三宅唱監督最新作『旅と日々』がロカルノ映画祭で快挙! 最高賞とヤング審査員賞をW受賞

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(C)2025『旅と日々』製作委員会
(C)2025『旅と日々』製作委員会

授賞式には三宅監督のほか、主演のシム・ウンギョンと共演の河合優実も登壇

三宅唱監督の最新作『旅と日々』が、スイス・ロカルノで開催中の第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門で、最高賞の金豹賞グランプリとヤング審査員賞をW受賞。三宅監督をはじめ、主演のシム・ウンギョン、共演の河合優実から喜びのコメント動画が到着した。

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つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、主人公の旅と旅先での出会いを描く本作。脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先でのべん造(堤真一)との出会いをきっかけに、人生と向き合っていく過程を李本人が綴っていく物語だ。

うだつの上がらない脚本家の李は、ひょんなことから訪れた雪荒ぶ旅先の山奥でおんぼろ宿に迷い込む。雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。“べん造”と名乗る、やる気の感じられない宿主。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。しかし、べん造にはちょっとした秘密があるようだ。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった…。

キャストには、韓国出身ながら日本映画界に不可欠な俳優であるシム・ウンギョンを主演に、べん造役に映画、テレビ、舞台と縦横無尽に活躍する俳優・堤真一、渚役を2024年に数々の映画賞を獲得した河合優実、夏男役を『流浪の月』(22年)に出演し注目度の上がっている髙田万作。そして、つげ作品に欠かせない俳優・佐野史郎が1人2役で花を添える。

監督を務めるのは、『ケイコ 目を澄ませて』(22年)『夜明けのすべて』(24年)など、作品を発表するごとに国内の賞を席巻し、これまでベルリン国際映画祭に3作が出品されるなど、世界中で注目を集める三宅唱。原作であるつげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を見事な手腕で現代的にアップデートする。

第78回ロカルノ国際映画祭の授賞式は、8月16日に開催された。若い審査員たちが選ぶ作品賞であるヤング審査員賞の授賞式には、三宅監督とともにシム・ウンギョン、河合優実も登壇した。

(C)Locarno Film Festival / Ti-Press
(C)Locarno Film Festival / Ti-Press

壇上で三宅監督は「真剣に映画を味わってくれて、それを言葉にしてくれて本当に嬉しいです。ありがとうございます!」と審査員の若者たちに感謝を述べた。

シム・ウンギョンは韓国語でスピーチしたのち、日本語でもスピーチ。「華やかなこのロカルノ国際映画祭を通して『旅と日々』がさらに広がっていくといい」と今後の展望を語った。

河合は流暢な英語で挨拶した後、「シンプルだけど豊かな映画。今の世界と対話している映画だと感じた。ロカルノ映画祭の皆さんが受け取ってくれたことに感動した」と作品の手応えを語った。

■第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門審査員長リティ・パンによる本作授賞式での評

最高賞を獲得した作品について。この作品は非常に繊細で、見る者を心に響く物語へと引き込みます。映像の美しさが人生の儚さと強さを映し出しています。物語は巧みに演じられており、ひとつひとつの場面が深い感情を呼び起こし、胸を打つ体験を提供してくれます。

■ヤング審査員特別賞選出の評

我々がこの作品を選んだのは、それが「2つの季節」を描写すると同時に、「2つの相反する世界」を語っているからです。そこでは環境そのものが物語の能動的かつ不可欠な要素となっています。

前半では、脚本家は理想化された人生観に結びつく、夏の雨に濡れる海を描き出します。後半では、冬の山が舞台となり、社会の片隅で閉ざされた生き方をする山小屋の主人との関わりをはじめ、より現実的で時に困難な人間関係に直面していきます。

丁寧に構築された映像と、夏と冬の鮮烈な対比は、場所というものがどのように登場人物を形づくり、彼らの選択に影響を与えるのか、そして人生の脆さやリアルな側面をいかに浮かび上がらせるのかを物語っていました。

『旅と日々』は2025年11月7日より全国公開。