将来の『カメラを止めるな!』『PLAN 75』!? ENBUゼミナールの卒業製作がカンヌ学生映画部門で3位の快挙!

#PLAN 75#カメラを止めるな!#カンヌ映画祭#ルノワール

(C)JIJI
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第78回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ラ・シネフ部門」に出品されていた田中未来監督作『ジンジャー・ボーイ』が第3位(Troisième prix)獲得という快挙を達成した。

・SNS世代が支持し異例の躍進!『カメラを止めるな!』快進撃から目が離せない

友情が壊れていくさまを独自の映像美で描いた『ジンジャー・ボーイ』

カンヌ映画祭の「ラ・シネフ部門」は映画学校の作品を対象としていることで知られる。

今回その3位となった『ジンジャー・ボーイ』は、地方銀行員の岸田が、東京の本社で欠員が出たことで急遽東京への異動が決まったところから始まる。

急な話だったため、東京でフリーターをしている高校時代からの友人、倉のもとに一時的に世話になることになるが、いつしか共同生活に疲弊していく。

彼らの友情が壊れていくさまを、繊細なタッチかつ独自の映像美で描いたことが、大きな評価となったようだ。

本作の田中監督は1993年生まれ。東京都出身で、中央大学文学部を卒業後、社会人を経て「ENBUゼミナール」に入り、映画監督を目指していた。本作はENBUゼミナールの卒業製作だった。

この経緯は『PLAN 75』(22年)、そして今回のカンヌでも上映された『ルノワール』の早川千絵監督を彷彿させる。

早川監督も社会人経験を経て30代でENBUゼミナールに入り、2014年に同ゼミナールの卒業制作作品『ナイアガラ』が、当時のカンヌの学生映画部門(当時はシネフォンダシオン部門)に出品されている。

ENBUゼミナールは1998年開校。監督、演出家、俳優などを目指す人たちに向けた養成スクールとして知られている。

また近年では「シネマプロジェクト」企画から、上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』(17年)を生み出したことでも有名だ。

偶然にも、またも同じ場所から、日本映画界の新たな才能が花開いたと言っていいだろう。

田中監督は受賞を受け、「見た人が人との関わりを見つめ直すような映画を作り続けていきたい」と語っている。

田中監督のコメント全文は以下のとおり。

■田中未来(監督)

このたび、ラ・シネフで3位を受賞させていただき、夢のように感じます。

世界中から素晴らしい作品が集まっている中で、自分の作品がこのような評価をいただいたことを光栄に思います。この作品に出演していただいた俳優部、技術スタッフの皆さんが力を貸してくださったゆえの賞だと思っております。

人が誰しも感じたことのあるような普遍的なメッセージを脚本に込め、見た人が人との関わりを見つめ直すような映画を作り続けていきたいです。

『ジンジャー・ボーイ』はMOOSIC LAB 2025 地方上映のラインナップの1本として5月31日、6月2日、6月5日に大阪シアターセブン、6月1日、6月9日に名古屋シネマスコーレ、6月28日に松本CINEMAセレクトで上映。