(後編)「榮倉奈々&トヨエツ」の足キス、「高良健吾&石田ゆり子」のパッション、どちらに軍配か!

#週末シネマリサーチ

『悼む人』
(C)2015「悼む人」製作委員会/天童荒太
『悼む人』
(C)2015「悼む人」製作委員会/天童荒太

(…前編より続く)
○【6位予想】『娚の一生』
西炯子の同名コミックを、廣木隆一監督が映画化した大人のラブストーリー。50代の大学教授に豊川悦司、過去にとらわれ幸せになれないキャリアウーマンを榮倉奈々が演じる。
特報映像が公開されると「床ドン」や「足キス」などのフレーズと共に大いに話題となった本作。2014年12月16日の完成報告会見でも「足キス」というフレーズが飛び交うなど、プロモーションは徹底して“大人の秘め事”を喚起させる戦略をとっている。
廣木監督&榮倉のコンビと言えば『余命1ヶ月の花嫁』((09年・東宝)が思い出される。初週で動員30万人、興収4億1000万を記録して堂々1位を記録したが、公開規模や配給が違うのであまり参考にはならないだろう。同一公開規模で比較すると、本作と同じショウゲート配給の宮崎あおい&向井理が共演した『きいろいゾウ』(13年)が、236スクリーンで動員約6万人、初週7位にランクイン。関ジャニ∞・大倉忠義&桐谷美玲の『100回泣くこと』(13年)が223スクリーンで動員11万人、興収1億5,000万で2位。大倉忠義人気を考慮すると『100回泣くこと』までの爆発力は厳しいものの、『きいろいゾウ』よりエンタメ色が強く、ターゲットも間口が広い。6〜7万人の動員は十分見込めるだろう。

(前編)「榮倉奈々&トヨエツ」の足キス、「高良健吾&石田ゆり子」のパッション、どちらに軍配か!

▲【8位予想】『悼む人』
第140回直木賞を受賞した天童荒太の同名小説を堤幸彦監督で映画化。事件や事故で亡くなった人々を「悼む旅」を続ける主人公・静人に高良健吾、静人の旅に同伴する女性を石田ゆり子が演じる。
2014年12月1日に完成報告会見が行われ、1月26日には完成披露試写会を実施。劇中で石田が見せる体当たりの濡れ場がフューチャーされ、紙面やネットをにぎわした。映画人から絶大な支持を受けている高良だが、メインで出演した過去の作品をみると『横道世之介』(13年)が10位、『武士の献立』(12年)が動員約7万人で7位、『白夜行』(11年)が約6万人で6位と“堅実”な路線。
共演者に井浦新、椎名桔平、大竹しのぶ、貫地谷しほりなど、重厚なテーマにふさわしい実力派が顔を揃える。死を扱っている作品なだけに、“難解さ”がクローズアップされると、
客足が鈍る危険性もあるため『娚の一生』を上位にとったが、石田が「深く考えず、映像に映し出されたものをそのまま感じてほしい」というメッセージで作品をアピールしたように、映画には、ありのままを受け止めるだけで成立する底力がある。

△【10位予想】『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』
世界中で愛されているムーミンの生みの親であるトーヤ・ベンソン生誕100周年を記念して、フィンランドで製作されたアニメーション映画。バカンスにやってきたムーミン一家の冒険を描く。
昨年、銀座松屋で開催された「MOOMIN!ムーミン展」は、連日大盛況で、グッズを購入するファンで会場はごった返し、改めて根強いファンがいることを証明した。上映館数も100館以上(公式HP参照)を確保しており、ムーミン役を人気声優・高山みなみがつとめる。六本木ヒルズでは3月15日まで映画の原画や絵コンテなどを展示する「Roppongi Hills meets Moomins」を開催中。作品の知名度プラス、効果的なプロモーションで注目度は高まっている。

【注目シネマ】
×『味園ユニバース』
「関ジャニ∞」渋谷すばるが映画単独主演をつとめたことで話題に。監督は『もらとりあむタマ子』(13年)や『苦役列車』(12年)の山下敦弘、共演に実力派女優・二階堂ふみと、映画好きなら食指が動く作品だ。
「関ジャニ∞」のメンバーは動員に大きな影響を持っている印象で、『娚の一生』の欄でも触れたが、大倉忠義は主演の『100回泣くこと』で11万人、武井咲との共演の『クローバー』(14年)で14万人を動員。錦戸亮が主演をつとめた『ちょんまげぷりん』(10年)は36スクリーンながら9位、『県庁おもてなし課』(13年)は9万人で3位、北川景子と共演した『抱きしめたい 真実の物語』(14年)は24万人を動員。約60館(公式HP参照)からのスタートだが動向に注目が集まる。

×『リトル・フォレスト 冬・春』
五十嵐大介の同名コミックを「夏・秋」、「冬・春」の2編に分けて劇場公開する作品の後編。主演は出演作が途切れることがない人気女優・橋本愛。東北の小さな村で自給自足を営む、いち子(橋本愛)の目線を通して、人が生きていくことや自然の美しさや厳しさを、魅力的な料理と共に描いていく。
第65回ベルリン国際映画祭「キュリナリー・シネマ」部門に招待。海外映画祭初参戦となった橋本は、現地時間2月10日に振袖姿で登壇しドイツ語でのスピーチに挑戦した。上映館数は少ないが、ドキュメンタリー番組が放送されたり、海外での評価も追い風になり、注目度は高い。淡々と物語は進行していくが、ちょっとした息遣いや差し込む光、何気ないいち子の表情に、多くのドラマを感じることが出来る魅力的な作品に仕上がっている。

(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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