1989年10月1日、アメリカのカリフォルニア州生まれ。6歳から演技を始め、テレビシリーズ『ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ』(09年〜11年)で広く知られる。『ショート・ターム』(13年)で高く評価され、ロカルノ国際映画祭とゴッサム賞を受賞。本作の演技で、アカデミー賞主演女優賞を受賞。最新作は、マーティン・スコセッシ製作総指揮、キリアン・マーフィ、アーミー・ハマー共演の『FreeFire』(16年)、ヒロイン役に抜擢された、サミュエル・L・ジャクソン共演の『Kong:Skull Island』(17年)など。
10代で誘拐監禁され、閉じ込められたまま母となった少女。7年の監禁生活を経て、命懸けの脱出を図った母子の姿を描いた感動作『ルーム』が、4月8日から公開される。
本作で母親役を演じアカデミー賞主演女優賞に輝いたブリー・ラーソンに、撮影秘話や作品に込めた思いについて語ってもらった。。
ラーソン:出演が決まった後、役になりきるために心身共に入念な準備を始めました。まず初めに、トレーナーの指導の下で新たな筋肉を数パウンド付け、体脂肪率がたった12%になるまでダイエットとウェイトリフティングを始めました。この肉体的な変化は私の気持ちを切り替えるのに役立ちました。ファイターのようにより攻撃的になるのと同時に、すごく疲れてお腹も空きました。それは食料も十分に与えられずに送った数年の監禁生活の中で、ママが体に感じたものを理解するのにとても役立ったのです。
また、ママになりきるため、ママが味わった感情と精神のショック状態を体感するために、より隔離された日常生活を始めました。部屋に長く居続けることがどういうことか理解したかったのです。彼女はパニックが押し寄せる波を何度も体験したと思うけれど、大半の時間は単調で退屈な日々に飽き飽きしていたのだと思います。それを味わうために、1ヵ月間家に居て、ジムに行く時以外は外出しませんでした。外界との関わりはほとんど絶って、ママが何年も太陽を浴びていない設定だから、太陽も避けるようにしました。どうしても外出しないとならない時は、SPFの高い日焼け止めをたっぷり塗って肌が陽の光に当たらないよう気をつけました。
ラーソン:プロダクション・デザイナーのイーサン・トーマンが、誘拐前の“ジョイ”の時の日記をくれたので普通の17歳の少女の言葉で埋め尽くしたの。これから起こることなんて何も想像せずに。
この日記を書く体験はとても貴重でした。それは部屋に監禁される前のママがどういう人物だったかを知る術になったから。ママが、彼女の失ってしまった青春を含む自分の若い頃を納めた博物館のような昔の寝室に戻れた時、私はその瞬間を完璧に同じように感じたいと思ったのです。私にとって確かだったのは、その寝室でのシーンの撮影の日が来るまで、その寝室を見ることすらしたくなかったということです。ママがその寝室に再び戻れる時は、私が初めてその寝室を見る時で、しかもイーサンが私の幼少期に直結するアイテムをたくさん選んでくれていたから、寝室を見た時にはそれがママと同じ感情を湧き起こさせてくれたの。
また、ママが受けた精神的なトラウマとそれが個のアイデンティティーに及ぼす影響について理解を深めるために、南カリフォルニア大学の精神医学の教授で思春期のトラウマに関する専門家ジョン・ブリエール医師と時間を共にしました。彼から学んだことは、自分の世界で受け止めきれないことが起きた時、生き残るために脳が意識を遮断することがあるということ。ママは、部屋の中で生き抜き、できるかぎりジャックの良き母であるために、彼女の一部を遮断したの。でも、部屋から出られた時に、彼女はそれまで断ち切っていたものすべてが自分の中に戻ってくることに気づいたのね。皮肉なことに、身体上は安全になったとたん、彼女の意識の中にすべてが蘇ってきてしまったの。私の理解では、ママは部屋の外に出られた瞬間から、それまで監禁中に起きていたことが彼女の中にリアルに起き始めてしまったのだと思います。
ラーソン:小さい頃、初めてロサンゼルスに越してきた時、母と妹と私は、まさに映画の部屋の2倍くらいの大きさのワンルームアパートで暮らしていました。お金は無かったし、マクドナルドのハッピーセットすら買えませんでした。洋服は3着ずつ、おもちゃは2、3個しかありませんでした。でも、そんな生活の中でも単純だけど魔法のような時間がありました。私たち家族は今でも、あの頃の時間を、人生で最高に幸せだった時の一つだったと話すことがあります。私は、母が子ども2人を抱えてどうやって生計を立てていくか、自分は何ができるのかを見出そうともがき苦しんでいたことをわかっていました。でも、その頃が、私が人間の想像力がどれほどすごい力をもつかを学んだ時でもあったのです。恵まれていなかったけれど、母は何もないところからゲームや砂糖袋すら創り出してくれました。もちろん、ママとジャックに起きたことに比べたら私の経験なんてトラウマと言えるものではないけれど、本を読んだ時、美しく、しかし辛い時間を共に歩んだ親子に自分がリンクできたのです。そしてジャックの美しくシンプルな視点、そして暗い環境の中にたくさんの希望と愛を見出すこの話の手法が気に入りました。
ラーソン:ジェイコブと会う前は、もしも気持ちが繋がることができなかったらと心配していたけれど、出会ってすぐに『スター・ウォーズ』について話し始めていたの。そして一緒に出かけたり、ピザを食べに行ったり、遊ぶようになりました。撮影現場の“部屋”にある全ての細部が貴重で不可欠なものでした。美術監督のイーサンは、まるでママとジャックが本当にそこに数年住んでいたかのように心理的なものや背景を語るたくさんのものを用意してくれていたのです。現場で、美術部が工作をいくつか作ってくれと頼んできた時には、ママとジャックで部屋の中で工作をしました。それで次第に絆が深まっていきました。今までこれほど俳優と近しくなったことはなくて、ジェイコブの存在は素晴らしく、彼なしでは私もやり遂げられませんでした。あるシーンの撮影で彼は怒って本当に私を見られなくなるほど、彼と私の関係は深まっていきました。
ラーソン:ジョーンの演技は感動的で、カメラが回っていない時ですら、彼女から母親らしい感情を感じました。それは個人的なレベルでもすごい助けになりました。こういった張り詰めたキャラクターを演じる時は、固執したり離れられなくなったりするけれど、ジョーンは私がそうなってしまっている時に忘れられない言葉をかけてくれたのです。
ラーソン:レニーとの仕事は私の人生の中でも最も価値がある経験でした。彼は思いやりがあって優しく、でもユーモアにも富んでいます。撮影中に雰囲気が緊迫しすぎたりすると、その場を和ませる面白いことを彼が言って、私たちの雰囲気も一変しました。そして、彼は私に最高の贈り物をしてくれたの。この特別なキャラクターを、私に信じさせてくれたから!
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