ジェームズ・キャメロン監督、Netflixの“オスカー戦略”を痛烈批判「騙し餌だ」

INDEPENDENTより
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映画の未来に警鐘 キャメロン監督の痛烈コメントが話題に

24日に公開されたポッドキャスト番組「The Town with Matthew Belloni」で、ジェームズ・キャメロン監督はNetflixの映画作品がアカデミー賞の対象となるために取る戦略を、厳しい言葉で非難した。

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2回に分けられたインタビューのPart2でキャメロン監督は、Netflix CEOのテッド・サランドス氏が過去に「劇場公開は死んだ(Theatrical is dead)」と発言したことを引用し、配信サービスの台頭が伝統的な映画文化を脅かしているとして、賞の価値そのものを問いかけた。

アカデミー賞の候補となる資格を得るには劇場での商業公開が条件であり、対象年度の1月1日から12月31日までにロサンゼルス郡内の商業劇場で連続7日以上の上映の実績が必要。これを満たせば配信作品も対象となる。

キャメロン監督は、Netflixがアカデミー賞を狙う作品をロサンゼルス郡内の劇場でわずか1週間から10日程度の限定上映にとどめる戦略を、「騙し餌(sucker bait)」と形容した。

「映画を1週間公開、10日間公開すれば、アカデミー賞の候補になる資格が得られる。これは根本的に腐敗している)私は思う。アカデミー賞は、劇場公開作でなければ私にとって何の意味もありません」と言う監督は、Netflixが本格的な劇場公開(例:2000館規模で1ヵ月以上の上映)をしないことを指摘し、賞の資格を剥奪すべきと主張した。

Netflixはハリウッド・メジャーのワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収に入札したことが明らかになっているが、キャメロン監督は同社が買収した場合を「災害」と呼び、「ごめんよ、テッド」とサランドス氏に語りかける形で、劇場を重視しないビジネスモデルが業界全体を破壊すると警告した。

代表作である『タイタニック』や『アバター』シリーズが巨額の劇場興行収入を記録した監督は、配信という形態が「劇場体験」の本質を希薄化させると考えているようだ。

Netflixはドキュメンタリー『The Square(原題)』(13年)が2014年のアカデミー賞に初ノミネートされて以降、限定劇場公開を義務づけるアカデミーのルール(ロサンゼルス郡内の商業劇場で最低7日連続上映)を活用し続けている。

このルールに則って、短編ドキュメンタリー『ホワイト・ヘルメット – シリアの民間防衛隊-』(16年)で初の受賞を果たした後、『イカロス』(17年)で長編ドキュメンタリー部門、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』(18年)が作品賞候補となり、外国語映画賞(現・国際長編映画賞)や監督賞を含む3部門を受賞、2023年には『西部戦線異状なし』(22年)が国際長編映画賞など4部門を受賞している。

2020年に起きた新型コロナウイルスのパンデミックによる劇場閉鎖が配信サービスの加速を招き、その影響は劇場上映の再開後も続いているのが現状だ。

アカデミーのルールは劇場公開を重視する側からは「抜け穴」と批判され、スティーヴン・スピルバーグ監督は2019年に「Netflix作品はオスカー資格を与えるべきではない」とコメントしている。

一方で、潤沢な予算で大規模な映画作りが可能な配信サービス会社と手を組む監督もいる。マーティン・スコセッシはNetflixの『アイリッシュマン』(2019)とAppleの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023)で、それぞれ作品賞や監督賞など10部門で候補となったが、いずれも無冠で終わっているのは保守的なアカデミー会員の意向が反映されたとも言える。

キャメロン監督は業界全体で声を上げる必要性を強調し、「オスカーのルールを厳格化して本物の劇場か公開を義務づけるべきです。Netflixがワーナー・ブラザースを買収したら劇場文化がさらに弱体化する」「配信は便利ですが、映画の本質は大画面で共有する体験です。それを忘れたら全てが失われてしまう」と警鐘を鳴らした。

 

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