映画尺に収めるため、ストーリーを追うのに精一杯…。じゃれ合う姿をもっと見たかった!

#元ネタ比較

『虹色デイズ』
(C)2018『虹色デイズ』製作委員会(C)水野美波/集英社
『虹色デイズ』
(C)2018『虹色デイズ』製作委員会(C)水野美波/集英社

…中編「佐野玲於、中川大志、高杉真宙、横浜流星…誰が一番ハマり役?」より続く

【元ネタ比較】『虹色デイズ』後編
定番要素を抑えた飯塚健監督の演出は爽やか

男の子を主人公に描く人気の少女漫画「虹色デイズ」が実写映画化される。

映画は2時間弱の長さに収めるために、どうしても物語らしい物語を追って恋愛の顛末をシリアスに見せることに終始している。

時間的に余裕がないために、原作の持ち味である“なんてことのない男子たちの日常”がないのは残念だ。バスケ部との交流など、思わず顔がほころぶワチャワチャがかわいいのに。アニメシリーズ化もされて2016年1月〜6月まで放送されていたが、こちらでは男子のワチャワチャ感の雰囲気も出ていた。また、アニメシリーズは通常の30分ではなく15分。前半クールでは残りの15分で『club RAINBOW〜虹色デイズ〜』も放送された。これは声優たちによるバラエティ番組だ。

アニメ版では、なっちゃんは松岡禎丞、まっつんは江口拓也、恵ちゃんは島崎信長、つよぽんは内山昂輝がそれぞれ演じ、単独で主役を張る人気声優たちが揃った豪華キャスト! 彼らによるバラエティはアニメのストーリーとは関係なくても、男子(と言っていいかわからないが)たちのワチャワチャ感という共通の空気は上手く出せていたと思う。

実写映画のほうは恋愛のメインストーリーを追うのに精一杯だったのだろう。なっちゃん&杏奈は王道な純粋ラブストーリーだけど、まっつん&まりちゃんは彼女がこじらせているだけに素直じゃなくてややこしく、真剣に描かないと中途半端で不謹慎にもなり得るのでそこをしっかり描いてくれたのは良かった。

監督は『荒川アンダー・ブリッジ』の飯塚健で、音楽の使い方や編集を含めて映像の見せ方がうまく、典型的な青春ラブコメディの形式をとりつつ、薄ら寒いベタベタとしたダサさは漂っていない。冒頭の、4人の男子たちがプールに浮かんでるシーンが象徴するように定番の要素を入れつつ嫌味にならず爽やか。イケメン揃いの男の子たちは眼福だし、王道の青春ラブストーリーをお求めなら期待に応えてくれるだろう。(文:入江奈々/ライター)

『虹色デイズ』は2018年7月6日より全国公開中。

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