Snow Man渡辺翔太のイメージと怪奇現象に襲われる主人公の姿がクロスする『事故物件ゾク 恐い間取り』

#Snow Man#事故物件#事故物件ゾク 恐い間取り#怖い映画#渡辺翔太

『事故物件ゾク 恐い間取り』
『事故物件ゾク 恐い間取り』
(C) 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

『事故物件ゾク 恐い間取り』
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『事故物件ゾク 恐い間取り』
『事故物件ゾク 恐い間取り』
『事故物件ゾク 恐い間取り』
 (C) 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会
事故物件ゾク 恐い間取り

優しくてクール――渡辺翔太のパブリック・イメージ

夏本番である。

昔から、夏は世間が怖いものを欲する季節だと道理が決まっている。だから、恐怖映画も続々と映画館にやってくる。

このイケメン×恐怖映画のコラムも、最新の映画を紹介することにした。『事故物件ゾク 恐い間取り』である。前回は、亀梨和也と『事故物件 恐い間取り』(20年)について解説したが、今回はその続編となる。

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前作と同じく、松原タニシの『事故物件怪談 恐い間取り』シリーズ(二見書房)を原作に、Jホラーの大立て者・中田秀夫監督がメガホンをとる。主演は、本作が初の映画単独主演作品となる渡辺翔太である。

言わずとしれたことだが、渡辺翔太はアイドルグループSnow Manの一員だ。

彼らの出演するテレビ番組を見ると、ほかのメンバーに比べて、渡辺翔太はどこか一歩引いている印象がある。

ゲームに熱中するほかのメンバーに対して、毒舌とも思える冷静なひと言をサクッと発して周りをフォローし、笑いが生まれる。

常に周りが見えていて、クールだけれども優しさがあふれる。彼のパブリック・イメージをまとめると、こういった印象になるだろう。

今回紹介する『事故物件ゾク 恐い間取り』。渡辺翔太の役どころは――結論から先に言えば、彼のイメージと作品の内容がピッタリはまった作品である。

『事故物件ゾク 恐い間取り』

(C) 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

渡辺翔太の魅力がにじみ出た主人公像

渡辺翔太が演じる主人公・桑田ヤヒロは、福岡の工場で汗まみれ、埃まみれになりながら必死に働き、年配の工員を思いやる青年だ。

その働きぶりから、工場長(滝藤賢一)に昇進を言い渡されるが、ヤヒロはそれを断って東京へ行くという。昔からの夢、タレントになるためだ。

工場長も過去に俳優を目指していたことがあり、そのときに世話になった芸能プロダクションの名刺を手渡し、東京に送り出してくれる。

名刺の住所を訪れると、不思議な雰囲気の社長・藤吉(吉田鋼太郎)が待っていた。ヤヒロは彼の発案で「事故物件住みますタレント」の道を歩むことになる。

『事故物件ゾク 恐い間取り』

(C) 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

さっそく、事故物件を取り扱う浄仏不動産社員の金原(シソンヌじろう)が「クリーニングなどは入っておらず、そのぶんお安い」とすすめる、かつて自殺者の出た1LDKに入居する。

カメラを回しっぱなしにしての生活が始まると、寝ている間に“なにか”に襲われて首筋に跡が残ったり、エキストラで知り合った女優の卵・花鈴(畑芽育)の様子がおかしくなったりと、次々と怪異が襲いかかる。

もちろん、渡辺翔太の驚き、あわて、恐れおののく演技も堪能できる。

だが――普段の活動で見せる周囲を見る能力、そしてSnow Manの「紹介RAP ~We are Snow Man~」で「塩顔」と自己紹介されるとおり、透明感のあるクールなイメージもあいまって――そのどこか冷静なたたずまいが際立ってくる。

さらにヤヒロには、劇中で心霊研究家・神室(山田真歩)から指摘された「優しさ」がある。

霊は人の優しさに寄りかかってくる。だから、優しいヤヒロが「なぜこの物件で怪奇現象が起こるのか」という謎を追えば追うほど、怪奇現象が次々に降りかかるのである。

「いわくつきの古い旅館」「降霊するシェアハウス」……次々とその怪異を追い求めていくにつれ、ヤヒロの姿と渡辺翔太のパブリック・イメージがクロスしていく。

恐怖(かつての『リング』を彷彿とさせる描写も登場する、中田秀夫監督の演出にも注目)がグレードアップするにつれ、映画の中のヤヒロは冷静さを増し、何が起きたのかを確かめようとする。

それが繰り返されるほど、怪異はどんどん増幅していく。そしてヤヒロは、タレントとして、人間として成長していく。

恐怖に直面しながらも逃げず、優しさをみせ、冷静に真相に迫ろうとする愚直なまでの姿は、いつしか渡辺翔太という人間の魅力を映し出したように見えてくる。

『事故物件ゾク 恐い間取り』は、ホラー映画としても、人間ドラマとしても、そして主演俳優・渡辺翔太を堪能する映画としても、十分期待していい作品と言えるだろう。(文:一角二朗/ライター)

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『事故物件ゾク 恐い間取り』は、2025年7月25日より全国公開中。

事故物件ゾク 恐い間取り