椎名林檎の歌声が照らす、江戸の芝居町に生きた人々の誇りと反骨——『木挽町のあだ討ち』の粋な余韻
源孝志監督が惚れ込んだ1曲「人生は夢だらけ」が、物語のラストを鮮やかに彩る
柄本佑を主演、渡辺謙を共演に迎え、永井紗耶子による小説を映画化した『木挽町のあだ討ち』。本作の主題歌に椎名林檎の楽曲「人生は夢だらけ」が決定し、あわせて同楽曲を使用した主題歌スペシャルムービーが解禁された。
・柄本佑×渡辺謙、初共演で仕掛ける“江戸の仇討ち”——事件に隠された驚愕の物語とは
原作は、2023年に第169回直木賞と第36回山本周五郎賞をダブル受賞した傑作時代小説。江戸の芝居町で語り草となった大事件をめぐる物語は、時代考証の確かさと登場人物のリアルな感情描写が各方面から高く評価され、江戸の世界へと引き込まれる見事なストーリー展開で多くの読者を魅了した。
さらに、芝居小屋を舞台にした人情劇でありながら、その巧みな構成力も称賛され、「このミステリーがすごい!2024年版」国内編や「ミステリが読みたい!2024年版」国内篇など、数多くのミステリーランキングにランクイン。2025年には歌舞伎として舞台化され、大好評のうちに千秋楽を迎えている。
ある雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちが見事に成し遂げられた。その一部始終は多くの人々に目撃され、美談として語り継がれることとなる。
それから1年半後、菊之助の縁者と名乗る侍・総一郎が「仇討ちの顛末を知りたい」と芝居小屋を訪れる。菊之助に関わった人々から事件の経緯を聞くうちに、次第に浮かび上がってくる真実。果たして仇討ちの裏に隠された「秘密」とは何か。そこには、想像を超える展開が待ち受けていた——。
主演を務めるのは、『きみの鳥はうたえる』(18年)で数々の映画賞に輝き、その類稀な表現力で見る者を魅了し続ける実力派俳優・柄本佑。仇討ちに隠された真実に迫る田舎侍・加瀬総一郎を演じる。
共演には、日本映画界屈指の名優・渡辺謙。総一郎が訪れる芝居小屋「森田座」の中心人物であり、仇討ちを成し遂げたその裏で密かに謀略を巡らせていた黒幕の立作者・篠田金治を重厚かつミステリアスに演じる。
さらに、仇討ちを遂げた若者・菊之助には長尾謙杜、主人を殺した男・作兵衛には北村一輝。加えて、瀬戸康史、滝藤賢一、山口馬木也、愛希れいか、イモトアヤコ、野村周平、高橋和也、正名僕蔵、石橋蓮司、沢口靖子ら実力派キャストが集結する。
このたび、本作の主題歌に、椎名林檎の楽曲「人生は夢だらけ」が決定した。粋で雅な世界観「江戸の華×椎名林檎」。時代を超えて響き合う魂の共演が実現した。
CM楽曲としても知られる「人生は夢だらけ」は、椎名林檎が作詞・作曲した提供楽曲をセルフカバーし、アルバム『逆輸入 〜航空局〜』(17年)に収録された人気曲。ミュージカル調の華やかさとジャズの洗練されたリズムが融合し、椎名ならではの独特な音の運びと緻密なサウンドが強い印象を残す。幕が上がった瞬間の高揚感と、芝居のクライマックスを思わせる最高潮の賑わいが、人生の陰影や自由と束縛、過去の経験や迷いまでも包み込むような、明るく力強いエネルギーを放っている。
一歩足を踏み入れれば、そこは絢爛豪華で極彩色の美しさに満ちた江戸の世界。様式美を極めた彼女の歌声は、人生という名の舞台で歌舞伎の見得を切るかのような、堂々たる色気と豊かな感情表現に溢れており、五感で体感する極上のエンターテインメント作品に仕上がっている。

本作のエンディングに「人生は夢だらけ」を据えた理由について、椎名の長年のファンである源孝志監督は、「とりわけ歌詞の言葉の選び方、置き方がたまらなく好きだ。散文的でありながら物語を内包するうねりがあり、文学的なのだが血や体液のような生な残り香が漂う」と語り、「陰と陽、表現者として多面的なところもリスペクトせざるを得ない」とした上で、「この『人生は夢だらけ』は“陽”の椎名林檎の魅力を感じさせる最たるもので、陽を浴びる大通りを、高らかに、堂々と歌いながら歩いていくような曲だ」とコメントしている。
さらに『木挽町のあだ討ち』を「世間からドロップアウトし、生き甲斐を求めて(食うためだけではない!)芝居小屋に流れ着いた人間たちの物語」と位置づけ、「江戸という大都会で最下層と蔑まれながら、観客の前で束の間の夢を作り上げて見せる矜持、反骨と誇り。いわば日本の歴史の中で初めて現れた『自覚ある自由人』だと私は思っている」と語る。
そして、「そんな彼らが武家社会の不条理に対して“一発かます”痛快さを楽しんでもらい、『いやぁ〜 面白かったね。気分いい』と言いながら映画館を出て行ってもらいたかった――それが、私がこの曲をエンディングテーマに望んだ理由です」と、その想いを明かしている。
あわせて解禁された主題歌スペシャルムービーは、菊之助と作兵衛による衝撃的な仇討ちの場面から始まり、約1年半後、主人公・総一郎が芝居小屋・森田座を訪れるシーンへと展開していく。森田座の人々との出会い、仇討ち当日の事情聴取、菊之助とそれぞれの人物との関わりが断片的に映し出され、事件の裏に隠された“もう一つの物語”が少しずつ浮かび上がっていく。
覚悟を決めた菊之助の表情に、「良かろうだろうが古い物は尊い」「それは人生 私の人生 誰の物でもない」「奪われるものか 私は自由」といった歌詞が重なり、主題歌「人生は夢だらけ」とともに、物語が辿り着く余韻を感じさせる映像に仕上がっている。芝居小屋に集った人々の物語が紡がれていく様を、ぜひ劇場で体感してほしい。
■源孝志監督
私は椎名林檎さんの長年のファンである。彼⼥の楽曲のどこが好きかと問われると「全部」、としか⾔えないのだが、とりわけ歌詞の言葉の選び方、置き方がたまらなく好きだ。散文的でありながら物語を内包するうねりがあり、文学的なのだが血や体液のような生な残り香が漂う。それを彼⼥が声にして歌うとゾワゾワっとさせられるハメになる。陰と陽、表現者として多⾯的なところもリスペクトせざるを得ない。この「人生は夢だらけ」は、“陽”の椎名林檎の魅⼒を感じさせる最たるもので、陽を浴びる⼤通りを、⾼らかに、堂々と歌いながら歩いていくような曲だ。
『⽊挽町のあだ討ち』は、世間からドロップアウトし、生き甲斐を求めて(⾷うためだけではない!)芝居⼩屋に流れ着いた⼈間たちの物語。江⼾という⼤都会で最下層と蔑まれながら、観客の前で束の間の夢を作り上げて⾒せる矜持、反⾻と誇り。いわば⽇本の歴史の中で初めて現れた「⾃覚ある⾃由⼈」だと私は思っている。
そんな彼らが武家社会の不条理に対して“⼀発かます”痛快さを楽しんでもらい、「いやぁ〜 ⾯⽩かったね。気分いい」と⾔いながら映画館を出て⾏ってもらいたかった。それが、私がこの曲をエンディングテーマに望んだ理由です。椎名さん、ありがとうございました。
『木挽町のあだ討ち』は2026年2月27日より全国公開。
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