この狂った世界で、少女は親を殺すと決めた——湊かなえ原作の衝撃作『未来』

#北川景子#山﨑七海#未来#松坂桃李#湊かなえ#黒島結菜

(C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社
(C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社
(C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社

『告白』『母性』『白ゆき姫殺人事件』などで知られる作家・湊かなえの集大成と評された小説『未来』が、ついに映画化となる。話題作を次々に送り出してきた瀬々敬久がメガホンを取る本作の特報とティザービジュアルが解禁された。

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「どうして私がこんな目に遭うのか、あんたが本物なら知ってるよね?」

複雑な家庭環境で育ちながらも、教師になる夢を叶えた真唯子(黒島結菜)。彼女の教え子・章子(山﨑七海)のもとにある日、一通の手紙が届く。差出人は——「20年後のわたし」。

返事を書くことで、父・良太(松坂桃李)の死や、心を閉ざした母・文乃(北川景子)との孤独な日々に耐えていた章子だが、母の恋人からの暴力、いじめ、そして信じがたい事実に追い詰められていく。絶望の果て、禁断の計画を立てる章子。

そんな章子を救おうとする真唯子は、社会の理不尽さに押しつぶされそうになりながら、それでも手を差し伸べようとするが——。

特報映像は不安げにも、どこか清々しさも感じさせる表情の真唯子の表情から始まり、「この世界は狂ってます」というナレーションが重なる特報映像は、冒頭から不穏な空気に包まれている。

「未来のわたし」から手紙を受け取った章子を襲う過酷な現実の数々。その送り主に向けて、「どうして私がこんな目に遭うのか、あんたが本物なら知ってるよね?」と憤りをぶつける章子の声が響く。やがて、章子がくだす決断とは——。

劇中、自身も複雑な過去を抱えながら、子どもたちに寄り添おうとする姿を繊細に体現した黒島は、「何度も辛く苦しい気持ちになりました。とてもハードな撮影の中、子どもたちの熱く切実な思いを感じ、私は何ができるんだろうと日々考えていました」と明かした。

過酷な現実に呑み込まれそうになりながらも懸命に生きる章子を演じるにあたって、山﨑は「どこかに同じような苦しみを抱えている人がいるのなら、私は章子という役を誰よりも責任をもって演じよう、と心から決意しました」と語る。

章子の父・佐伯良太を演じた松坂は「誰しもが抱えているかもしれない、「過去」と片づけられない傷や記憶。時に向き合い、寄り添い、許していこうとまた向き合う。そうやって人は一つの希望に辿り着くのかもしれません」と脚本を読んだ印象を述べる。

母・文乃を演じた北川は「守りたいものも上手に守れない、自分のことも大切にできない、脆く壊れそうな文乃を演じることは容易くありませんでした」と撮影を思い起こしながら、「不幸な境遇にあって逃げ場のない子どもが、希望が持てるような作品になっていると思います」と振り返った。

そのほか、真唯子の恋人・原田勇輝を坂東龍汰、真唯子や章子の人生に大きな影響を与える樋口良太と森本真珠を、それぞれ細田佳央太、近藤華が演じる。

今回、特報映像とともに解禁されたティザービジュアル3種は、それぞれが物語の異なる瞬間を切り取りながら、厳しい境遇に翻弄される濃密な人間ドラマの一端を描き出している。

1枚目は、章子の悲痛な叫びと「20年後のわたし」からの言葉が刻まれた、燃え焦げた便箋。物語の始まりと、運命の行方を予感させる一枚。

2枚目は、真唯子(黒島結菜)の射貫くような真っ直ぐな眼差しが印象的なビジュアル。社会の理不尽さに向き合う彼女の覚悟を、静かな緊張感とともに写し出している。

3枚目は、ごくありふれた中学校の廊下を駆けていく少女の後ろ姿に、「親を殺すと決めました」という衝撃的なコピーが重なる。日常と非日常の対比が、ごく普通の少女が抱いた“禁断の決意”を際立たせる。

『未来』は2026年5月、全国公開。

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