11月は『美女と野獣』が女性客を獲得、正月映画は『寄生獣』が日テレあげての強力宣伝!

#映画興収レポート

『寄生獣』
(C) 2014映画「寄生獣」製作委員会
『寄生獣』
(C) 2014映画「寄生獣」製作委員会

11月公開作の1位は『美女と野獣』。ディズニーアニメーション版でおなじみのラブストーリーをフランスのレア・セドゥーとヴァンサン・カッセルで映画化。父親の罪を背負って野獣の城に閉じ込められた美しい娘ベルが、野獣の過去に隠された真実を解き明かしていく。9月初旬にセドゥーとクリストフ・ガンズ監督が来日しPRにあたり、知名度の高さから女性層を中心に集客した。

2位は『クローバー』。人気少女マンガの映画化で、恋愛下手な新人OL(武井咲)とドSな性格のエリート上司(関ジャニ∞の大倉忠義)との恋を描く。主演の2人が数多くの情報番組やバラエティ番組に出演してPR。9月22日の完成披露試写会や10月27日の女子会イベントに出演したり、11月1日の公開初日に舞台挨拶を行った他、13日には再び大ヒット舞台挨拶を実施。話題性を途切らせないことで動員増に結びつけた。

同じく2位は『神さまの言うとおり』。人気マンガの映画化で、平凡な日常を過ごしていた高校生(福士蒼汰)が、ある日突然「命を賭けた謎のゲーム」へ巻き込まれる。10月18日にローマ国際映画祭でワールドプレミア上映され、主演の福士とヒロイン役の山崎紘菜、監督の三池崇史が出席し、話題となった。バイオレンス描写からR15+指定となったが、10代を中心に観客を集めた。

なお、正月興行の先陣を切って11月28日から『フューリー』、29日から『寄生獣』が公開。『フューリー』は初日3日間で2億6400万円、『寄生獣』は2日間で3億4000万円のスタートとなった。

ブラッド・ピット主演作『フューリー』は、自ら製作総指揮もつとめた渾身の作品。第2次大戦末期、「フューリー」と名付けた戦車でドイツ軍に立ち向かう米軍兵士5人の1日の出来事を描く。11月15日にはピットが共演のローガン・ラーマンと共に来日し、大きな話題となった。

一方『寄生獣』は人気マンガを2部作で映画化する前編だ。東京国際映画祭ではオープニングイベントで主演の染谷将太、橋本愛、山崎貴監督がレッドカーペットを歩き、大きな話題となった。東宝と共に製作にあたった日本テレビでは、局をあげて大々的な宣伝活動を展開した。まず10月から『寄生獣』をアニメ化して深夜に放送。朝の情報番組『ZIP!』ではコラボムービー『ミギーの世界を教えて』を全15回にかけて放送。さらに、公開直前スペシャルとして11月24日から深夜に4夜連続で『カウントダウン寄生獣』を放送。最終日となる27日は35分枠に拡大し、映画本編を冒頭から10分以上を放送した。(文:相良智弘/フリーライター)

[11月公開作ランキング]
1位『美女と野獣』9.5億円
2位『クローバー』8億円
2位『神さまの言うとおり』8億円
4位『エクスペンダブルズ3』6億円
4位『紙の月』6億円
(11月30日時点。ムビコレ調べ)

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