ウディ・アレン監督インタビュー「僕には情熱が欠けているみいたいです」

ウディ・アレン監督/(C) GION
ウディ・アレン監督/(C) GION
ウディ・アレン監督/(C) GION
『ウディ・アレンの夢と犯罪』 2010年3月20日より恵比寿ガーデンシネマほかにて全国順次公開
(C) 2007 WOLVERINE PRODUCTIONS LIMITED.

スカーレット・ヨハンソンがセクシーなヒロインを演じた『マッチポイント』(05)以降、長らく親しんできたニューヨークからイギリスへと拠点を移したウディ・アレン監督。その最新作にして、ロンドン3部作の最終章が『ウディ・アレンの夢と犯罪』だ。ギリシャ神話を思わせる、ある兄弟の悲劇を描いたサスペンスで、兄を『天使と悪魔』のユアン・マクレガーが、弟を『Dr.パルナサスの鏡』のコリン・ファレルが演じている。

アカデミー賞監督賞など数多くの映画賞に輝き、世界中から高い評価を得ている監督が、この最新作について、そして映画作りについて語った。

[動画]『ウディ・アレンの夢と犯罪』予告編

──『ウディ・アレンの夢と犯罪』で伝えたかったことは何ですか?
ウディ・アレン:何かを伝えようと思ったわけではないのですが、人生の悲劇を見せようと思いました。2人の健全な青年が、野心や心の弱さにより、破滅へと向かい始める。そして最後は、自分たちと周囲の人々の人生までもを狂わせてしまう。人生は多くの人々にとって悲劇で、2人の主人公たちは、すべてを自分たちの手で台無しにしてしまうというわけです。

──ロンドンを舞台にした感想は?
ウディ・アレン:ロンドンは素晴らしい場所です。腕のいいスタッフはいるし、涼しくて、空は灰色で光が美しい。労働環境も整っていて、撮影にはうってつけのところでした。

──あなたにとって「映画」とは何なのでしょうか?
ウディ・アレン:映画作りは、非常に良い気分転換であり気晴らしです。現実から逃避するために、映画の世界に没頭したいと思い続けてきましたが、最近は少し変わりました。映画監督は、僕が最も優先することではありません。僕には映画が作れるから、作っているだけ。僕は完璧主義ではありません。ひとつも失敗したくないと思う監督もいますが、僕はそうではありません。僕は、作品を早く進行させ、終わらせたいのです。
今の僕は、夜、家に帰ることを嬉しく思います。どうやら僕には、情熱や脅迫観念というものが欠けているみたいです。

──アカデミー賞監督賞や脚本賞をはじめ、様々な映画賞を受賞されていますね。
ウディ・アレン:こっちの作品よりあっちがすぐれていると決めるなんて、芸術にはそぐわない。『風と共に去りぬ』より『ゴッドファーザー』の方がいいなんて、誰が決めるんでしょう。そして、誰にそんな資格があるんでしょう。どれも主観的で個人的な意見にすぎません。
だから僕は、賞のためには映画を撮らない。カンヌ国際映画祭で上映することもあるし、いろいろな映画祭で僕の作品が上映されてきましたが、一度もコンペティション部門に出品したことはないんです。

──あなたはとても成功した映画監督ですが、「成功」ということについてどんな考えをお持ちですか?
ウディ・アレン:若いときには、いつか、マーロン・ブランドやキャサリン・ヘプバーンといった映画スターの隣に、プール付きの家を持ちたいと夢見るでしょう。でも、それが実現すると、人はすっかり失望するはずです。家やお金といったものは、人生を深いところで変えるものではないからです。成功は、健康にとっても恋愛においても何の助けにもならないのです。

──多くのスターたちが、あなたの作品に出たがりますよね。
ウディ・アレン:彼らは、他にもっと良い仕事がなければ、僕の作品に出演します。僕は彼らに、労働組合が決めた最低賃金しか払いませんが、撮影にはあまり時間をとらず、彼らに、その名に値するような役を与えます。
『マッチ・ポイント』の成功のおかげで、スカーレット・ヨハンソンは、ハリウッドのスタジオに3倍のギャラを要求できるようになりました。僕は彼女に、歩合を要求すべきですね(笑)。

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