【今日は何の日】“猫パンチ”ミッキー・ローク復活の軌跡を「ボクシングの日」に振り返る

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『ウォーハント 魔界戦線』
5月27日公開『ウォーハント 魔界戦線』のミッキー・ローク
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『ウォーハント 魔界戦線』
ミッキー・ローク/(C) 2008 Getty Images
『レスラー』

5月19日は「ボクシングの日」だそうである。1952年(昭和27年)のこの日、世界フライ級タイトルマッチで白井義男が日本人初の世界チャンピオンとなったことを記念して、日本プロボクシング協会が2010年(平成22年)に制定した記念日だ。

「ボクシング」といえば、映画ファンの中にはスクリーンの外で強烈なインパクトを放ったアノ俳優を思い出す人も多いのではないだろうか。キーワードは「猫パンチ」である。

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一瞬で天下のセックスシンボルから八百長野郎に格下げ

今では『レスラー』(08年)や『アイアンマン2』(10年)などのイカついイメージがあるミッキー・ロークは、かつてはセックスシンボル的存在のイケメン俳優であった。『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(85年)、『ナインハーフ』(86年)、『エンゼル・ハート』(87年)などの作品で人気を博し、モテ男としての確固たる地位を築いていたのである。

『レスラー』

『レスラー』 (C) Niko Tavernese for all Wrestler photos

ところが、だ。事件は1992年、ここ日本で起こった。かつてマイアミの有名なボクシングジムに通っていたロークは、1991年に俳優からプロボクサーに転身。そして、ボクシングの試合のために来日したのである。「あのイケメン俳優のミッキー・ロークが!」ということで否が応でも世間の注目は集まる。日本国民はワクワクしながらテレビにかじりついた。試合結果を先に言ってしまうと、ロークのKO勝ちだ。だが、その勝ち方がいけなかった。ボクシングのことなど何も知らない素人が見ても、「え? それちゃんと当たってました? そんなパンチで効きます?」と言いたくなるようなショボいパンチで、なぜか対戦相手はマットに沈んでダウンしてしまったのである。

試合を見ていたすべての人の脳裏にある三文字のキーワードが浮かんだ。「八・百・長」である。試合実況を行なっていたアナウンサーがロークのパンチを「猫パンチ」と表現したことから、以降ミッキー・ロークには「猫パンチ」というキーワードが付いて回ることになる。当然世間はブーイングの嵐。それまでの輝かしい栄光を一瞬で失う瞬間が、全国ネットでライブ中継されてしまったのだ。

ボクサー引退後、『レスラー』で復活! 最新作も公開!

猫パンチ事件から数年後、彼はボクサーを引退して俳優に復帰する。ボクシングの後遺症による整形手術が原因で、かつてのイケメンのイメージからはだいぶかけ離れてしまいガッカリしたファンも多かったかもしれない。だが、俳優としては一皮むけて新たな局面を切り開いたと言えるのではないだろうか。なんと、自らを投影したような役柄で、スター俳優としても復活を果たしたのだ。

その作品が、先述の『レスラー』だ。ダーレン・アロノフスキー監督は、元スターの落ちぶれた中年レスラー役にロークを起用。ロークは筋肉ムキムキのボディで熱演し、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)を受賞、アカデミー主演男優賞にもノミネートされたのだ。

ミッキー・ローク/(C) 2008 Getty Images

2008年11月に行われたアメリカ映画協会映画祭に出席した際のミッキー・ローク/(C) 2008 Getty Images

そんな彼の最新主演作『ウォーハント 魔界戦線』が、2022年5月27日より全国公開される。戦争アクション×オカルト×ホラーが融合した作品だ。猫パンチ事件は時効ということで、彼の俳優としての魅力を堪能しに映画館に足を運んでみていかがだろうか。(T)

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