京都市在住。2007年に本格的デビュー。BLジャンルでの代表作にドラマ化や映画化された「美しい彼」シリーズなど多数。20年『流浪の月』で本屋大賞受賞。同作は22年に実写映画が公開。20年刊行『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネート。22年刊行『汝、星のごとく』で第168回直木賞候補、第44回吉川英治文学新人賞候補、2022王様のブランチBOOK大賞、キノベス!2023第1位、そして23年、2度目となる本屋大賞受賞作に選ばれた。
『美しい彼』原作者、凪良ゆうインタビュー
萩原利久&八木勇征のW主演で実写化された喜びとBL作品愛を語る
気持ち悪い攻めを書きたいと思った
萩原利久&八木勇征のW主演によるドラマシリーズ『美しい彼』が大人気となり、『劇場版 美しい彼~eternal~』もヒットしている。本シリーズはシーズン1で学校カーストの底辺にいる高校生・平良一成と、頂点に君臨するキング・清居奏とのもどかしい初恋が描かれ、劇場版では2人のその後が描かれている。本シリーズの原作を手がけたのは、『汝、星のごとく』で2023年本屋大賞を再び受賞した凪良ゆう。彼女に『美しい彼』への思いや自身のBLのルーツについてなど語ってもらった。
・相手のどこに胸キュン? 萩原利久&八木勇征『劇場版 美しい彼~eternal~』インタビュー[動画あり]
凪良:気持ち悪い攻めを書きたいと思ったからです(笑)。この作品に関してはキャラクターありきでスタートしました。いつもはたいていキャラクターとストーリーをああでもないこうでもないと試行錯誤して混ぜ合わせながら書いていきます。
凪良:嘘でしょう? と思いました。当時からBLドラマはあったけれど、漫画が原作のものが主流でしたから。とにかくありがたいお話だと思いました。実写化が発表されると「清居を誰が演じるの?」って不安がる声もチラホラとありましたが、私は平良も同じくらい難しいよって思ってました(笑)。
凪良:そうですね。理屈でなく「あ、美しい彼だな」と思いました。やっぱりビジュアルってバーンとすごい説得力がありますよね。
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私自身がファンとしてキャッキャしていました
凪良:実写化は酒井監督の演出技術も素晴らしくて、世界観が独特で映像美もずば抜けてますよね。“ドラマ”ではなくて“映画”のようで、シーズン1の総集編が『美しい彼~special edit version~』として大画面のスクリーンに映し出されても負けない力があります。ドラマ全てが実写ならではだと思いました。
凪良:トマトジュース事件のときに平良が階段を上がっていくときに影だけがライフルを持っているところ。あれは絶対に小説では表現できないものです。
凪良:全然ないですね。実写化に関しては私自信がファンとしてキャッキャしていて、いい映像を見せてもらうたびにただただ幸せでした。
凪良:坪田さんの脚本は本当にすごかったです。私も物を書く人間なので、坪田さんの手腕はダイレクトに伝わってきました。原作をとても細かく読み解いてくれているのがよくわかります。分解して組み直しているピースが粗くなくてめちゃくちゃ細かい。ここのエピソードをあっちに持ってきて、とかあっても違和感がないし、そのうえ伝えたいことのテーマが保たれていて、それが素晴らしかった。原作を読み込んで尊重してくれていて、なおかつ坪田さんのオリジナルのエピソードも入っていて、それがとてもなめらかにつながっていく。しかも、30分枠が全6話という尺で。よくぞ書いてくださったと、感嘆に値します。担当編集さんにも坪田さん天才! って何度も言っていました(笑)。
凪良:キャストが『美しい彼』というタイトルにふさわしければいいなというだけでした。原作者がいろいろと口出しするほうが良くなくなると思っているので、お任せしました。
凪良:とても嬉しかったです。シーズン1で素晴らしいことはわかっていたので不安はなく、ファンの1人としてまた2人が見られるんだと喜びました。
凪良:そうですね、私は続編で当て馬が登場していざこざが巻き起こるのがあまり好きじゃないんです。1巻できちっと結ばれているのに、その後に何回も痴話喧嘩していると、この2人は実は相性悪いのでは? と思ってしまって。恋愛だけして生きているわけじゃなく、実際には大学に行ったり社会に出たり成長に伴っていろんな悩みが出てくるはずですし。
凪良:嬉しいです。昔読んだ氷室冴子さんや新井素子さんの作品の影響だと思います。BLでは秋月こおさんの『富士見二丁目交響楽団シリーズ』も大好きで、2人の成長譚でとても面白いです。
BLの最初は『JUNE』、もっと辿ると『花とゆめ』で目覚めました
凪良:最初は…やっぱり『JUNE』ですね。『小JUNE』(『小説JUNE』)も『大JUNE』(『JUNE』)も両方買ってました。『間の楔(あいのくさび)』も夢中になって読んで、ハードカバーを買ってましたね。ハードな悲恋物語でした。もっと辿ると『花とゆめ』です。『花とゆめ』で目覚めたと言えるし、そうなっている人は多いと思います。
凪良:『花とゆめ』は男性同士も男女のラブストーリーもごちゃまぜにあって、そうかと思えば『スケバン刑事』や『ブルー・ソネット』といったアクションものも載っていましたからね。好きな作品はたくさんありました。『パタリロ』は言うまでもなく『マリオネット』や『ツーリング・エクスプレス』、『ここはグリーン・ウッド』も。あと『シュガーベビー』も短編で絵本のような世界観でかわいらしかったです。きっと後で、この作品もあった、あれもあった、と言えば良かったと思うと思います(笑)。
BLと文芸作品のボーダーラインはないです
凪良:もともと漫画家志望でした。芽が出なくて、一度思い切ってやめてしまって、年齢を重ねてから大好きな『銀河英雄伝説』の記事を見たんです。記事を読んでいるうちに創作欲が掻き立てられていったんですが、もう漫画はずっと筆を握っていないから、仕方ないので小説を書き始めました。それがきっかけです。
凪良:相違点があるのは私の方じゃなく、求めている読者さんの方にあると思います。BLと文芸作品のボーダーラインはないです。ただ、BLは少女漫画の派生のような位置づけのジャンルだと思うので、ハッピーエンドが好まれるとか、なにより男性同士の恋愛をメインに書かなくてはなりません。
凪良:はい、それは作家の欲としてはあります。ただ、“BLとBL以外の作品で書き方に差異はありますか?と聞かれれば、そこに差異はないですね。
(text:牧島史佳)
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