1993年1月15日生まれ。京都府出身。NHK連続テレビ小説『あさが来た』(16年)の田村宜役が話題を呼び、映画やドラマ、舞台と活躍の幅を広げる。『ハケンアニメ!』(22年)で第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞、『正体』(24年)では第48回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。主な出演作品に、『見えない目撃者』(19年)、『泣く子はいねぇが』(20年)、『九龍ジェネリックロマンス』(25年)がある。主演映画『シャドウワーク』が2026年に公開予定。
『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸、若葉⻯也、吉岡里帆インタビュー
「俺は吉岡里帆と走ったぞ!」「あの音はすごい」それぞれの忘れがたいシーンとは?
#ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。#吉岡里帆#峯田和伸#若葉竜也
やっと憧れていたチームと一緒にできた(若葉)
わずか1年のムーブメントで日本のロック・シーンに「インディーズ」という新たなスタイルをもたらした若者たちがいた。1978年、ラジオから流れたセックス・ピストルズに衝き動かされたカメラマンのユーイチは、ロックミニコミ誌を作っているサチと出会い、ライブハウスへと足を運ぶ。そこで出会ったのが、ボーカルのモモ率いるバンド、TOKAGE。彼らのライブに衝撃を受け、無我夢中でシャッターを押したユーイチは、彼らの撮影を任され、マネージャーのような存在となる。彼らの音楽は若者たちを熱狂させ、“東京ロッカーズ”と呼ばれるようになるが……。
80年代当時の写真と共に彼らの活動を記録した地引雄一の名著『ストリート・キングダム』を原作に、オリジナル要素を加えた青春音楽映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が公開される。
・【動画】峯田和伸×若葉竜也×吉岡里帆 インタビュー/前編
・【動画】峯田和伸×若葉竜也×吉岡里帆 インタビュー/後編

『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』
2026年3月27日より全国公開
(C)2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会
監督は田口トモロヲ、脚本は宮藤官九郎、音楽は大友良英と、『アイデン&ティティ』(2003年)の作り手が再集結。W主演を務めるのは、ユーイチ役の峯田和伸(銀杏BOYZ)と、LIZARD(リザード)のモモヨをモデルにしたTOKAGEのモモ役の若葉竜也。ZELDA(ゼルダ)のチホをモデルにしたサチ役で吉岡里帆が共演する。また、主題歌には、峯田と若葉がカバーしたLIZARDの「宣戦布告」が使用されている。時代を超えた熱いパワーがほとばしる本作について、峯田、若葉、吉岡に話を聞いた。
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峯田:トモロヲさんらしいなと思いました。僕がカメラマン役で、普段バンドをやっていない役者の皆さんがバンドマン役で。でもそこに勝算があるんだろうなと思いました。

(C)2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会
峯田:僕が20代でまだバンドの規模が小さいときからずっと撮ってくれているカメラマンがいるんです。彼女はこういう気分で撮っていたんだろうと思ったり、バンドからメンバーが抜けた時にも言いたいこと言ってくれて、あのときはこういう感情を持っていたんだろうなとか。なんか、「ありがとう」って言いたくなりました。
峯田:撮影前に1回お会いして、この写真の時はこういう感じだったんだよ、とかいろいろな話を聞けて楽しかったです。僕は、当時(地引さんが)使っていたNikonの一眼レフを買って、フィルムの巻き方などを練習しました。

峯田和伸
若葉:僕はもともと『アイデン&ティティ』が大好きなので、やっと憧れていたチームと一緒にできるのかという特別な思いがあり、二つ返事で「やります」と答えました。
若葉:実際はオリジナルの音源を使っているので自分が歌っているように見えるのかなと心配しました。僕はバンドマンではないので、ただ役者が頑張ってバンドの役をやっているという風に見えたら嫌だなと思い、峯田さんに何回も「大丈夫ですか」と確認をしました。

若葉竜也
峯田:でも、僕から言えることは何もなかったです、二人とも本当のミュージシャンに見えましたよ。吉岡さんにいたっては、今回初めてベースを持ったんですよね。演奏指導をしたのが銀杏BOYZのサポートベーシストだったので、こうやって弾くんですね、という段階から見ていましたが、完成した映画を見てびっくりしました。何年も弾いてる人のような顔つきだったんです。
若葉:僕はモモヨさんとお会いしたことがないので実際のところはわかりませんが、モモヨさんは東京の下町の方でお母さんが大好きだという話やアジフライが好きだという設定もそのまま残っているので、宮藤官九郎さんやトモロヲさんのなかであのような人物像があったのだと思います。それが台本に落とし込まれていたので、その通りに演じました。
刹那感と若さゆえの疾走感を大事に演じようと思った(吉岡)
吉岡:ZELDAのみなさんがインタビューを受けている映像や当時バンドをやっていた女性たちの映像を見たのですが、みなさんクールでかっこよかったので、最初はそう演じましたが、トモロヲさんに「それは違う」と言われたんです。あれはメディアでインタビューを受けている時に彼女たちが作っているイメージであって、本来はもうちょっと少女っぽくて無防備だから、作ることが楽しくて仕方ない女の子という感じで演じてほしい、とお話があり、方向転換しました。私自身がインディーズ映画に関わったときの気持ちや友達と一緒にロケハンをしたときのワクワク感を思い出しながら演じました。

吉岡里穂
吉岡:電話でお話をさせていただきました。年齢を重ねた今のチホさんも可愛らしくて元気いっぱいの方で、「あの一年間は私にとっての青春だったから、それを大事に演じてくれたらなんでもOKよ」とおっしゃってくださいました。その刹那感と若さゆえの疾走感を大事に演じようと思いました。
峯田:僕は実生活で女性と一緒に走ったのは初めてですね。
吉岡:相当走りましたよね。
峯田:はい。吉岡さんと一緒に走ったことは一生刻まれますからね。僕が70歳になっても80歳になってもこの映画を見たら「俺は吉岡里帆と走ったぞ、あんなに笑いながら!」って思い出すんでしょうね。僕にとっては“バージン”みたいな体験なんです。女性と一緒に走ったのは初めてでしたから。ひとりで走ったことはありますけど(笑)。
吉岡:何日かに分けて撮影して、何回も走りました。自分たちで作ったレコードを早くモモに見せたい、という喜びにあふれたシーンです。

(C)2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会
峯田:ユーイチがTOKAGEのライブに初めて行くシーンで、サチに「はい、おつり」「ごめん、間違えた」って言われて、その後、タバコの煙がふわーっと立ち昇る。斜に構えた観客たちを前にメンバーがステージに上がり、キーボードの音が鳴り、最後にモモが登場して、やがて一人の女性がゆらゆらと立ち上がり痙攣したように踊り出す。それをユーイチは写真に収める。あのシーンは大好きですね。ロックが始まった瞬間というか、日本にパンクというものが入ってきて、それがライブハウスで鳴らされた瞬間を映像として見ることができる。いちロックファンとして嬉しかったですね。
あと、もう一つあるんですけど、(サチが率いる劇中バンドの)ロボトメイアのライブシーンで、吉岡さんがベースを弾いているシーンがあって。そのとき現場に来ていた地引さんと僕は(観客役の)エキストラとカメラマンの後ろに立って撮影の様子を見ていたんですよ。だから僕たちはカメラには映っていないのですが、地引さんが涙をぬぐっていたんです。40年も50年も経ってあの時に自分が体験したことが映像化されるなんて、思ってもみないですよね。その気持ちというか、地引さんの思いをそばで感じられたのは、本当に良かったなと思いました。

吉岡:私は、モモとユーイチが工場を見るシーンが好きです。彼らはきらびやかなところを目指しているわけでもなく、大きなものを目指しているわけでもなく、ただ生活と地続きに音楽があって、表現せざるを得ないくらいの衝動がある。同じようにサチは印刷屋の娘なので、自分がリスペクトしている音や写真をひとつの形にしたいと思っている。生活のなかに音楽がある、ということがあの二人のカットに出ていて、大好きなんです。

(C)2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会
若葉:僕は、壊れていくモモがスタジオでリハーサルをするシーンで、みんながぶつかり合っていくところが印象に残っています。リハーサルの時から全員がアクセル全開で、トモロヲさんが「撮ればよかった」とおっしゃっていたのを覚えています。みんな台本から抜け出して体が動くままに演じていて、映画作りの一番面白い瞬間に立ち会えた気がしましたね。
峯田:あれは忘れられないね。
若葉:不思議な感覚でしたよね。
峯田:あの時さ、俺、はっきり覚えていることがあって。あの撮影は昼休憩の直後に始まったんです。学校の体育館にセットを組んで撮影したんだけど、僕は昼休憩のとき、グラウンドの前に停めたマネージャーの車の中で、「ああ、次のシーンは緊張するな」と思いながら弁当を食ってたのよ。そしたらグラウンドにトモロヲさんが一人で歩いて出てきたの。こっちには気付いていないから、何してるんだろうと思って見ていたら、グラウンドの真ん中に立って、台本をポケットに入れて、ずっと空を見上げてるの。
若葉 吉岡:へえ!
峯田:声かけようかと思ったけど、ちょっとできなかった。「ミチロウさん、アケミさん、見ててくれよ」(※)と言っている感じがして。トモロヲさんにとっても重要なシーンなんだなって。多分、5分ぐらい一人で立って空見てたの。それをね、(スマホで)写真撮った。「かっこいい」と思って。
(※:「THE STALIN」の遠藤ミチロウと、「じゃがたら」の江戸アケミのこと。共に故人。劇中では、ミチロウをモデルにした「未知ヲ」(演:仲野太賀)とアケミをモデルにした「ヒロミ」(演:中村獅童)として登場する)
峯田:あ、言ってないです。みんな口には出さないけれど、このシーンはやらないと、という思いはあったと思います。
吉岡:わかる! 私も自分の出演したシーンの中で一番印象に残っています。サチとしてはずっと一緒に過ごしてきたモモの痛みがわかるから、駆け寄って抱きしめてあげたいんです。でも、台本にはそう書かれていないので、どう演じるか迷って、トモロヲさんに相談しました。
峯田:とてもデリケートなシーンだよね。あの時、モモがギターを鳴らすじゃないですか、あの音が良くて。あれ実際に使われてるんですよね。
吉岡:私もあの音はすごいと思いました。
峯田:あそこは(音楽の)大友さんが作った音ではなく、現場の音を使っているんだけど、めちゃくちゃいいですよ、グワーッて。
若葉:ありがとうございます。
吉岡:泣いてるように感じるというか。
峯田:俺は弾けない、あんな音で。
吉岡:私も弾けないと思います。
若葉:(吉岡に対して)ギター、弾けないでしょ(笑)。

互いを尊重し、互いの音を消すことをせず、自分の出したい音を出す(峯田)
若葉:もともと尊敬している方々なので、映画を一本やったから変わるということはなく、変わらぬ敬意があります。

吉岡:私も映画の撮影を通じて距離が近づくことはありますが、それ以前からのリスペクトが根底にあります。今回はお二人と一緒にできたことを誇りに思いますし、安心感があり、絶対に面白くなると思いました。

峯田:僕は普段、バンドの曲を作っていますが、映画を作るのもそれと多分一緒だと思うんです。吉岡さん、若葉君、その他の俳優の皆さん、スタッフの皆さんと一緒に、限られた時間のなかで自分ができることをして、互いを尊重し、互いの音を消すことをせず、それでも自分の出したい音を出す。そんな難しいことができた作品なので、いいアルバムができたなあという感じです。
若葉:1978年という時代を描いているけれど、2026年に公開することに本当に意味があると思います。フラストレーションや不安が首をもたげることはいつの時代もきっと変わらないと思うので、ぜひご覧になっていろいろと感じてみてください。みなさんの感想を早く知りたいです。
吉岡:「大人になっちゃった」という言い方はしたくないけれど、大人になっちゃった自分が童心に返るような感覚にさせてもらえた台本でした。人には根っこからほとばしるような感情があると思うんです。こういうものが好き、自分はこうしたい、とか。それが抑えられがちな時代に、この映画にはそこから解き放ってくれる力があると思います。トモロヲさんはそのパワーを届けたかったんじゃないかなと思ったので、ぜひ大きな音で聞いて受け止めてほしいです。
峯田:答えを見せてくれる映画はいっぱいありますが、『ストリート・キングダム』はそういうものではなくて疑問をぶつけてくれる映画だと思っています。何も答えは示してくれないんですけれど、俺って私ってこのままでいいのかなとか、私はこんなこと考えたことあったかなとか、そういう最初の一ページになるというか。そういう映画が僕は好きだし、僕はそれがパンクなのかなと思うので、この映画を見て感じたことを、そのまま大事にしてもらえたらいいなと思います。
(text:中山恵子/photo:小川拓洋)
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