ゆりやん「この映画で復讐したい」 恋愛の痛み、怒り、執念を“ホラー”へと昇華した『禍禍女』全国行脚

#ゆりやんレトリィバァ#九条ジョー#前田旺志郎#斎藤工#禍禍女#鈴木福

『禍禍女』
(C)2026 K2P
『禍禍女』

私的感情をここまで曝け出す、危うくも知的な挑発

映画『禍禍女』の全国行脚出発式が渋谷の街中で行われ、ゆりやんレトリィバァ監督と、前田旺志郎、鈴木福、九条ジョー、斎藤工らキャスト陣が登壇。会場には報道陣に加え、イベントの様子を見守る多くのギャラリーが集まり、注目を集めた。

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会場に立った前田は、ゆりやん監督が手がけた本作について「僕も直接エピソードを聞かせてもらったんですが、僕の感覚にはない執念というか。掴んだら離さないという強い気持ちを感じてゾッとした」と、戦慄の表情を浮かべた。

鈴木も「ゆりやんさんの頭の中はどうなっているんだということでゾッとするというか。これを女性に当てはめていいのかと思うほどに本当に禍々しいんだけど、でも共感する方もいらっしゃると思いますし、男性でもこういう経験ある方もいらっしゃるかもしれない」と、その独特の世界観に言及した。

ゆりやん監督とは養成所時代からの同期だという九条は、「NSC在学中から、すでに『禍禍女』でした。その禍々しい部分を映画作品として昇華させたような、本当に素晴らしい作品となっております」とコメント。

斎藤も「女性の怖さと同時に、男性の無力さ、無能さ、儚さみたいなものも感じられる最高傑作だと思いますので、ぜひ映画館でご体感ください」と来場者に呼びかけた。

そんなキャスト陣を笑顔で見守っていたゆりやん監督は、「私は映画が本当に好きで。まさか映画監督になりたいという夢をこのように叶えていただいて、皆様、この素晴らしい方々とご一緒させていただけたこと、本当に感謝いたします。『禍禍女』は私の実際の恋愛を元にした“ホラー映画”です」と冗談めかして会場を沸かせると、「今まで恋愛で苦しかったこと、悔しかったこと、なんで私がこんな思いをしないといけなかったんだと勝手に思い、私のこと振った相手を勝手に恨んでいました。この映画で復讐したい、晒しものにしてやるという思いでこの映画ができました。今日来ていただいた皆さまに、今までのこういう自分の実体験を投影して、映画の中で大変な目に遭っていただいたので満足しています」と、本作の制作背景を明かした。

会場には、黒いベールに包まれた“禍々しい何か”が鎮座。カウントダウンとともにベールが外されると、ド派手なピンク色の車体に、タイヤのホイールにはギョロッとした目がデザインされた車が登場した。実はこの車は、本作を宣伝してまわるために制作された、世界に一台しかない特別仕様の車で、ゆりやんによって「禍禍CAR」と命名された。

ゆりやん監督は今後、この車で全国8都市を巡り、舞台あいさつや街頭演説を行う予定だといい、「この上に乗らせていただき、皆様にぜひ『禍禍女』を知っていただきたい。広めていただきたい。なぜ恋愛で苦しまないといけなかったのか、そういう思いをぜひ全国に届けたいと思います!」と意気込みを語った。

撮影現場でのゆりやん監督について、前田は「ムードメーカーで、現場を盛り上げてくれた。ゆりやん監督を筆頭に、全スタッフ、全キャストで『今日も1日頑張ろう!』という朝礼をやっていたんです」と振り返る。そこで実際に、ゆりやんの掛け声に合わせて会場全員で唱和する流れとなり、「まがまが!」「女!」「大ヒット!」「させるぞ!」「興行収入!」「5000億!」といった言葉が渋谷の街に響き渡った。

そんなゆりやん監督について鈴木は、「僕はゆりやん監督の初作品のファーストカット、一番最初に出てくる登場人物として出演させていただいていて。それだけでも嬉しいですし、それ以外にも本当にインパクトに残る衝撃的な役として出演させていただいているので、ぜひ楽しみにしていただきたいです」と期待を煽る。

九条も「僕は劇場で一緒にやっている時から、ゆりやんの恋愛相談を直接聞いていたんです。だから台本を見た時に『言ってた人だ!』と思いましたし、本当に嫌なやられ方をするので、ぜひご期待ください」と続けた。

斎藤には、一昨年のカンヌ国際映画祭で直接オファーを出したという。その経緯について、ゆりやん監督は「俳優として、映画監督としても背中を見せていただいていましたし、わたしの背中をいつも押してくださる方なので、ぜひ出ていただきたかった。昔、少しだけ斎藤さんに興味を持っていたことがあったのですが、斎藤さんはわたしのことに興味を持ってくれなかったので、この映画でとにかくヒドい目に遭っていただこうと思いでオファーいたしました」と説明し、会場を沸かせた。

本作は、出品・選出されている25個目の映画祭として、2月に開催予定のベルリン国際映画祭の開催期間中に行われるベルリン批評家週間に選出され、今回その報告が出演者に向けて行われた。こうした世界的評価について斎藤も、「これはポン・ジュノ監督も仰っていることですが、描く世界が個人的であればあるほど映画として強みがある。あまりスケールを広くしすぎないで、自分の身の丈、心当たりのある世界を深く掘っていくのが映画作りの根源だと。ゆりやんさんはまさにそうだと思ったんです。ゆりやんさんの個人的な禍々しい記憶が、海を越えて世界中の映画ファンに届いているというのはすごく真っ当なこと」と深くうなずいた。

これを受け、ゆりやん監督は「みんなでつくったこの映画を世界の方に見ていただいたり、皆さまの前に立ったりというのは本当に恐れ多い気持ちなんですが、まずはありがとうございます。これから2月6日の公開に向けて、日本の皆さんにもどんどん見ていただけるように頑張りたいと思います」と、あらためて決意を語った。

そして斎藤からあらためて、「寒い中大変だと思いますが、『禍禍女』の存在を全国に知らしめてきてください」とエールが送られると、ゆりやん監督は、ひと足早く全国行脚に向けた抱負、そして2026年の抱負を漢字一文字で発表。その文字は「禍」だった。

その理由について、ゆりやん監督は「普段、お笑い芸人としてネタを作る時には、自分の頭の中のアイデアだけを突き詰めて作るのに対して、映画は『総合芸術』だということを本当に実感しました。みんなの脳みそでいろんなものを作って、完成した時に全く予想も想像もできなかった世界があった。この禍々しい『禍禍女』を、全国の皆さんにぜひ届けたいという思いです」と語った。

そしてあらためて「『禍禍女』行くぞー!」という掛け声とともに、禍禍CARに乗り込もうとするゆりやん監督だったが、その最中、十八番ネタである高らかな“おなら”の(疑似)音を響かせ、会場は大爆笑。それに合わせて斎藤たちもおならネタを続けて披露するなど、会場は大いに盛り上がった。

最後は、前田、鈴木、九条、斎藤とハイタッチを交わし、斎藤から「監督・ゆりやんレトリィバァ」と記された襷をかけてもらって車に乗り込んだゆりやん監督。車のスピーカーを通し、選挙演説さながらに「ゆりやんレトリィバァ監督『禍禍女』、ぜひご覧ください!」と渋谷の道行く人々に向けて熱烈にアピールしながら、名古屋・大阪・奈良・京都・広島・博多・仙台・札幌へと向け、全国行脚の旅へ出発した。そんなゆりやん監督を、キャスト陣は「いってらっしゃい!」と声を掛けて見送った。

『禍禍女』は2026年2月6日より全国公開。