【今日は何の日】ボブスレーの日! クールな走りを魅せるアツい奴らとアノ国と

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『クール・ランニング』DVD
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『ハーダー・ゼイ・カム』

ウィンタースポーツの祭典、冬季北京オリンピックが幕を開けて1週間が経った今日2月12日は、ボブスレーの日だそうだ。1938年のこの日に、北海道札幌で日本初の全日本ボブスレー選手権大会が開かれたことにちなんで生まれた記念日とのこと。ボブスレーの映画というと、やはり真っ先に思い浮かぶのはあのヒット作ではないだろうか。

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ジャマイカ初のボブスレーチームを描いた『クール・ランニング』

『クール・ランニング』は、雪など見たこともないカリブ海の島国ジャマイカの若者が、冬季オリンピックにボブスレーでエントリーするという実話に基づいた映画だ。ボブスレーがどんな競技かもロクに知らない4人の青年たちが、わずか3ヵ月後に迫ったカルガリーオリンピックを目指して雪も氷もない南国ジャマイカの草原で手押し車のようなソリの代用品を使って猛特訓を始めるのである。

ボブスレーは4人1チームでソリをコントロールするのだが、ジャマイカチーム4人の個性豊かなキャラクターが映画の魅力に大きく貢献しているのは間違いない。特にお調子者のサンカがいい味を出している。チームは、予選参加のためにカルガリー入りして初めて氷上を歩き、ようやく実際のボブスレーのソリに乗るという始末。それゆえ、周りから場違いだと嘲笑されながら四面楚歌の中、練習を重ねていく。だが、強豪スイスを真似た「アイン、ツヴァイ、ドライ(ドイツ語で1、2、3)」というスタートの掛け声をジャマイカ流に改めることでチームはターニングポイントを迎える。人真似をやめてジャマイカ人としての誇りとアイデンティティを取り戻したことで、彼らの“滑り”は確実に変化していくのだ。

ディズニーの製作とあって、笑いあり、涙あり、感動あり、と実にバランスの取れた秀逸なエンターテイメント作品に仕上がっている。本編を見終わって感動の余韻に浸っている所で、耳に滑り込んでくる軽快なエンディングテーマがまたなんとも心地良い。このジミー・クリフが歌う「I Can See Clearly Now」は、映画同様大ヒットとなった。

ジャマイカ初の映画『ハーダー・ゼイ・カム』はカルトムービーの名作

『クール・ランニング』がジャマイカ初のボブスレーチームを描いた映画なら、次にご紹介する『ハーダー・ゼイ・カム』はジャマイカ初の商業映画である。ハッキリ言ってしまうと、万人受けする映画ではない。だが、“捨て曲なし”とも言われるサウンドトラックと共に根強い人気を誇るカルトムービーの名作である。そしてこの映画に主演しているのが、『クール・ランニング』のエンディングテーマを歌っていたジミー・クリフなのだ。彼は、ジャマイカ音楽史の黎明期を支えたジャマイカ音楽界の重鎮である。

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舞台は1970年代のジャマイカ。都会での成功を夢見る等身大の若者の姿、貧困に喘ぐスラム街の風景、腐敗した社会の裏側など、当時のジャマイカの実情をリアルに描き出したアンチヒーローものとなっている。ジャマイカ初の映画とあって、上映初日には映画館に入りきれないほどの観客が押し寄せた。そして映画を見た彼らは、作中人物に自分たちの現実を重ね合わせて感情移入し、アンチヒーローの一挙手一投足に狂喜乱舞して大喝采を送ったのである。とはいえ、スマホで注文すれば食事でも何でも欲しいものがすぐ玄関先に届く令和4年の日本に住んでいる我々が、彼らと同じ熱量でこの映画を見ることは不可能だ。だが、未だ名作として根強い人気を誇っているからには必ずそれなりの理由がある。「サントラを聴いて音楽を気に入った人が映画を見て、映画を見て気に入った人がサントラを聴くという好循環が生まれた」とは監督のペリー・ヘンゼルの弁。

『ハーダー・ゼイ・カム』のサントラは、米ローリングスト-ン誌の年間ベストアルバムにもランクインを果たし、ヴェネチア国際音楽祭でも賞を受賞するなど高い評価を得ている名盤だ。この映画は、映像と音楽が両輪となって現代まで走り続けてきたのである。興味のある方は、ミュージックビデオを見る感覚でジミー・クリフ演じるアンチヒーローのカッコよさに酔いしれてみてはいかがだろうか。(T)

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