板垣李光人、終戦80年の物語に魂込める 『ペリリュー』東京プレミアで熱いメッセージ

#アニメ#アニメーション#ペリリュー ー楽園のゲルニカー#中村倫也#板垣李光人#武田一義

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』

中村倫也と共に登壇し、キャラクターの深みや戦争を描く意味を共有

史実に基づく戦争漫画を原作としたアニメーション映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』の東京プレミア上映会が11月19日に開催され、主演の板垣李光人、共演の中村倫也、そして原作者であり本作の共同脚本も務めた武田一義が登壇。本作への思いや貴重な制作秘話に加え、パラオ語クイズも行われるなど、会場は大いに盛り上がった。

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板垣李光人、中村倫也、そして原作・共同脚本を務めた武田一義が舞台挨拶に登壇。駆けつけたファンの拍手に迎えられ、それぞれが一言挨拶をした後、イベントがスタートした。

まず、東京プレミア上映会として大勢の観客に本作がお披露目となることについて、板垣は「終戦80周年の節目の作品に携われることは光栄ですし、自分が今回この原作と出会ってその当時のことを知ったように、皆さんが映画を通じて歴史を知っていただけることで繋がりができていくことも嬉しいですね。」とコメント。

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』

中村も「こんなにたくさんの方にお届けできることは嬉しいですね。(戦争という)題材もあって身が引き締まる部分もあったのですが、上白石さんの歌声に癒されましたね」と、喜びの心境を語った。

板垣が演じる田丸は、漫画家志望の心優しき青年であり、戦地では功績係として自身の責務を全うするキャラクター。改めて板垣は田丸について、「少しわかりづらい表現ですが、きれいにむけたゆで卵のような人間だと思っていて。決して先陣を切るタイプではないんですが、その場になくてはならない存在で、彼がいるとほっこりした雰囲気が生まれる。いてくれると嬉しい存在ですよね」とその魅力を語った。

これに隣の中村も「わかる!」と開口一番に同意。「田丸くんの1番良さは自分自身に足りない部分を認識していること。なので、その分人を見ているんだなと思いますし、功績係に任命されて色んな人のことを描けたんだなと思います」と語った。

対する中村が演じる吉敷は、勇敢な姿勢と確かな戦闘能力が際立つ頼もしい人物だが、中村は「しっかり者の長男ですよね。その上で、これは田丸にも言えることですが、気持ちがいいくらいに素直な人間であるということ。『ごめんなさい、ありがとう』が言える素敵な人だと思います」と愛情たっぷりにコメント。

板垣も「お互いが持っていない物を補完しあって、支え合っている関係性ですよね。その上で田丸目線で吉敷を見ていると、カッコいいですし、勇敢さや銃の扱いのうまさなど羨ましい部分を吉敷はたくさん持っているんだと思います」と吉敷への印象を明かした。

続いては、この物語の生みの親である武田への質問。田丸・吉敷の声優に板垣と中村が決定した際の印象を聞かれ、武田は「まずは板垣さんですが田丸の候補だと聞いていたものの、声だけがぱっと出てこなかったのでYouTubeで動画を拝見したら、なんとも田丸らしさに溢れているなと思って。そこから即決ですぐにプロデューサーさんに猛プッシュしましたね」と回顧。

中村の吉敷についても、「元の地声にカッコよさがあれば、吉敷らしくなるイメージはあったものの、中村さんの吉敷は僕の想像を超えてきました。カッコ良さはもちろんのことなのですが、そこだけを全面に出すだけでなく、彼のバックボーンや田舎の純朴の青年という素顔をしっかり表現していただけてよかったです」と絶賛した。

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』

さらに武田は、板垣が息を吹きこんだ田丸についても、「元々僕は田丸をふんわりした雰囲気の人物として描いているんですが、板垣さんの声ってまさに癒しを感じられるんです。シリアスなシーンでも見ている人が辛くなりすぎないものですし、本当に板垣さんが田丸をやってくれてよかったと思っています。あと大声を出した時の割れるような声質が印象的で。これがまた兵士としての心情をリアルに表現していたなと感じます」と振り返り、原作者からの真心あふれるメッセージに、板垣と中村の表情も綻んだ。

本作で初共演となった板垣と中村。過酷な戦場を支え合いながら懸命に生きる相棒同士の役柄となったが、お互いの印象について問われ、まず板垣は「初めましてとは思えないくらいのいい意味でのフランクな方で。田丸と吉敷としての絆を構築していくことが大切だったので、本当にありがたかったですし、中村さんが吉敷としていてくださって嬉しかったです」と、先輩俳優・中村への尊敬をまっすぐに述べた。

一方の中村は板垣について、「可愛らしいイメージは元々あったんですが、取材とかを経て、いい意味で一癖ある感じがまた良いんですよね。自分の中で色々心配したり、考えていたりしそうだなというイメージが面白いなと思います」と独自の視点で賛辞を送った。

また、そんな2人のアフレコを見守った武田は、「何かしら事前にお2人へリクエストしたことなどは一切なくて。僕が投げかける会話で、違う認識などを生み出してしまうのも良くないと思いましたし、そもそも力のある方々なので、そこは信頼して任せていましたね」と述べ、作品に命を吹き込んだ2人への深い信頼を語った。

イベントは企画パートへと移り、その内容は板垣と中村の友情が試される「パラオ語クイズチャレンジ」。1問目は、パラオ語で「美味しい」を意味する言葉として、「●●ダイジョーブ」の空欄に何が入るかを当てる問題。イベント前に、板垣本人が誤って答えが書かれた資料を見てしまいそうになったというエピソードが明かされ、会場が笑いに包まれる中、2人は思い思いに考えを巡らせ、「アジダイジョーブ」と回答。見事に正解した。

続く2問目は、「混乱している様子」を意味するパラオ語で、「アタマ●●」の空欄に入る言葉を当てるもの。難問のため「回っているもの」というヒントが出されるも、「アタマダイジョーブ」「アタマナルト」、ポケットモンスターの人気キャラクター・ニョロゾにちなむ「アタマニョロゾ」、さらには「混乱で頭がいっぱい」という語感に寄せた「アタマアタマアタマ!」など珍回答が連発し、会場は爆笑に包まれた。

その後、武田から「夏の日本の風物詩」という追加ヒントが出され、2人が「アタマカトリセンコウ」と回答。こちらも見事に正解し、難問突破に会場からはどよめきが上がった。

クイズを振り返り、板垣は「当時の時代背景や遊び心が感じられて面白いですね」と語り、中村も「やっぱりニョロゾが可愛いですという冗談はさておき、実際に現地に行って体感してみたいですね」とコメントした。

その後、フォトセッションを経て、武田、中村、板垣の3人から最後の挨拶が行われた。

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』

武田は「原作漫画を描いたのは戦後70周年の10年前で、その時は少しでも多くの人が漫画を読んでいただければいいなと思っていたのですが、こうして映画化され、板垣さんや中村さんに声優していただき、たくさんの皆さんにお届けできることが本当に嬉しく思います。ぜひ楽しんでいってください」と呼びかけた。

中村は「これからご覧になられるということで、漫画とアニメの対比として、色味や音などより一層見どころが増えていると思います。物語序盤の島の光景がどう変わっていくのか、その後のストーリーがどう移り変わり、作中の人間たちは何を感じるのか、そして見終わった後の皆様の心に何が残るのか。見応えがある作品だと思いますので、ぜひ楽しんでいってください!」と続けた。

最後に板垣は「少し怖い、もしくは目を背けたくなるような方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はその感情を大切にしていただきたいです。なぜかというと、この作品で描かれる悍ましい戦争という歴史をしっかり恐れているからです。皆様の中でも、ぜひその想い大切にしていただきたいですし、僕自身がこの作品に出会って知った歴史をぜひ感じ取り知っていただきたいですし、少しでも心が動いてつながりができていけば嬉しい限りです」と、歴史と作品への思いを真摯に語りかけた。

ファンからの拍手喝采に包まれ、イベントは幕を閉じた。

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』は2025年12月5日より全国公開。