加瀬亮

1人の女性を見守り続ける男性を好演

 

『おとうと』加瀬亮インタビュー

映画『おとうと』加瀬亮インタビュー

 

仕事って、辛さが半分以上。たまにいいことがある

  • 家族という厄介な、けれど愛すべき存在について描いた『おとうと』。『男はつらいよ』シリーズをはじめ、『家族』『幸福の黄色いハンカチ』などで、日本の家族を描き続けてきた山田洋次監督が、亡き市川崑監督の同名の名作に着想を得て作り上げた。堅実な姉を吉永小百合が、不出来な弟を役者として円熟味を増す鶴瓶が、情感豊に演じている。

    この映画で、蒼井優が演じる女性を遠くから見守り続け、心の支えとなる誠実な青年を、加瀬亮が好演。名匠ガス・ヴァン・サントの最新作への出演が報じられるほか、これまでクリント・イーストウッド監督(『硫黄島からの手紙』)やミシェル・ゴンドリー監督(『TOKYO!』)など、海外の名監督の作品にも出演してきた加瀬に、山田監督や『おとうと』について、そして、映画への思いなどについて話を聞いた。

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  • ──山田監督の作品に出演するのは今回が初めてだそうですが、出演が決まったときの気持ちは?
  • 加瀬:まず、「大丈夫かな」と思いました(笑)。いわゆる、きちんとしたお芝居などをあまり経験したことがなかったので、「馴染めるのかな」という不安がありました。でも初日に、「こういう役だから、今回は居てくれるだけでいいから」と監督がおっしゃってくださって、気が楽になりました。
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  • ──「居てくれるだけでいい」と言われて、逆に「やってやろう!」と奮起したりは?
  • 加瀬:全然、思いませんでした(笑)。
     プレッシャーはあまり感じませんでしたが、恐かったのは、1人だけ調子外れな演技をして迷惑をかけてしまうこと。
     厳しい方だという話はよく聞いていたのですが、そういったことについてはあまり気になりませんでした。これまでも恐い監督と仕事をしたことはありましたが、いろいろとおっしゃってくださったほうがいい場合も多いので。
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  • ──吉永さんや鶴瓶さんと共演した感想は?
  • 加瀬:「会うと緊張してしまうかな」と思っていたのですが、おふたりともとても気さくな方でした。監督も含め、先輩方が気を使ってくださって、大らかに接してくださったので、「緊張せずに現場にいられたのかな」と思っています。
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  • ──山田監督の現場はいかがでしたか? 会見で鶴瓶さんが、自分よりも年配のスタッフがたくさんいて嬉しかったと言っていました。また、職人気質のスタッフが多いイメージもあるのですが。
  • 加瀬:謙虚な気持ちになり、学ぶところが大きかったですね。待ち時間が結構あったので、よく、その間に監督やスタッフの方々がいろいろな話をしてくださって、聞き入っていました。
     自分が学んできたことを、僕のような何も知らない若い世代に伝えようとしてくださっているのがとても分かりました。それらに耳を傾け、実践してみると、いろいろと分かってくることも多くて。
     以前、『ニワトリはハダシだ』(04年)で森崎東監督(82歳)とお仕事させてもらったときに、「今まで求められていたことと違うぞ」と感じました。以来、年配の監督からのお話があったら、積極的にお仕事させていただくようにしています。
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  • ──鶴瓶さんが演じる不出来な弟は、寅さん的な部分を持つ、困ってしまう存在ですね。
  • 加瀬:身近にそういう人がいないので、うらやましく思う部分があります。僕は、みんながキチンとしていると窮屈に感じるタイプなので、誰かが入ってきて壊してくれたりすると面白いだろうな、と(笑)。
     以前、祖父のお葬式のときに、初めて会った遠い親戚に、ハチャメチャなおじさんがいたのですが、結構嬉しかった覚えがありますね。でも、実際に自分の弟だったりすると、とても迷惑でしょうね(笑)。
     まぁ、僕自身も親からすれば、一般的な仕事をしているわけでもないですし、キチっとしている風には見えないでしょうけど。
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  • ──加瀬さんが演じた亨は、1人の女性を見守り続ける役柄です。そのイメージは、加瀬さん自身ととても重なるのですが、いかがですか?
  • 加瀬:幻想だと思います(笑)。
     でも、役者である以上、みなさんにどう思われるかは、自分でもどうしようもないというか……。それを、「いや違う、本当のオレはこうなんだ」と言うのも、あまり意味がない気もしますし。
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  • ──自分のイメージは気にならない?
  • 加瀬:自分の好みもありますし、「こう思われたい」という気持ちもある。でも、この仕事を選んだ以上、当然のことだと思っています。
     もしイメージが固定化されるのがイヤなら、俳優を副業にして、数年に1本出演するとかにしないと無理ですよね。
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  • ──雑誌などでイケメン俳優として紹介されることも多いわけですが、抵抗感は?
  • 加瀬:ありますね。でも、せっかくそう言ってくださっているのに、「いや、僕、イケメンじゃないから」と自分で言うのもどうかと思いますし(笑)。
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  • ──これまで、役者をやめたいと思ったことはありますか?
  • 加瀬:どの仕事にも、そう思うことってありますよね? 毎日楽しいことばかりではないですし、仕事って基本的には辛い(笑)。辛いことと楽しいことは半分半分……いや、辛さが半分以上かな。そして、たまにいいことがあるという感じですよね。
     演じている瞬間に「いいこと」が訪れることもありますし、いろいろな人との出会いも励みになる。そういったことによって、気持ちをつなぎとめたり、もう一度踏み出してみようと思ったり、気持ちは常にグルグル揺らいでいますね(笑)。
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(10/01/27)

映画『おとうと』加瀬亮インタビュー

かせ・りょう
1974年生まれ、神奈川県出身。2000年に『五条霊戦記//GOJOE』で映画デビュー。09年には山田太一脚本の『ありふれた奇跡』で連続テレビドラマに初出演。主な出演作は『硫黄島からの手紙』(06)『それでもボクはやってない』(07)『重力ピエロ』(09)など。

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映画『おとうと』加瀬亮インタビュー

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ヘアメイク: 宮田靖士(VaSO)/スタイリング:林道雄

 

映画『おとうと』加瀬亮インタビュー

 映画『おとうと』加瀬亮インタビュー

撮影の様子。上:左から蒼井優、山田洋次監督、加瀬亮/下:左から笑福亭鶴瓶、小日向文世、蒼井優、吉永小百合、山田監督、加瀬亮

 

 映画『おとうと』加瀬亮インタビュー 

 『おとうと』
2010年1月30日より全国公開

(C)「おとうと」製作委員会
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