少女の解放をめぐる小さな希望と、世界が直視すべき真実を描く衝撃作が上映
世界のウチナーンチュや日系移民が制作した映画を特集上映する「Cinema at Sea 2026 ― 特集上映『Homecoming』」が、2026年2月20日から28日まで、沖縄県・那覇市を中心に開催される。本特集上映より、オープニング作品およびクロージング作品が発表され、あわせてメインビジュアルが解禁された。
・現代の奴隷制度に焦点を当てたドキュメンタリー映画『奴隷の島』ほか上映作品の場面写真を見る
・未婚の母や性被害者を“隔離”し強制労働…アイルランドに実在したマグダレン洗濯所の闇に向き合う『決断するとき』
「Homecoming」と題した本特集上映では、沖縄ハワイ移民125周年を記念したプログラム「ハワイ特集」をはじめ、前回好評を博した沖縄に関連する注目作を集めた「オキナワパノラマ」などのプログラムを通して、世界で活躍する日系人の里帰りを飾る。多彩なプログラムを通じて、さまざまなルーツや旅の軌跡、共通の未来に触れ、世界の人々が再びつながる機会を創出することで、沖縄が環太平洋地域における新たな国際文化交流の拠点となることを目指す。

オープニング作品は、インドネシアのスンバ島に今なお残る現代の奴隷制度に焦点を当てたドキュメンタリー映画『奴隷の島(英題:Slave Island)』。本上映がアジア・プレミアとなる。
本作は、人権に対する視野を広げることを目的としたオランダの映画祭「Movies That Matter Festival」で世界初公開され、ベルギーのドキュメンタリー映画祭「DOCVILLE」にて審査員賞を受賞した。インドネシアで長年、搾取と抵抗の物語を撮り続けてきたベルギー人映画監督ジミー・ヘンドリックスと、インドネシアの活動家ジェレミー・ケワンが共同監督を務めている。
人身売買事件の調査中、地元活動家のジェレミー・ケワンは、先祖伝来の奴隷所有権を強く信じるマランバのシャーマンと出会う。そんな中、奴隷にされていた8歳の少女が姿を現す。地元の伝統では、アタの人々は代々マランバの主人に仕え、死後は主人とともに埋葬されるとされている。元奴隷の助けを借り、奴隷所有者や族長、そして自身の信念と幾度となく対立しながら、ジェレミーはついに少女の解放を勝ち取る。それは人身虐待との闘いにおける小さな勝利かもしれないが、島の女王はいまなお数百人の奴隷を所有しており、彼らは解放の日を待ち続けている。
■ジミー・ヘンドリックス共同監督コメント
日本映画には、その静かな力強さと緻密さにいつも心を打たれてきました。小津のような映画作家は、空間やリズム、沈黙によって、言葉では表せない感情をいかにして浮かび上がらせることができるかを示しています。その感性は、私がスンバ島で体験してきたものとどこか近いと感じます。そこでは風景や間(ま)が、語られる言葉以上のものを抱え込み、苦しみが尊厳と隣り合わせに存在しています。日本の観客の皆さんにとって、『Slave Island』が人間的なレベルで共鳴し、レジリエンス(回復する力)や道徳的な曖昧さ、そしてあらゆる社会の内側に潜む影について考えるきっかけとなることを願っています。

クロージング作品は、パプアニューギニア初のアカデミー賞国際長編映画賞公式出品作となった『ブカおじさんの話(英題:PAPA BUKA)』。本上映がジャパン・プレミアとなる。
本作は、パプアニューギニアとインドによる初の合作長編映画であり、同国として初めてアカデミー賞国際長編映画賞への出品作に選出され、パプアニューギニア映画史に名を刻んだ。主演のパパ・ブカを演じるのは、オーストラリア統治下の植民地時代にパプアニューギニア政府の要職を担ったシネ・ボボロ。演技初挑戦ながら、同国の歴史と文化に深く結びついたその存在が、パパ・ブカという人物像に強い説得力を与えている。
第2次世界大戦中、パプアニューギニアで戦ったインド兵士たちの忘れ去られた物語を探し求め、2人のインド人歴史家が旅に出る。ココダ・トラック沿いの村に暮らす年老いた賢明な戦争経験者の導きを受けながら、語られてこなかった歴史と個人的な覚醒、そして戦争の残響に満ちた道行きが描かれていく。

特別上映では、尚玄主演の日米インドネシア合作映画『LONE SAMURAI』が日本初公開される。古典的なサムライ叙事詩を、ジョシュ・C・ウォーラー監督の極私的な視点から再構築した本作。尚玄が演じる年老いた侍を主人公に、最小限の台詞と喚起力に富んだ映像表現によって、孤独、贖罪、そして伝統と生存の狭間で揺れ動く価値観を描き出す。ハワイで撮影された『CAMINO』など、ジャンル横断的な作品で知られるウォーラー監督が描く物語は、強烈なアシッド・トリップのような展開を経て、削ぎ落とされたチャンバラ・アクションによる最終決戦へと突き進んでいく。
■Cinema at Sea – 公式アンバサダー:尚玄コメント
先日発表しました通り、「Cinema at Sea」は新たな形にリニューアルいたしました。今年度は本祭ではありませんが、「Homecoming」と題し、世界のウチナーンチュや日系移民が制作した映画を特集上映いたします。沖縄に関連する作品も加え、「Cinema at Sea」ならではの充実したラインナップとなっております。また、私が主演を務めたアメリカ映画『LONE SAMURAI』も日本初公開を迎えることとなり、大変嬉しく思っております。今年も映画を通して人と人が繋がり、語り合える九日間を、皆さまとご一緒できましたら幸いです。

あわせて、メインビジュアルが公開された。本年度のビジュアルはsachigraが担当する。本年度のテーマである「Homecoming」にあわせ、記憶や物語が行き交うように、波と風が揺らめく温かなビジュアルに仕上がっている。
■sachigraコメント
巡る、繋がる、帰る。
白い点の流れは海流のように、
生き物たちが故郷へと戻っていく動きを思わせます。
水彩のにじみや色の重なりには、
波や風、そして記憶や物語が行き交うイメージを重ねています。
暖色の色彩には、
帰る場所のあたたかさや、
人を迎え入れる空気感を込めました。
HOMECOMING ―
生き物たちが遠い旅から戻ってくるように、
私たちもまた、それぞれの大切な場所へ帰っていく。
おかえりなさい。
「Cinema at Sea 2026 ― 特集上映『Homecoming』」は、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール他にて2026年2月20日〜28日開催。
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