処刑者は14万人…男性同性愛を禁ずる「刑法175条」のもと、愛する自由を求め続けた男の闘いとは?

#LGBT#LGBTQ#ゲオルク・フリードリヒ#セバスティアン・マイゼ#フランツ・ロゴフスキ#大いなる自由#映画

『大いなる自由』
(C)2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions

『大いなる自由』
『大いなる自由』

1871年から1994年までの123年間施行され、処罰者は14万人にも及ぶ

2021年カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞、2022年アカデミー賞国際長編映画賞オーストリア代表作品に選出された『Great Freedom』が、邦題『大いなる自由』として、7月7日より劇場公開される。

・拭いきれない偏見に気づき、ショック受ける『エゴイスト』鈴木亮平インタビュー

・両親離婚の理由は「パパが女性になりたいから」。女性監督の実体験をもとに描く性別を超えた家族愛のドラマ

Bunkamuraル・シネマが自社買付・初の全国配給を決めた本作は、第2次大戦後ドイツで男性同性愛を禁ずる「刑法175条」のもと、愛する自由を求め続けた男の20余年にもわたる闘いを描いた、静かな衝撃作。岸田首相の同性婚で「社会が変わってしまう」発言や、荒井勝喜首相秘書官の「見るのも嫌だ」発言が議論を巻き起こしている今こそ注目すべき作品だろう。

第2次世界大戦後のドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条のもと、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の殺人犯ヴィクトールは「175条違反者」である彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所から直接刑務所に送られたことを知る。

己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった2人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていく。

自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される主人公ハンスを演じたのは、ミヒャエル・ハネケ監督『ハッピーエンド』(17年)やドイツ映画賞主演男優賞に輝いた『希望の灯り』(18年)などで大きな印象を残した次世代スターで、ダンサー・振付師でもあるフランツ・ロゴフスキ。

当初は同性愛者であるハンスを嫌悪しながらも、次第に心をほどいていく殺人犯ヴィクトールを演じたのは、『Bright Nights』(17年・未)で第67回ベルリン国際映画祭最優秀男優賞を受賞した演技派ゲオルク・フリードリヒ。

『大いなる自由』

刑務所という特殊な環境下で育まれる唯一無二の関係性を、絶妙な距離感で具現化した2人のケミストリーは、海外メディアから「言葉はいらない。この2人がいればいい」(DEUTSCHLANDFUNK KULTUR)、「傑出した俳優たちによる、力強く忘れがたい物語」(POLYESTER FRANCE)と称賛された。

監督・脚本は、オーストリア人監督のセバスティアン・マイゼ。各国映画祭で高く評価された長編デビュー作『Still Life』(11年・未)以来の劇映画となる。撮影監督は『トムボーイ』(11年)『ガールフッド』(14年)のクリステル・フルニエ。

『大いなる自由』は7月7日より全国順次公開。

[動画]鈴木亮平×宮沢氷魚、じゃれあう2人/映画『エゴイスト』本編&インタビュー映像

INTERVIEW