「なんにもしたくなくて」 日常と非日常が交錯する旅路へ——『旅と日常』公開日決定

#シム・ウンギョン#三宅唱#堤真一#旅と日常#河合優実#髙田万作

(C)2025『旅と日々』製作委員会
(C)2025『旅と日々』製作委員会
(C)2025『旅と日々』製作委員会

息苦しい日常から旅へ——つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、シム・ウンギョンを主演、共演に堤真一を迎えた映画『旅と日々』。現代日本映画界を牽引する存在として世界的に注目を集める三宅唱監督の最新作が公開されることが決定した。

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すべてのカットが、本当に美しいものを撮っている

『旅と日々』は、脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先でのべん造(堤真一)との出会いをきっかけに、人生と向き合っていく過程を李本人が綴っていく物語。ひっそりと身を寄せ合う登場人物たちが、やさしさと愛おしさあふれるまなざしで描かれていく。

このたび解禁された30秒の予告編は、「行き詰まった脚本家が旅に出た」というコピーから始まる。

たどり着いた宿で、宿主であるべん造に「幸せな気分さ、なる話はどうだや?」と問いかけられる李。

眼鏡を曇らせながら、うどんを満足そうに頬張る李。

雪の中でうっとりするように周囲の音に耳を澄ませる李。

行動のひとつひとつに人間味あふれる李のキャラクターの魅力が詰まっている。

さらに「なしてこんなとこ来たの?」と尋ねられると「なんとなくです」と答える李に呼応するように、夏の海で「なんにもしたくなくて」と答える渚(河合優実)の姿が映し出される。

・【動画】河合優実、夏の海辺にたたずみ「なんにもしたくなくて」/シム・ウンギョン主演映画『旅と日々』予告編

新たに出演が明らかになった河合優実演じる、独特の存在感でビーチにたたずむ渚が、ストーリーにどう絡んで来るのか。

そんな雪深い山奥と夏の海辺の風景が行き交う映像、そして「毎日が旅の途中だ」というコピーそのままに、観る者は日常と非日常が交錯する旅路へと思わず引き込まれる。

予告編全体を包み込む音楽を担当したのは、今や三宅作品には欠かせないHi’Spec。李が旅先で出会う風景や人々、そしてその中で紡がれる物語に、どこか懐かしくも新たな感覚を与えている。

今回、予告編でその姿が映し出される渚役の河合優実に加え後ろ姿しか明かされていない夏男の役で髙田万作の出演もリリースされた。

そのふたりのコメント全文は以下のとおり。

■河合優実(渚役)

——本作のお話をもらったとき、率直にどのように思いましたか?

『きみの鳥はうたえる』が大好きで、いつか三宅監督とご一緒したいと思い続けていたので、すごく嬉しかったです。

——脚本を読んで、どう思いましたか?

ふたつの原作を、夏と冬でメタ的に構成しなおすことに驚きがあり、とても面白いと思いました。また、三宅監督が何か新しいことに挑戦している印象があったので、一緒に映画を作ることが楽しみな脚本だと思いました。

——三宅監督との仕事はいかがでしたか?

最初に、「監督と演者というより、一緒に作っていく人として接します」と言ってくださったのですが、それがすごく嬉しかったです。三宅さんは気さくで話しやすい方ですが、環境づくりはとにかく丁寧で、素晴らしい現場でした。

——完成した映画を見ての感想は。

傑作だ、と思いました。ほんのささやかな物語の中に、無数の感慨があります。すべてのカットが、本当に美しいものを撮っている、または、本当に畏れながら撮っている、という感じがして、そういう意味での嘘のなさに、感動しました。皆さんの素晴らしい仕事の結集だと思います。自分がこの映画の中に残っていることが嬉しいです。

■髙田万作(夏男役)

——本作のお話をもらったとき、率直にどのように思いましたか?

オーディションの話をいただいた時から、三宅唱監督作品ということもあり「絶対にやりたい」と思っていましたし、自分にとって必ず転機になる作品だと確信していました。合格の連絡をもらった時は、プレッシャーもありましたが、それ以上に早く現場に入りたい気持ちが強かったです。

——脚本を読んで、どう思いましたか?

原作の、「海辺の叙景」の少し怖くて、でも目を離せないあの感覚が、脚本に上手く落とし込まれているなと思いました。読みながら、この先2人はどんな結末を迎えてしまうんだろうと、少しゾワゾワした気分になりました。

——三宅監督との仕事はいかがでしたか?

監督自身が、現場をすごく楽しまれてるなと思いました。いつも笑顔で、スタッフの方と楽しそうに試行錯誤されてる姿が、すごく印象的でした。演技指導に関しても、監督の言葉ひとつひとつが信頼に満ちていて、難しい演技にも安心して挑戦することができました。

——完成した映画を観て、ご感想は。

ただそこに立って、風を受けながら、場所に身を委ねる。旅なんてそれだけで十分だと思える映画でした。言葉に囚われていた主人公が、この旅を通して少しずつほどけていくような感覚が、皆さんにも伝わればいいなと思います。素敵な作品に関わることが出来て光栄でした。

『旅と日々』は、2025年11月7日より全国公開。