あの遺書は子どもからのSOSなのか? 家庭内暴力と重圧に思い悩む子どもの姿に涙が止まらない

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ALL RIGHTS RESERVED (C) 2023 ROUNDTABLE PICTURES LIMITED
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中国をはじめ日本でも絶賛された監督デビュー作

子どもが受けるプレッシャーや家庭内暴力など痛切な現実を描きながら、兄弟が魅せる純粋で切ない幼少期の記憶が見る者の胸を打つ映画『年少日記』。中国版アカデミー賞「第60回金馬奨」で 観客賞と最優秀新人監督賞を受賞した本作の、監督とプロデューサーへのインタビュー映像が公開された。

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『年少日記』は第36回東京国際映画祭でも上映され、多くの観客から「今年のベスト」「涙が止まらない」と称賛の声が挙がった作品だ。

主人公は、高校教師のチェン。自身が勤める学校で自殺をほのめかす遺書が見つかる。私はどうでもいい存在だ——自分が幼少期に日記に綴った言葉と同じだった。彼は遺書を書いた生徒を捜索するうちに、閉じていた日記をめくりながら自身の幼少期の辛い記憶をよみがえらせていく。それは、弁護士で厳格な父のもとで育った兄弟の記憶だ。勉強もピアノも何ひとつできない兄と優秀な弟。親の期待に応える弟とは違い、出来の悪い兄は家ではいつも叱られていた。しつけという体罰を受ける兄は、家族から疎外感を感じ…。

脚本家として活躍してきたニック・チェク監督は本作が監督デビュー作となるが、自身の経験を元にオリジナルストーリーを書き上げたという。インタビュー映像冒頭では撮影現場で涙を浮かべる監督の姿が映し出される。

ニック・チェク監督
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監督は「子どもや若者を思いやってほしい、というメッセージを込めた」と説明する。さらに、監督・脚本家としてのキャリアもあるプロデューサーのデレク・イーは、本作で提示する家庭や学校教育の問題は世界で共通していることを指摘する一方で、本作は何かを批判したいわけではなく、「ある事柄を映画で描くことにより、社会・家庭・子を持つ人に違う考え方や見方を提示している」と付け加える。

インタビュー動画と同日、映画の場面写真も公開された。

本作に惚れ込んだ著名人からも続々と称賛コメントが到着。

■呉美保(映画監督)

子は親の所有物ではなく、別の人格だ。頭では理解できてもほとんどの親はその距離感に苦しんでいるだろう。開かれた我が子の未来を願うなら、心をえぐられながらも、けして目を背けずに、この映画を見てほしい。

■ぼる塾 酒寄希望(芸人)

日記は思い出です。文字になった時点で全てが過去になります。過去はもう過ぎ去ってしまったものです。ですが、この作品を見て、過去はいつも今に寄り添っているのだと気づかされました。全てがわかったとき、涙が止まりませんでした。私には優秀な兄がいます。私は優秀ではありません。それでも私は兄が好きです。

■ぼる塾 田辺智加(芸人)

親子、兄弟の関係が自分が過ごしてきた環境とは全く違いました。親、少年が背負ってきたものを考えると涙が止まりません。僕はどうでもいい存在。というとても気になる台詞がありますが、そう思う人を1人でもなくしたい、そんな人に全力で手を伸ばしてあげられる人になる! と思いました。

■宇垣美里(フリーアナウンサー・俳優)

過剰なプレッシャーと絶え間ない否定、どこにも味方がいない世界は灰色で、冷たい。触れた先から切れてしまいそうなほどの絶望にじくじくと心が痛む。否定しないでよ、認めてよ。できたら愛して。かつてのあの子が泣き出しそうになるから、あわてて蓋をした。

回想シーンと現代シーンを行き来しながら、少年の“不安”と大人の“痛み”を映し出した本作。その公開を待ちたい。

『年少日記』は2025年6月6日より全国公開。

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