『小さなバイキング ビッケ』伊藤沙莉インタビュー

母からもプレッシャー!? 演技派若手女優が少年役への意気込み語る

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伊藤沙莉

母の感想を聞くのは緊張しますが、楽しんでくれたらいいな

『小さなバイキング ビッケ』
2020年10月2日より全国公開中
(C)2019 Studio 100 Animation – Studio 100 Media GmbH – Belvision

『SING/シング』『怪盗グルーのミニオン大脱走』のスタッフが贈る感動の冒険ファンタジー映画『小さなバイキング ビッケ』が10月2日より全国公開される。主人公は、海賊の息子だが暴力嫌い、小さくて力の弱い少年ビッケ。彼は魔法の剣の力で黄金に姿を変えられてしまった母を救うために、海賊長の父ハルバルとその船員たちと共に大海原へ冒険の旅に出る。主人公ビッケの日本語吹替版声優を務めるのは、女優としてはもちろんのこと、テレビアニメ「映像研には手を出すな!」で声優としても高い評価を受けた伊藤沙莉。そこで今回は、『映像研には手を出すな!』『ペット2』に続き、三度目の声優挑戦となった彼女に話を聞いた。

──女優仕事と比べて、声優仕事に挑む気持ちはいかがですか?

伊藤:毎回、「わたしでいいのかな」とか「この声で大丈夫かな」とすぐに思ってしまうのですが、スタッフの皆さんが、この声で想像していただいて、何かを生み出そうとしてくださっているのであれば、そこに少しでも貢献できたらいいなと思いました。

──少年の声を、というオファーが来たときはどうでしたか?
『小さなバイキング ビッケ』アフレコ中の様子

伊藤:わたしはこういった(ハスキーな)声なので、やんちゃな感じの役、男の子の役をやってみたいと思っていました。だから本当にうれしかったです。

──少年の声がハマっていたので、今後も少年役のオファーが来そうですね。

伊藤:お話をいただけるなら、ぜひともやらせていただきたいですが、毎回すごく緊張してしまうんです。やはりアニメ好きな方は、声優さんにやってほしいという気持ちが少なからずあると思うんです。だからそういう皆さんをガッカリさせたくないですし、オッと思わせるような何かが少しでもできればいいなと思っています。声の仕事は好きなので、これからもやっていきたいですね。

──ビッケの声の出し方で、音響監督さんとかとやりとりしたことはありましたか?
伊藤沙莉

伊藤:音響監督さんから、わたしの普段の声は、年齢がちょっと高く、青年の声に聞こえるんだそうです。低い声ならいくらでも出るのですが、今回は小さなバイキングの少年の役。男の子、女の子というよりは、どちらかというと年齢を意識して声を出すようにしました。あとは、トーンが落ちないように声に張りが出るようにして演じました。特に私は声だけ聞いていると本当に大人に聞こえてしまうので、はじける感じが出せたらいいなと思いながらやっていました。

──ビッケというと、ある年代以上の人だと、アニメで知っている人も多い作品だと思うのですが、この話がきた時の周りの反応はいかがでしたか?

伊藤:とにかく母が年代的にドンピシャで。アニメをリアルタイムで見ていたので、すごく喜んでいました。ただ、娘がビッケをやるということは感慨深いので、そこはうれしいけれど、とにかくビッケの世界観を絶対に壊さないで、と。そこは責任を持ってやりなさいと言われ、プレッシャーを感じました(笑)。でも母はちゃんと映画館で公開されたら見たいと言ってくれているので、感想を聞くのは緊張しますが、楽しんでくれたらいいなと思っています。

いとうさいり

──伊藤さん自身が映画をご覧になった感想は?

伊藤:全体的にお話もすてきですし、何より絵がとってもきれいですよね。スケールの大きなバイキングの物語が描かれている映画で、意外と身近なことにも置き換えられるお話だなと思います。困難を乗り越えた先に見えるものが、すごくきれいな景色だったり、みんなの胸を打つものが絶対にあるな、と思いました。ビッケはかわいいですし、共感するところが多かったです。ビッケの成長する姿も感動しましたし、これは小さなお子さんからお年寄りまで、みんなが楽しめる作品なんじゃないかなと思いました。

──今回の「ビッケ」もそうですが、最近はお仕事も順調ですよね。お仕事に対する意識も変わってきたんじゃないですか?

伊藤:そうですね。でもお仕事のスタンスや現場でのあり方だったり、お芝居に対する姿勢は、そこまで大きく変わっていないかなと思います。どんどん、塵も積もればいいですね。ただこれは少しおこがましいかもしれないですが、誰かの期待を少しでも感じると、その期待を裏切ることはできないなとか。むしろ期待していただいてるよりも上のものをご提供しなくては、という気持ちが働いてしまい、プレッシャーを感じることはありますね。でもとにかく、お芝居をすることが何より好きなので、好きなことをやらせていただいてることに幸せを感じている毎日です。

私の「楽しい」が皆さんにも伝染していると嬉しい

──伊藤さんのキャリアを振り返ると、自分が面白いと思ったことであれば、役の大小や、その作品がメジャーであるか、インディーズであるか、ということにあまりこだわらずに仕事を受けているように感じるのですが。

伊藤:基本的には本当にそうです。子役からずっとやらせていただいていて。オーディションで役をいただくことが多かったので、オファーをしていただけることが、いまだになんだか夢のような感じです。求めてくださるのであれば、いくらでもやります、という思いです。でも本当にありがたいことに、読ませていただく台本が、素直に面白いなと思えるものが多いので、そこはすごく恵まれていると思いますし、やりたいと思う仕事をさせていただいています。

──はたから見ていても、伊藤さんの出演作は面白い作品や話題作が多く、また伊藤さんのキャラクターが話題となることも多くなったように思います。

伊藤:楽しい作品に出られているなというのはすごく感じます。演じていて楽しいものが、作品として形になって、皆さんの目に届くようになったときに、その「楽しい」が伝染していると思うと本当に嬉しいです。いい作品に巡り合えているなというのは感じるので、マネージャーさんたちにとても感謝しています。

いとうさいり

──伊藤さん自身の、女優としてのあこがれだったり、理想像はあるんですか?

伊藤:予告編を見たりして、「この方が出ているんだったら見たいな」というような、人によってその作品に導かれることがけっこうあります。そういう人になれたらいいなと常に思っています。伊藤沙莉が出るなら面白そうだなとか、伊藤沙莉がこんな役をやるなら見てみようかなとか。そういうきっかけになれる人になれたらいいなと思います。

(text:壬生智裕/photo:中村好伸)

伊藤沙莉
伊藤沙莉
いとう・さいり

1994年5月4日生まれ。千葉県出身。2003年、9歳でドラマデビュー。『blank13』(17年)、『パンとバスと2度目のハツコイ』『榎田貿易堂』『寝ても覚めても』(3作とも18年)などの映画に出演し、第10回TAMA映画賞で最優秀新進女優賞、第40回ヨコハマ映画祭で助演女優賞、主演を務めた『タイトル、拒絶』(20年11月13日より公開)で第32回東京国際映画祭東京ジェムストーン賞を受賞。2020年6月、テレビアニメ『映像研には手を出すな!』やドラマ『これは経費で落ちません!』『(19年)、『ペンション・恋は桃色』(20年)などでの活躍を評価され、第57回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、さらに『生理ちゃん』(19年)で第29回日本映画批評家大賞助演女優賞に輝いた。そのほかの出演作にドラマでは『ひよっこ』(17年)、『獣になれない私たち』(18年)、『全裸監督』(19年)、『いいね!光源氏くん』(20年)など。公開待機作に、映画『十二単を着た悪魔』『ホテルローヤル』『タイトル、拒絶』が控えている。