『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』原作・ELジェイムズ インタビュー

世界中の女性を虜に! 官能的すぎるR15話題作の原作者がヒットの秘密を語る

#E. L. James

これほどの爆発的人気は、想像もしなかった

全世界で1億人の女性を虜にした官能的なラブストーリー「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」。この大ベストセラーを映画化した同名作が、バレンタインデー直前の2月13日より、ついに日米同時公開された。

若くハンサムな大富豪・グレイと恋愛未経験の女子大生・アナとの運命的な出会いを描いたシンデレラストーリー……と思いきや、グレイの特異な嗜好と哀しい過去が明かされ、予測のつかない恋愛が展開。激しく官能的なシーンとピュアな内面が、見る者を引きつける。英ファッション誌「Glamour」で「最もセクシーな男性」1位に輝いた注目若手エイミー・ドーナンがグレイを演じているのも話題のひとつで、映画の前売り券は世界39ヵ国で275万枚という驚異的売り上げを記録、R指定映画史上最速のチケット販売記録を樹立するのは確実と言われている。

女性たちを席巻するこの物語を生み出したのはELジェイムズ。2人の子を持つ、ロンドン在住のごく普通の主婦がネット投稿した物語が人気となり作家デビュー、2012年度のフォーブス誌で作家長者番付第1位に輝いた。「ハリポタ」シリーズのJ.K.ローリング以降、最大のベストセラー作家と目されるこの注目人物に話を聞いた。

──ネット投稿した小説が人気となり、これほどまでの世界的ベストセラーとなったわけですが、この物語を書こうと思ったきっかけは何なのですか? 誰かモデルがいたのでしょうか?

ジェイムズ:映画『トワイライト』を見てファンになり、クリスマスにかけて原作を読みました。原作を読んだら、今度は自分も何か書きたいという気持ちになり、すぐに1つ小説を書きました。そして2作目も書いたんです。その頃、トワイライトファン・フィクション(ファンによって書かれた二次小説)があることを知ってそれを読み出し、私も書き始めました。その後、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のアイデアが浮かび、毎週毎週、1章ごとにインターネットで書いていたんです。

──最近は、あなたと同じようにネット小説が人気となり書籍化される作家が増えています。そのことについてどう思いますか?

ジェイムズ:すばらしいことですよね。インターネットは大きな情報源で、様々なコンテンツが必要とされていますし、それを読んでくれる人がいれば本を出せ、本だけではなく、音楽の分野でもそれをきっかけにブレイクする人もいるし、映画でも可能性があります。色々な人が、インターネットさえあれば自分のやりたいことをやって、その発表の場があることは、本当にいいことだと思います。

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』 (C) 2014 Universal Studios

──原作は女性たちの口コミから世界的ブームを巻き起こしました。このブームについてどんな感想をお持ちですか?

ジェイムズ:これだけの現象になるとは全く思いませんでした。トワイライトのファンフィクションとしてスタートしたのですが、誰かにコピーされるのは怖かったし、これは出版した方が良いのではないかという気持ちはありました。実際に出版してから爆発的な人気でした。それは自分では想像もしていなかったことです。こんなにも世界中の読者の心を動かしたことは身に余る光栄であり、(急激な変化に)戸惑うこともありました。

ファンタジーとして逃避できる情熱的なロマンスが描かれている
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』 (C) 2014 Universal Studios

──この小説がベストセラーになった理由は何だと思いますか?

ジェイムズ:いろんな理由があると思います。ファンタジーとして逃避できる情熱的なロマンスが描かれていること、書き方が1人称で、現在形で描かれていて、読者がアナになりきれることです。また、お金持ちの人と出会うこと、あまりにも違う世界で果たして2人が上手くいくのかという展開、そういう全てが合わさって上手くいったんだと思います。

──今回の映画化についての感想は?

ジェイムズ:本当に素晴らしいし、とても勉強になる体験でした。この映画に関わること自体がわくわくしていますし、ファンが喜んでくれることを期待しています。

──あなたも女性ですし、サム・テイラー=ジョンソン監督も女性です。女性スタッフが製作したことも話題のひとつですね。

ジェイムズ:原作が膨大な量なので、脚本家の方とは、どの部分を取り入れどの部分をカットするか、さらにそれを洗練させるためにかなり時間をかけてやりました。監督とはセットや衣裳、様々なものに関して話し、プロデューサーとしてかかわりました。

ELジェイムズ

──今後の新作は?

ジェイムズ:新作の予定はあります。次もラブストーリーなんです。

──2012年度の「フォーブス誌」作家長者番付で1位になりましたが、本書のヒットで生活は一変しましたか?

ジェイムズ:自分の時間がなかなか取れない、書く時間も無くなってしまったところはありますが、大きな家に住んでいますし、新車も買いましたし、こうやっていろんな所に行けるというメリットもあります。本当に自分は恵まれていると思います。

──最後に、日本人へのメッセージをお願いします。

ジェイムズ:とにかく女性に見てほしいです。映画なので、彼氏や夫を連れて行くことでヒントを得るかもしれないですね。

E. L. James
E. L. James
E.L.ジェイムズ

1963年3月7日生まれ、ロンドン在住。元テレビ局役員。2人の子どもと夫と暮らすごく普通の専業主婦だったが、ネット投稿した小説が人気となり、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を出版。世界的ベストセラーとなり、2013年には米経済誌「フォーブス」で「世界で最も稼いだ作家」No.1に輝く。

E. L. James
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ
2015年2月13日より公開
[監督]サム・テイラー=ジョンソン
[原作]ELジェイムズ
[出演]ジェイミー・ドーナン 、ダコタ・ジョンソン
[原題]Fifty Shades of Grey
[DATA]2014年/東宝東和/R15+

(C) 2014 Universal Studios