官能に彩られた猟奇的愛憎劇『蟲』——江戸川乱歩の問題作が人間の闇を暴き出す

#佐藤里菜#平埜生成#江戸川乱歩#蟲

『蟲』
(C)2025「蟲」パートナーズ
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映し出されるのは狂気の芸術か、それとも破滅の序章か

江戸川乱歩没後60周年記念作品『RAMPO WORLD』として、乱歩作品を原案に設定を現代へと置き換え、オリジナルの解釈を加えた『3つのグノシエンヌ』(10月3日公開)、『蟲』(10月17日公開)、『白昼夢』(10月31日公開)が順次公開される。 このたび、『蟲』の本ポスターと本予告、場面カットが一挙に解禁された。

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原作は、対人恐怖症の青年が初恋の相手と再会し、再び恋心を抱きながら愛憎劇へと発展していく物語。人間の深い闇を猟奇的かつ幻想的に描き出した本作は、乱歩作品の中でも問題作と評されてきた。

映画監督の柾木は、親の遺産を食い潰しながら引きこもり続けて10年になる。極端に人との接触を嫌う柾木を気に掛ける大学時代からの友人・池内は、刺激を与えようと小劇場の舞台へ連れ出すが、柾木は居酒屋で酒をあおりつつ辛辣な論評を繰り返すばかりだった。

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しかし、そこに出演女優の芙蓉が現れると、その態度が一変する。柾木の演技論に耳を傾ける芙蓉の姿に心を動かされた彼は、創作意欲をかき立てられ、彼女を主役に据えた脚本を書き始める。だが、その想いが空回りするうちに次第に狂気を孕み、誰も想像し得なかった歪んだ愛の物語を奏で始める。

解禁された本ポスターは、生気を失ったようなヒロイン・木下芙蓉(佐藤里菜)が放つ強烈な存在感に目を奪われる。その背後では、主人公・柾木愛之助(平埜生成)が優しく肩に手を添え、どこか脆さを感じさせる儚く美しいデザインとなっている。

キャッチコピーには「たとえ朽ち果てようとも あなたを愛し続ける——」と掲げられ、これは柾木の想いなのか、それとも芙蓉の声なのか。歪んだ愛の物語を予感させるポスタービジュアルが完成した。

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初の映像解禁となる本予告では、AIの声らしきものが「これは、私が記録したある人間の雄と雌による、とても奇妙な物語です」と語り、現代的でありながらどこか不穏な空気を漂わせる。

主人公は、極端に人との接触を嫌う映画監督・柾木愛之助(平埜)。柾木が撮影しているのか、映画フィルムのように無機質で色あせた画面に、本作のヒロインで女優の木下芙蓉(佐藤)が人形のように映し出され、違和感を募らせるワンシーンから物語は始まる。

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場面が変わり、柾木は大学時代からの友人・池内(木口健太)に「一緒に行かないか?」と誘われ、小劇場の舞台へ向かう。そこで出演していた芙蓉に、柾木は「彼女はミューズなんだ」とまで言うほどに惹かれていくが、やがて芙蓉と池内が恋人同士ではないかという疑念を抱き始める。

そんな柾木の前に現れるのが、謎の女・小林(北原帆夏)。芙蓉を疎ましく思う小林は、利害が一致した柾木と手を組むことになる。一体、彼らは何を企んでいるのか。

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「ラブストーリーは始まったばかりです」というAIの声に重なるように、歪んだ愛憎劇を予感させるシーンが次々と映し出される。柾木が芙蓉の身体に絵の具を塗る場面では、その異様さが際立ち、乱歩的世界観が画面いっぱいに広がっていく。さらに、池内の前で小林が「一緒に狂ってもらえますか?」と狂気じみた愛を向けるシーンも。

予告編のラストには、芙蓉の「私は綺麗でしょうか?」というセリフと、飛び交う蟲の羽音が重なり、不気味さを増幅させる。そして、柾木の涙の意味とは——。この猟奇的な愛の結末はどこへ向かうのか。歪んだ愛の物語を、ぜひ劇場で堪能してほしい。

『蟲』は2025年10月17日より全国順次公開。