宮沢氷魚「ちょっと恥ずかしいです」“初共演”岸井ゆきのとお互いの印象を告白

#佐藤さんと佐藤さん#宮沢氷魚#岸井ゆきの

(C)2025『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
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岸井ゆきの、宮沢氷魚がW主演を務めた『佐藤さんと佐藤さん』が第38回東京国際映画祭ウィメンズ・エンパワーメント部門に公式出品され、10月30日に上映と完成披露舞台挨拶が実施された。

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「それぞれの正解、幸せを見つめるための形を探し出してほしい」

本作は“夫婦”という誰にとっても人生において一度は考えるテーマを軸に、人と人との関係を丁寧かつリアルに描いたオリジナルストーリーで、『ミセス・ノイズィ』(20年)などで注目の監督・天野千尋の最新作だ。

当日は岸井・宮沢・天野監督の3人が登壇。

天野監督は満員の観客を前に「緊張しています…!」と語ったが、岸井は「とても緊張しているんですけど、同時にすごく嬉しい気持ちでいっぱいです。きっと面白いと思います!」と出来栄えに自信をのぞかせ「たぶん、この映画は自分のことを話したくなったり、自分のことを振り返ってみて『こんなことあったな』って思える映画になっていると思うので、帰り道に誰かと話したいなっていう気持ちになっていただければと思っています」と語る。

宮沢も映画のお披露目を迎え「1年以上前に撮影したんですけど。ようやく今日、皆様に見ていただけるということで、ようやくスタートラインに立てたのかなという気持ちがすごくあって、今日を迎えるのが楽しみでした」と晴れ晴れとした表情を見せる。

同じ“佐藤”の名字を持つサチとタモツの15年の軌跡を描く本作だが、岸井と宮沢は今回が初共演。

お互いの印象について岸井は「初共演だったんですけど、本読みで初めてお会いしたときから『絶対会ったことあるよね?』みたいな印象があって…。(会ったことは)ないんですけど(笑)。それくらい、驚きのない空気感というか本当に自然にお互いのことを楽に話せるような関係性がすぐにできたので、お芝居に没入しやすかったです」とふり返る。

さらに岸井は、宮沢の人間性について「本当に優しくて穏やかなので、(現場によっては)ピリつく現場も時にはあるんですけど、そういうことは起こらないだろうなっていう安心感もありました。本当に穏やかな時間を一緒に過ごさせていただきました」と語り、宮沢は「ちょっと恥ずかしいです」と照れくさそうに笑みを浮かべる。

宮沢も「クランクインする前から、ゆきのちゃんの作品はたくさん見てきて、本当に魅力的な女優さんだなというふうに思っていました。共通の知り合いがいて、『ゆきのちゃんは本当に素晴らしいよ。本当に優しくて魅力的なんだよ』という話は聞いていたんです。本読みの日に初めてお会いして、僕の想像していたゆきのちゃんよりも遥かに優しくて、太陽のような存在でした」と絶賛する。

物語の魅力について、岸井が「約2時間の脚本で、この15年をギュッと詰め込めるのってすごいことだと思うんですよね。その物語が、決して大雑把ではなく、すごく些細なことを大切に描いていて、私は『この世界に入りたい』と思いました。実生活では体験したことのない夫婦生活というものをもしかしたらここで垣間見ることができるかもしれないと思いましたし、演じるのが楽しみになった脚本でした」と語った。

宮沢も「とにかく脚本が丁寧で、15年のスパンを描いているので、ピックアップする部分は本当にごくわずかなんですけど、それがきれいに線を結ぶように繋がっていたんです。僕は読んでいて、描かれていない空白の時間、そして2人がその先に歩む人生というものがどういうものなのか? すごく興味がわいてきて『この世界の一員になりたい』、『タモツという人物を演じたい』という思いがふつふつと高まりました」と語り、脚本を読んだ段階から、本作に強く惹きつけられたと明かす。

なお、本作は東京国際映画祭において、昨年より新設されたウィメンズ・エンパワーメント部門での上映となるが、天野監督は「女性を応援するということで、すごく大切なムーブメントだと思いますし、いまの時代の必要だと思うので、(選出されて)光栄です」と同部門での上映の喜びを口にしつつ「複雑な気持ちもあって、あえてウィメンズ・エンパワーメント部門をつくって女性を応援しようという世の中の状態なんだなと感じるので、こういう状況がなるべく早く変わっていくといいなという気持ちも同時にあります」と思いを語る。

岸井も、自身が女性の監督やスタッフと作品づくりをする機会が多いことに触れつつ「みんな、すごくたくましいんですが、“ウィメンズ・パワー”というより、その人“個”のパワーがすごく強いなと思っていて、ウィメンズというところをあまり気にしてはいなかったんです」と性別ではなく個人として相手と向き合うことが大切である、と述べた。

また自身についても「たくましく生きています(笑)! それがこの映画を通じても見えてくると思いますし、(同部門に)選出されたことは嬉しいですし、背中を押すような作品だと思いますがが、男女がというよりパワーそのものを見出していただけたらと思います」と呼びかける。

宮沢は、映画の現場でも女性スタッフが増えていることに言及。

本作では、妻のサチが弁護士として外で働き、タモツが家で育児をする姿も描かれるが「僕たちはそれが正解だと伝えたいわけではなく、夫婦やパートナー、恋人、家族がそれぞれの正解、幸せを見つめるための形を探し出してほしいので、そういう意味で、この部門にノミネートされたことはとても嬉しいです」と作品に絡めて語った。

『佐藤さんと佐藤さん』は2025年11月28日より全国公開。