【ヒットを探せ!/03】短編映画の魅力−口コミ殺到の超ブラック作品も!

菊地美和子(Miwako Kikuchi)……ショートショート フィルムフェスティバル & アジア PR/WEB担当
1979年生まれ。渡米をきっかけに、学生のころから映像制作に興味を持ち始める。大学卒業後、ポストプロダクション業界を経て、06年に株式会社パシフィックボイスに入社。映画祭、ブリリア ショートショート シアターのPRを担当。ショートフィルムの魅力を伝えるために日々奮闘中
菊地美和子(Miwako Kikuchi)……ショートショート フィルムフェスティバル & アジア PR/WEB担当
1979年生まれ。渡米をきっかけに、学生のころから映像制作に興味を持ち始める。大学卒業後、ポストプロダクション業界を経て、06年に株式会社パシフィックボイスに入社。映画祭、ブリリア ショートショート シアターのPRを担当。ショートフィルムの魅力を伝えるために日々奮闘中
菊地美和子(Miwako Kikuchi)……ショートショート フィルムフェスティバル & アジア PR/WEB担当
1979年生まれ。渡米をきっかけに、学生のころから映像制作に興味を持ち始める。大学卒業後、ポストプロダクション業界を経て、06年に株式会社パシフィックボイスに入社。映画祭、ブリリア ショートショート シアターのPRを担当。ショートフィルムの魅力を伝えるために日々奮闘中
ショートショート フィルムフェスティバル & アジアの上映作品を収録したペイパービューDVD「SHORT SHORTS Limited Collection」シリーズ。受賞作特集のほか、ショートフィルムの創り方をプロがレクチャーするDVDもあり、多彩なラインナップとなっている。価格は¥525(税込)〜。アマゾンで購入可能!

今、ショートフィルムに注目が集まっている。そこで、ショートフィルムに興味はあるけれども、どこから手を伸ばせばいいのか分らないという初心者のために、その魅力や作品選びのコツなどを、ショートショート フィルムフェスティバル & アジアのPRを担当している菊地美和子さんに教えてもらった。

実行委員会の代表であり、人気俳優でもある別所哲也氏はいつも、ショートフィルムを「スナック菓子」に例えるのだという。「例えば、1時間あれば、いろいろなタイプの作品を、ちょっとずつつまんで楽しむことができるのが、ショートフィルムの一番の魅力」と菊地さん。「低予算、少人数のスタッフで気軽に作れるので、クリエイターの表現の自由度が高いメディアだと思います。長編映画だと、配給や出資者の意向というのも無視できない場合がありますが、ショートフィルムなら、作り手のやりたいことを反映しやすいのが特徴です」。

●欧米作品はインパクトで勝負!

超アートな作品やブラック過ぎるコメディなど、作り手の世界観が思い切り反映された無数の作品の中から、好みに合いそうな作品を探し出すポイントなどはあるのだろうか?

「すごく大ざっぱですが、海外ドラマが好きな人は、欧米の作品が好みに合うことが多いのではないでしょうか」

地域ごとに作風に違いがあるそうで、「日本の作品は、ドラマ仕立てで起承転結がきちんと入った構成のものが多いですね。アジアはドラマ性の高いものが多く、短くてインパクトの強いものは欧米が得意。また、そうしたインパクトの強い作品は1シチュエーションで撮られるものが多いですね。日本と海外の作品では、コマ割りやストーリーの組立方などが全然違うと思います」

●世界が注目する若手日本人監督とは?

世界中に、短編部門を持つ様々な映画祭があるが、その受賞の有無というのは作品選びの目安になったりするのか。

「映画祭ではないのですが、クオリティの高さで言うと、米国アカデミー賞の受賞作は、やはりハイクオリティです。うちの映画祭も米国アカデミー賞公認なのですが、アカデミー協会では、世界中の公認映画祭から優秀なショートフィルムを集めて短編部門のノミネート作品を絞っていくので、各国の映画祭受賞作もたくさん含まれています」

もちろん、ショートショート フィルムフェスティバル & アジアの受賞作品も「絶対オススメです」と菊地さん。中でも注目したいのが、09年度ジャパン部門優秀賞、東京都知事賞を受賞した『ハーフケニス』。第二次世界大戦、強制収容所を脱走したハーフの青年2人の旅路を描いた作品で、落合賢監督は、先月、栄えある全米映画監督協会審査員特別賞を受賞し話題を呼んだが、今後、世界的活躍が最も期待される若手監督の筆頭株と言えるだろう。ちなみにこの『ハーフケニス』は、12月30日まで、横浜にある短編映画専門館・ブリリア ショートショート シアターで上映されている。

●死刑裁判を、ゲームショウ仕立てで映像化!?

菊地さんがお気に入り作品としてあげてくれたのが、04年にショートショート フィルムフェスティバル & アジアのジャパン部門で優秀賞を受賞した中尾浩之監督の『ZERO』。1日のノルマに追われるサラリーマンを描いた不条理コメディで、これを元にしたDVD『ZERO〜就活篇』『ZERO〜入社篇』が発売中だ。

外国勢で異彩を放っていたのが、06年に上映されたフランス作品『死刑の実況中継』。

「死刑裁判をゲームショウ仕立てにして描いた、かなりブラックな作品です。観客からは『フランス作品っぽくない!』とか『気持ち悪くなっちゃったけどスゴイ!』という声が口コミとなって広まり、その作品観たさにシアターに来場される方が増えました」

その他、吉本芸人100人が監督に挑戦した「YOSHIMOTO DIRECTOR’S 100」、土屋アンナ、AI、Microが監督したオムニバス『BLUE PACIFIC STORIES −ブルー・パシフィック・ストーリーズ−』など、著名人も続々とショートフィルムを手がけ始めている。この機会に、ぜひ「スナック感覚」で手軽に楽しめるショートフィルムの世界に、足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

【ショートフィルム・インフォメーション】
ブリリア ショートショート シアター(横浜みなとみらい)では、年末年始に多彩な作品を上映!2009年度ジャパン部門優秀賞の落合賢監督作『ハーフケニス』(〜12月30日)、第79回米国アカデミー賞短編実写部門受賞「ウェストバンク・ストーリー」(1月1日〜31日)などの注目作が目白押し。お正月には、落語や江戸太神楽などの日本の伝統芸能とコラボした特別イベントや、“願い”をテーマとしたショートフィルムも上映される。また2月14日の創立2周年を記念した、お得なキャンペーンも実施中。

【Short Shorts Film Festival&Asia インフォメーション】
2010年に開催されるショートショート フィルムフェスティバル & アジアに「ミュージックShort クリエイティブ部門」が新設される。土屋アンナやサンプラザ中野くん、葉加瀬太郎から提供された楽曲を使って作品を作り、応募するという内容で、受賞者には賞金のほか、CM制作などの機会が与えられるという。応募締め切りは2010年1月30日、詳しくは公式HPを!

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