「映画への愛は…」声を振るわせ“幼い頃の記憶”を振り返る
11月16日、ロサンゼルスのレイ・ドルビー・ボールルームでアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーによる第16回ガバナーズ賞が開催され、トム・クルーズが約45年にわたる映画界への貢献を讃える名誉賞を贈られ、63歳にして自身初のオスカー像をついに手にした。
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1981年に『エンドレス・ラブ』で映画デビューして以来、アカデミー賞の演技部門で3度ノミネートされるも受賞は叶わなかったクルーズだが、1980年代から現在に至るまで数多くの大ヒット作に主演し、90年代後半からは製作者としても第一線を走り続けてきた長年の功績にハリウッドが正式に敬意を表したことになる。
プレゼンターは現在クルーズと新作を撮影中のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が務めた。登壇するなり「この街でトム・クルーズの45年を4分で祝うスピーチを書くのは、まさに『ミッション:インポッシブル』です」と口火を切って会場を沸かせた。
『ミッション:インポッシブル』シリーズをはじめ、危険なアクションへの挑戦で知られるクルーズだが、イニャリトゥは「彼がどれだけ遠くまで走れるか、どれだけ高くジャンプできるか、ではありません。どれだけ正確に動きを決めるか、そうした微細な調整が重要なのです」と大がかりなシーンに緻密に取り組むクルーズのプロ意識を称えた。
また、クルーズの超人ぶりを表すエピソードの1つとして、激辛の唐辛子を涼しい顔で次々と口に放り込んだ話を披露。「彼は生の緑のセラノ唐辛子をポップコーンのように食べた。私は一口で涙目になった。ギレルモ・デル・トロでさえそんなに食べない」と笑いを誘った。
その後、クルーズの多彩なキャリアを振り返り、「トム・クルーズは、ただ映画を作るだけじゃない。彼自身が映画そのものです。これは最初のオスカーかもしれませんが、最後にはならない。彼にはあと60年のキャリアがありますから」と年齢を重ねても情熱は衰えるどころか増すばかりのクルーズを称えた。
イニャリトゥの紹介を受けたクルーズは、『マイノリティ・リポート』『宇宙戦争』でタッグを組んだ、隣席のスティーヴン・スピルバーグ監督とハグを交わしてから登壇。スタンディングオベーションで鳴り止まない拍手に感激した面持ちでオスカー蔵を握りしめながら、「ありがとうございます」と何度も感謝を口にした後、まずイニャリトゥに感謝した。「25年前に『アモーレス・ペロス』を見て感動しました。あなたの作品は美しくtruthfulだ。一緒に映画を作れたのはキャリアの大きな特権です」
さらに一緒に受賞した美術監督のウィン・トーマス、俳優で振付師、歌手や監督でもあるデビー・アレン、ジーン・ハーショルト友愛賞を贈られたドリー・パートンに敬意を表した。
トーマスには1986年のスパイク・リー監督作『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』を見た思い出を語り、パートンには「アメリカのオリジナル」と讃え、アレンを「女王」と呼び、さらに彼女の母で詩人・劇作家のヴィヴィアン・エアーズの言葉「勇敢に、美しく、そして自由であれ(be brave be beautiful, and be free)」を引用し、アレンは感激した面持ちを見せた。
スピーチの大半を、これまで一緒に仕事をしてきた人々への感謝に費やしたクルーズは「この賞は私一人のものではありません。あなたたち全員のものです」と敬意を表した。
クルーズの瞳が潤み、声を震わせたのは幼い頃の記憶を語るときだった。「映画への愛はとても幼いとき、物心ついた頃に始まりました」。
「小さな子どもだった私は暗い劇場にいて、一筋の光が場内を横切り、見上げるとスクリーン上で爆発したように見えました。突然、世界は自分が知っていたよりもはるかに大きなものになった。そして様々な文化、人生、風景が目の前に広がり、何かが動き出しました。冒険への渇望、知識への渇望、人間性を理解したいという渇望、キャラクターを創造した、物語を語りたいという渇望、世界を見たいという渇望。映画は私の目を開かせ、想像力を広げ、人生は当時の自分の人生で感じていた境界をはるかに超えて広がる可能性があると気づかせてくれました。あの光は世界を開きたいという願いを解き放ち、私は以来ずっとそれを追い求めてきました」。
「映画は私を世界中に連れて行ってくれます」とクルーズは続けた。「違いを認めて尊重する助けになります。私たちが共有する人間性、私たちがどれだけ多くの点で似ているかを教えてくれます。どこから来たかに関わらず、劇場で私たちは共に笑い、共に感じ、共に希望を抱き、共に夢を見る。それがこの芸術の力です。だからこそ重要で、私にとって意味があるのです。映画製作は私が“やっていること(仕事)”じゃない。それは私が“誰であるか”ということ、そのものなのです」。
「映画は1人の人間、1つの演技、1つの声によって作られるものではないことを私は感謝し、尊重し、理解しています。コミュニティ、職人、アーティストによって作られ、その知識が手から手へ、撮影現場から撮影現場へ、世代から世代へと受け継がれていく」と語るクルーズは、監督や映画スタッフ、共演者、タレントエージェンシーから劇場関係者、一般の観客にまで感謝し、「私と一緒に仕事をした人がいたら立ち上がってください」と場内に呼びかけ、コリン・ファレルなど共演した俳優やスピルバーグやクリストファー・マッカリー監督、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーらが一斉に立ち上がった。
クルーズはさらに「この芸術のためにできる限りのことをします。新しい声を支え、映画を力強いものにするものを守ります。骨折し過ぎないように願いながら」と撮影時に怪我の絶えない自身の自虐ネタで笑いを取った後、「深く感謝します」と締め括った。
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