『トップガン』規格外すぎる撮影の裏側 海軍も動かし、ソニーは新しくカメラ開発!?

#ジョセフ・コシンスキー監督#トップガン#トップガン マーヴェリック#トム・クルーズ

トップガン マーヴェリック
(C)2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
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全世界待望のスカイアクションムービー『トップガン マーヴェリック』が527日より公開中だ。

伝説のパイロット・マーヴェリック役でトム・クルーズを一躍ハリウッドのスターへと押し上げた伝説の名作『トップガン』(86年)。本作は、新型コロナウイルス感染拡大による度重なる公開延期を経て遂に公開される待望の最新作だ。

故郷の古い映画館で『トップガン』を見た少年が、航空機のデザイナーを目指しスタンフォード大学へ。奇しくも『トップガン マーヴェリック』で自身の興味の“原点”へと立ち返ることとなったジョセフ・コシンスキー監督が今回、本作について語ってくれた。

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全てにおいて極限! 監督も「2度とできない」と語る過酷な撮影秘話

トウモロコシ畑で模型飛行機を飛ばしていた幼い頃の自分が、いつかこの映画を作ることになるとは思わなかったでしょう。その問いかけにコシンスキー監督は、「ああ、かなり非現実的だよ」と答える。

多くの奇跡的な瞬間があったという本作の製作の中でも、マーヴェリック(トム・クルーズ)とアイスマン(ヴァル・キルマー)の共演シーンを演出するのは「信じられない瞬間だった」とコシンスキー監督。「トムとヴァルが『トップガン』以来、初めて一緒にスクリーンに登場したときは本当に感動的だった。2人にとってもね。まるで時間が全く経っていないかのようだった。お互いジョークを言い合い、86年当時のサンディエゴの撮影を懐かしんでいた」。

さらに、「ヴァルはとても素晴らしい俳優だ。寛大で、面白い。ウィット、ユーモア、目の輝き。この伝説的な二人がスクリーンで再会するのを見られたのはすごいことだ。その様子を眺めているのは、まさに夢のような瞬間だった。素晴らしかったよ。決して忘れることのできない出来事の一つだ」とその感動を振り返った。

演技面でも技術的な面でも特に気合いの入った、本作の飛行シーン。実際に俳優が飛行機に乗って撮影が行われたことについてコシンスキー監督は、「トムの場合は、このようなことができるだろうと皆も期待している。彼は熟練したパイロットであり、アクロバット飛行もこなす。彼が飛行機の外につかまっているシーンは見ただろう。トムに飛行機に乗ってもらうというのは、驚くべきことでありながらも、僕らは彼ができると期待していることだ。だが他のキャストを飛行機に乗せるということは全く別の偉業だ」と話す。

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米海軍戦闘機の最前線であるF-18に乗るためには、重度の重力に耐えうる肉体的なトレーニングや、射出座席や水上射出、パイロットの訓練など、戦闘機に乗るために多くの訓練を受けなければならないのだという。「F-18に乗って7Gを受けたら、大抵の人は気絶して嘔吐し、それで終わりだ。俳優たちはそんな中で、実際にシーンを演じなければならない。彼らはパイロットと一緒に上空に行く。それを人間レベルでやり遂げるのは、すごく大変なことなんだ」とその過酷さを語ったコシンスキー監督。

さらに技術的な面での苦労も語る。「撮影監督と僕はこの映画をどうやって撮影するかを考えなければならなかった。みんなを上空に集められることは素晴らしいが、もしその映像を適切に撮影できなければ、全員の時間を無駄にしてしまう」。

本作の撮影を遂行するためコシンスキー監督が行ったのは、まさに規格外の方法だった。「ソニーと協力して、コックピットに収まるサイズで、かつIMAX品質の映像を撮影できる新しいプロトタイプカメラを開発した。1台のカメラではなく、6台のカメラをコックピットに収められる方法を考え出した」。カメラには、「時速600マイル(約965km)のスピードと8Gの負荷、37,000フィート(約11277m)の高度に耐えられるもの」と耐久性も求められた。

86年に『トップガン』を見て入隊した人たちが現在の海軍の責任者に

海軍の協力もマストだったという。「海軍と協力し、航空機にカメラを搭載するための技術的な認可を得るのに約1年かかった。これを実現するために、俳優、カメラ、海軍飛行士のパイロットがどれほどの調整と準備を行ったのか誰にも想像がつかないと思う。そしてこのような空中シーンの調整は、時速600マイルで行われる3次元のチェスのようなものだ。準備と調整の量は半端じゃなかったよ。14時間撮影しても、使える素材は1分程度しか得られない。映像を得るための、とてもゆっくりとした計画的なマラソンのようなものだった。でも、最終的には、どんな視覚効果をもってしても再現できないようなイメージを生み出すことができたんだ。俳優の体にかかる重力を見てとることができる。演技では成し得ないものだ」とコシンスキー監督。

また「1986年にこの映画を見て入隊した人たちがいま海軍の責任者になっているから、『トップガン』のおかげで海軍と一緒に多くのことを行うことができた。その点で僕らは有利だったんだ」という、『トップガン』の影響力を感じさせる話も聞かせてくれた。

一番の見どころについて、「すべてのことが挑戦だったが、その中でも特に難しく、最も印象に残り、僕が誇りに思うシーンは…おそらくトムもそうだろう、トムがF-18の能力を、スピードと高度において絶対的な限界まで押し上げるシーンだ。彼は上官に何かを証明するために、このジェット機を壊れる寸前まで押し上げる」とコシンスキー監督は語る。

トップガン マーヴェリック

この撮影には非常に多くの許可が必要だったため、“二度と行われることはない”というが、海軍最高のパイロットとトムの最高の演技が重なり、壮大なシーンに。

コシンスキー監督の「観客に見てもらえるのが楽しみで仕方ないよ。映画が公開された後、間違いなくトムの“最高のシーン”集に入るような映像だね」という言葉でさらに本シーンへの期待が高まる。