“殺人教師”の烙印を押された男の真実とは? キタニタツヤの主題歌「なくしもの」とともに映す孤独と希望

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『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』

「私はあなたの味方だから」誰かを信じることの、痛みとぬくもりを描く3分

綾野剛主演、柴咲コウ、亀梨和也を共演に迎え、第6回新潮ドキュメント賞を受賞した福田ますみのルポルタージュを映画化した衝撃作『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』。本作より、キタニタツヤによる主題歌「なくしもの」にのせて、心を揺さぶる主題歌特別映像と場面写真が解禁された。

・綾野剛×柴咲コウ×亀梨和也共演『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』の場面写真をすべて見る

2003年。小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)は、児童・氷室拓翔への体罰を理由に、保護者・氷室律子(柴咲コウ)から告発された。だが「体罰」という言葉では言い表せないほど、その内容は聞くに耐えない“虐め”だった。

この事件を嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)は、“実名報道”に踏み切る。過激な言葉で彩られた記事は瞬く間に世間を震撼させ、薮下はマスコミの標的となる。誹謗中傷、裏切り、停職——壊れていく日常。次々と襲いかかる底なしの絶望が、薮下を容赦なくすり潰していく。

一方で、律子を擁護する声は多く、550人にも及ぶ大弁護団が結成され、前代未聞の民事訴訟へと発展。誰もが律子側の勝訴を確信し、切望していた。だが、法廷で薮下の口から語られたのは──「すべて事実無根のでっちあげ」だという、衝撃の“完全否認”だった。

『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』

主人公の薮下誠一を演じるのは綾野剛。共演には柴咲コウ、亀梨和也、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫ら豪華キャストが肩を並べる。監督を務めるのは、『悪の教典』(12年)『初恋』(20年)『怪物の木こり』(23年)など映画での活躍はもちろんのこと、2025年にはTVドラマ『新・暴れん坊将軍』でも監督を務めた三池崇史。

6月27日より公開され、多くの観客の心を揺さぶり続けている本作。それぞれの観客に“問い”と“余韻”を残し、深い鑑賞体験としての衝撃を与える作品として広がりを見せている。

そしてこのたび、本作の世界をより深く掘り下げる主題歌特別映像が解禁された。キタニタツヤによる主題歌「なくしもの」にのせて構成された映像が、さらなる余韻を届ける。

主題歌特別映像では、綾野演じる“殺人教師”と呼ばれ、世間の断罪に晒されていく男・薮下誠一の視点を通して、“信じる”ことの難しさ、そしてそれでも誰かを信じたいというかすかな希望が描き出される。

教師としての穏やかな日常は、柴咲演じる氷室律子による告発をきっかけに一変。報道と世論に追い詰められ、声を上げても誰にも届かず、気づけば薮下は孤立していた——。それでも、彼のそばには妻・希美の姿があった。「離婚しようか」と呟く薮下に、「私はあなたの味方だから」と真っ直ぐに、力強く返す希美。そして、薮下の依頼を引き受ける弁護士・湯上谷。

本映像は、崩壊していく日常の中での耐え難い孤独と、そこに差し込む信頼と一筋の光を、主題歌「なくしもの」とともに静かに、丁寧に映し出していく。「⼤事なものを抱えて歩いてきたのに、気づけば空っぽだった」「なくしものを、あなたと見つけられますように」という歌詞が表すように、薮下の姿と深く重なっていく。

映像後半では、家族との穏やかな時間や、教壇に立ち子どもたちと向き合う姿が回想される一方で、社会の怒号とメディアの糾弾が容赦なく薮下に襲いかかる。絶望の中でもがきながら、それでもなお前を向こうとする薮下。

この映像が映し出すのは、誰か一人の善悪を裁く物語ではなく、立場の数だけ存在する“それぞれの真実”のひとつである。「なくしもの」が静かに寄り添うこの映像は、失ったものがすべて元に戻るわけではないという非情な現実の中で、それでもなお信じ抜く力や、もう一度「信じてみたい」と願う気持ちを浮かび上がらせ、見る者の胸にそっと呼び起こしてくれる感動的な内容となっている。

また、公開された場面写真には、薮下の平穏な日常や、彼を支える人々の姿が静かに映し出されている。児童たちに優しく声をかけながら、柔らかな笑顔で体育の授業にあたる薮下の姿は、教師として子どもたちに寄り添う一面を捉えたもの。リビングで妻・希美と談笑する穏やかなひとときを切り取った写真からは、ふたりの間に流れる温かな空気が伝わってくる。

さらに、薮下のために奔走する弁護士・湯上谷が、病院で関係者に穏やかに語りかける場面も収められている。

“信じること”の意味が問われるこの物語において、これらの写真は、薮下の人生に確かに存在していた「日常」と「つながり」の存在を、私たちにそっと語りかけてくれる。

『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は現在公開中。