脅威ですよ。街ではしゃいでる若者を見ても、はしゃぎすぎと思わず、仕方ないな、それが魅力なんだなと思うようになりました。

沢尻:うん、うん。

──園監督についてもお聞かせください。以前、園監督は鬼監督と呼ばれることもありましたが、とても雰囲気のいい現場だったようですね。

沢尻:すごく楽しかったですよ。夜、みんなで飲みに行ったりもしましたし、本当にいいチームワークでできたと思っています。

──園監督といえば、メガネに帽子がトレードマークでしたが、以前、別作品で監督にお話しを伺ったときに、沢尻さんに帽子を取られて、それから新しい世界が開けたとすごく嬉しそうにお話しされていました。
綾野剛(右)と沢尻エリカ(左)

綾野:園さんは沢尻のおかげで呪縛から解けたんです。ただ、あれは沢尻が取ったというわけじゃなくて、「室内なんだから帽子は取ったら?」ってことを沢尻が言ったんです。正論でした。

沢尻:それでポイってやたら、そのままどこかに行っちゃったんです。監督ごめんなさい。

綾野:園さんが持ち帰るのを忘れたんです。でも結局、それでモヒカンにしちゃいましたから。

沢尻:ねぇ。

──そうだったんですね。しかもそのお話しを伺ったとき監督が着られていたのが、綾野さんから贈られたジャケットでした。

綾野:帽子を失くしたとき、帽子もプレゼントしますって言ってたんです。でもモヒカン状態だからもういらないんじゃないかと思ってたんですが、最近また被られたりしてるんで、それこそ今日、持ってきてるんです。監督に。

──本当にいい関係を築かれたんですね。では鬼監督の一面はなかった?。

沢尻:なかったですね。

綾野:園さんの中に、いろんな監督が生きてるんじゃないかと思います。だから作品によってはあるんじゃないでしょうか。

園監督は、沢尻のシーンだけはすごく粘った(綾野)
沢尻エリカ

──撮影中の園監督はどんな感じでしたか?

沢尻:信頼して自由にやらせていただいているというのは感じましたね。園監督の印象は前々から聞いていたので、実際どんな人なのか楽しみにしてたんですけど、特に細かい指導が入ることもなくて、もうちょっとオーバーにしてみようかとか、それくらいでした。すごくいい信頼関係の中でできているという感じがありましたね。

綾野:男たちはだいたい1テイクか2テイクで、「はい、オッケー」って感じでしたが、沢尻のところはすごく粘るんです。でもそれって園さんがただ見ていたいだけなんですよね。そのことは現場にいたみんなが知っています。(山田)孝之とも「監督、絶対自分が見ていたいだけだよね」って話してて、それで園さんに聞いたら、「え、当たり前じゃん。可愛いもん」って(笑)。でもそれが園さんの作品で女性が豊かに見える原動力になってるし、女性は叩いても響くって思ってらっしゃるんだと思います。実際、沢尻は全然集中力が切れなかったですから。何度も何度もやって、いい加減にしてくださいってなってもおかしくないのに。僕のほうが2人のパワーについていくのが大変でした。

5月30日より全国拡大公開
5月7日よりdTVにて映画を6話に分けて順次配信中
(C)2015「新宿スワン」製作委員会
──本当にエネルギッシュな監督と題材に、すごいメンバーが集まりましたね。

綾野:本当にすごいメンバーです。

──その中にあって、龍彦とアゲハの恋は美しいと感じましたか?

綾野:美しいかどうかは分かりませんが、ちゃんと人間やってるな、ちゃんと人と向き合ってるなって思います。

沢尻:なんか、ホント、純粋な気持ちってすごく強いんだなということは感じましたね。

(text:望月ふみ/photo:中村好伸)
(綾野剛=ヘアメイク:石邑麻由、スタイリスト:長瀬哲朗/沢尻エリカ=ヘアメイク:山田典良、スタイリスト:関志保美)

沢尻エリカ
沢尻エリカ
さわじり・えりか

1986年生まれ、東京都出身。2004年に森岡利行監督の『問題のない私たち』で映画デビューし、井筒和幸監督の『パッチギ!』(05年)のヒロインを演じて第29回アカデミー賞新人俳優賞、話題賞俳優部門ほか各賞を受賞。その後、森田芳光監督の『間宮兄弟』(06年)、生野慈朗監督の『手紙』(06年)、行定勲監督の『クローズド・ノート』(07年)などに出演。蜷川実花監督の『ヘルタースケルター』(12年)では日本アカデミー賞主演女優賞を受賞し、園子温監督の『新宿スワン』(15年)、白石晃士監督の『不能犯』(18年)などに出演。今後は9月に『食べる女』、10月に『億男』と出演作の公開が控えている。

綾野剛
綾野剛
あやの・ごう

1982年1月26日生まれ。岐阜県出身。03年に『仮面ライダー555』で俳優デビュー。ドラマ『Mother』(10年)などで注目を集め、NHK連続テレビ小説『カーネーション』(12年)で全国的な人気を博す。主な出演作はNHK大河ドラマ『八重の桜』(13年))、『横道世之介』(13年)、『夏の終り』(13年)、『そこのみにて光輝く』(14年)、『新宿スワン』(15年)、『64 -ロクヨン-』(16年)など。

綾野剛
新宿スワン