【平成の映画業界を振り返る2】スタジオジブリ、ディズニー、ハリー・ポッターがヒット連発

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『千と千尋の神隠し』DVD
『千と千尋の神隠し』DVD

平成の興行ランキングTOP20で主なヒット作を振り返る。

1位は『千と千尋の神隠し』。スタジオジブリのアニメは6位『ハウルの動く城』、7位『もののけ姫』、11位『崖の上のポニョ』、19位『風立ちぬ』と5本がトップ20にランクイン。84年『風の谷のナウシカ』から始まったジブリアニメだが、興行的に大ヒットしたのは89年『魔女の宅急便』から。ジブリアニメは平成の映画界を支えた一大ブランドだ。

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2位『タイタニック』で描かれた、巨大なセットとCG技術を組み合わせたタイタニック号沈没の様子はリアルで緊迫感にあふれる。12位『ジュラシック・パーク』を筆頭に90年代初めからCG技術を駆使したハリウッド大作が増えていくが、『タイタニック』はCG技術に感動の悲恋物語が加わって洋画実写最大のヒット作となった。『タイタニック』を監督したジェームズ・キャメロンは最先端の映像技術にこだわるクリエイター。10位『アバター』では、実写とCGを融合させ、リアルで鮮明な奥行き感のある3D映画を生み出した。

3位『アナと雪の女王』はディズニーアニメ最大のヒット作。ミュージカルアニメという点では、昨今の音楽映画ブームの走りでもある。邦画アニメのヒットブランドがスタジオジブリなら、洋画はディズニーとピクサー。ディズニーは92年『美女と野獣』、93年『アラジン』のヒットを機に、ヒットブランドとして定着。ピクサーは96年に1作目『トイ・ストーリー』が公開されヒット。CGアニメという新たな時代を切り開くとともに、ディズニー同様、人気ブランドとして定着していき、『ファインディング・ニモ』(110億円)、『トイ・ストーリー3』(108億円)と興収100億円超えのヒット作も生み出している。

4位『君の名は。』はスタジオジブリ以外の邦画アニメで最大のヒット作に。スタジオジブリに次ぐヒットメーカーが『バケモノの子』の細田守監督。両者に次ぐ新世代として期待されたのが新海誠監督だが、『君の名は。』で早くも両者に追いついた。

5位の『ハリー・ポッターと賢者の石』を筆頭に『ハリー・ポッター』シリーズは、9位『秘密の部屋』、15位『アズカバンの囚人』と3作がトップ20入り。日本で根強い人気の洋画シリーズであることは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクション人気が如実に物語っている。2000年代はじめには『ロード・オブ・ザ・リング』3部作も公開され、ファンタジーブームを起こした。(文:相良智弘/フリーライター)

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[平成のヒット映画ランキング]
1位『千と千尋の神隠し』308億円
2位『タイタニック』262億円
3位『アナと雪の女王』255億円
4位『君の名は。』250.3億円
5位『ハリー・ポッターと賢者の石』203
6位『ハウルの動く城』196億円
7位『もののけ姫』194億円
8位『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』173.5億円
9位『ハリー・ポッターと秘密の部屋』173億円
10位『アバター』156億円
11位『崖の上のポニョ』155億円
12位『アルマゲドン』139億円
13位『ジュラシック・パーク』138億円
14位『ラストサムライ』137億円
15位『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』135億円
16位『ボヘミアン・ラプソディ』128億円
17位『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』127億円
18位『美女と野獣』124億円
19位『風立ちぬ』120.2億円
20位『アリス・インワンダーランド』118億円
(ムビコレ調べ/99年以前の作品で、興収が発表されていない作品は推定)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。