落選に衝撃、キルスティンの夫で実力派俳優プレモンスが『ブゴニア』で見せた名演と止まらぬ勢い
#キルスティン・ダンスト#この俳優に注目#ジェシー・プレモンス#ブゴニア
(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.
ジェシー・プレモンスのオスカー候補落選は“本年度最大の無視”
【この俳優に注目】映画界の最高賞であるアカデミー賞のノミネーションには毎年驚きがつきものだが、1月に第98回アカデミー賞の候補が発表された際に多くの映画ファンを驚かせたのが、主演男優賞の候補からジェシー・プレモンスが外れたことだった。
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ヨルゴス・ランティモス監督の『ブゴニア』に主演したプレモンスの演技は、批評家から「キャリア最高のパフォーマンス」と絶賛され、ゴールデングローブ賞や英国アカデミー(BAFTA)賞へのノミネートも果たしていた。

『ブゴニア』で第98回アカデミー賞主演女優賞の候補となったエマ・ストーン。本作は「作品賞」「主演女優賞」含む4部門でノミネートされている。
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プレモンスが演じたのは、陰謀論に取り憑かれた養蜂家のテディ・ガッツ。製薬会社のCEO(エマ・ストーン)をエイリアンだと信じ込み、地球を破壊しようとする彼女を阻止するため、一緒に暮らす従弟と共に拉致計画を実行する。自分が人類の救世主だという誇大妄想とパラノイアが充満する内面の危うさを、滑稽にも恐ろしくも見せる。
エコーチェンバーの中で孤立する複雑な心理をリアルに体現し、“思い込み”という現象をあらゆる角度から鋭く突く作品のテーマを浮かび上がらせた名演だけに、ノミネーション発表後にはアカデミー賞で本年度最大の無視(snub)として、SNSやメディアで驚きと批判の声が相次いだ。妻のキルステン・ダンストも公に不満をにじませ、SNSで共演者の失望の反応をシェアして世間の注目を集めたが、この出来事は、むしろプレモンスの存在感を改めて浮き彫りにしたといえるだろう。

『ブゴニア』場面写真。右がジェシー・プレモンス、左はエイダン・デルビス。
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名だたる監督から信頼されている実力派
プレモンスは、第一印象そのものの誠実で純朴な人物としてはもちろん、そのイメージを裏切る腹黒い人物としても、何を考えているのかわからないミステリアスな人物としての説得力も抜群という稀有な俳優だ。温厚そうな表情の裏に潜む不気味さや冷徹さが真骨頂であり、サスペンスからコメディ、繊細な人間ドラマまで、幅広いジャンルで活躍する実力は、マーティン・スコセッシやポール・トーマス・アンダーソン、ジェーン・カンピオンといった巨匠や名匠たちから絶大な信頼を得ている。
広く知られるきっかけとなったTVシリーズ『ブレイキング・バッド』で演じたトッド・アルキストのような冷酷で予測不能なキャラクターから、アカデミー助演男優賞候補になった『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021年)で演じた、粗暴な兄と対照的に心優しい弟役で見せた善良さまで、常に強い印象的をスクリーン上に残している。
マット・デイモンにそっくり! と話題になった子役時代
1988年にテキサス州に生まれ、わずか3歳でコカ・コーラのCMに出演してキャリアをスタートさせる。8歳頃からエキストラを経て子役として活動し、『すべての美しい馬』(2000年)でマット・デイモンが演じる主人公の幼少期を演じた。デイモンは当時のプレモンスについて「僕の子ども時代の姿よりも僕らしく見えた」と後に語っているが、プレモンスは成長後もデイモンと似ていることが話題になり、『ブレイキング・バッド』出演時には役柄にちなんでメス(トッドが精製する薬品名)・デイモンと呼ばれた時期もある。
『憐みの3章』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞
最初に注目を集めたのは、18歳の時から出演したTVシリーズ『Friday Night Lights(原題)』(2006年~2011年)。高校のフットボールチームを描くスポーツドラマでメインキャストの1人を務めた。同作ではマイケル・B・ジョーダンと共演している。ジョーダンは今年のアカデミー賞で、史上最多ノミネート(16部門)作となった『罪人たち』で主演男優賞に初ノミネートされていて、ドラマのファンからは感慨深く受けとめられているようだ。
映画では、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』(2012年)でフィリップ・シーモア・ホフマン演じるカリスマの息子役を演じ、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年)や『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017年)、マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』(2019年)『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023年)といった名作に出演、ヨルゴス・ランティモス監督の『憐みの3章』(2024年)では第77回カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。

『憐れみの3章』
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共演したキルスティン・ダンストと結婚
私生活では、2015年のTVミニシリーズ『FARGO/ファーゴ』で夫婦役を演じたキルスティン・ダンストと実生活でもパートナーとなり、息子2人をもうけた後、2022年に結婚した。妻の主演作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024年)にカメオ出演をしたこともある。撮影直前にオリジナルキャストが降板したため、ダンスト本人が夫を推薦し、急遽、赤いサングラスをかけた不気味な兵士を演じた。ダンストが演じる戦場カメラマンと記者たちの出身地を尋問し、香港出身のジャーナリストを問答無用に射殺するという役で、短いながらも強烈なシーンを作り上げたプレモンスの出演について、監督のアレックス・ガーランドは「驚くべき幸運だった」と絶賛している。
候補外となったことで彼の真価が浮き彫りに
昨年はNetflixのミニシリーズ『ゼロデイ』でロバート・デ・ニーロと共演し、2026年公開予定の『ハンガー・ゲーム』シリーズ最新作『The Hunger Games: Sunrise on the Reaping(原題)』では若き日のプルターク・ヘヴンズビーを演じるなど、勢いは止まらない。
それにしてもなぜ、『ブゴニア』の演技がアカデミー賞候補入りを果たせなかったのか。つくづく納得がいかない。核心を突きすぎるあまり、見ていていたたまれなくなるレベルのリアリティなのだ。
今年38歳のプレモンスは、40代50代と年齢を重ねながら、今後も観客を驚かせ続けるだろう。誤解を恐れずに“アカデミー会員の不明”という強い表現を使いたくなるほど、今回の出来事は、かえって彼の真価を世に知らしめたのかもしれない。(文:冨永由紀/映画ライター)
・エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス共演の『ブゴニア』その他の写真はこちら
『ブゴニア』は、2026年2月13日より全国公開。
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