『侍タイ』山口馬木也が語る“愛の体現者”桂子・ハーンの姿とは?「身近にある愛みたいなものに気づくことができた」
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実在の戦争花嫁を描く感動作『War Bride』、池袋で上映&舞台版も開幕へ
1951年に20歳で米軍の兵士と結婚して海を渡り、差別や偏見と闘いながら激動の時代を生きた桂子・ハーンの人生を描いたドキュメンタリー映画『War Bride 91歳の戦争花嫁』が、池袋シネマ・ロサにて上映中だ。8月2日には舞台挨拶が開催され、山口馬木也、福山絢水、川嶋龍太郎監督が登壇。山口と福山は、映画を原案とする舞台『WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』(8月5日より上演)に出演する。
池袋シネマ・ロサは、山口が主演し、社会現象となった映画『侍タイムスリッパー』(23年)を発掘した劇場である。久しぶりにシネマ・ロサに凱旋登壇した山口は、映画について「桂子さんの存在が本当に愛を体現している方。同時に、この方を育てた父親を(舞台版で)演じると思うとドキドキします。桂子さんはアメリカから多くの影響を受けたと思うんですが、同時にアメリカの人々も、桂子さんから大きな影響を受けていった。その過程を見て、桂子さんのことを近くに感じることができました。彼女の存在で、自分も身近にある愛みたいなものに気づくことができて、大袈裟じゃなく、そういう体験をさせてもらい感謝しております」と話した。
福山は「私はこの作品で“戦争花嫁”という存在を初めて知りました。学生の時に長崎で、被爆された方のお話を聞く機会などがありましたが、日常の中では、戦争というものになかなか触れる機会が少なくなってしまっていた。その中で、この作品を見て、私がもしこの時代に生きていたらどう生きていたのか? どう行動していたのか? というのを改めて考えさせられました。桂子さんの生き方、そして国境を越えて愛を貫く姿に心を打たれました」と、映画を見た思いを語った。
舞台挨拶は、川嶋監督が進行する形で進んだが、その中で山口から川嶋に「長年テレビドラマを作っていた川嶋さんが、なぜこのドキュメンタリー映画を自分で撮ろうと思ったのか。そしてドラマではなく、舞台を作ろうと思った理由を聞きたいです」と逆質問が。
川嶋監督は「私は桂子の甥です。アメリカにいる桂子には子どもの頃に会って、海外で成功した裕福なおばさまという印象で、それ以来30年以上会う機会がありませんでした。2021年に、広島で行われた戦争シンポジウムに桂子がオンラインで登壇することを知ってそれを視聴し、初めて桂子の人生を知ったのです。自分は彼女のことを全く理解していなかった。横浜大空襲で被災し“戦争を憎んでいます”と涙ながらに語る姿を見て、これを伝えていかなくてはと思いました」と回答。
続けて「桂子の人生は、95年間ずっと地続きで時代を生きてる方のストーリーで、戦後の時代にアメリカの軍人と恋愛をして、結婚して困難も乗り越えたという表面的な話ではなく、真実の愛の物語です。今年の8月は戦後80年にあたります。その時に、劇場という場所に集まって、目の前で熱い演技や涙を流してる人を見てほしい、そして、なんで今も世界中に戦争が起きてるんだろう、というのを感じてほしいと思ったのです」と、映画を作ることに決めた経緯と、舞台化への強い思いを明かした。
まもなく開幕する舞台について、山口は「はじめに台本を読んだときには、その当時、アメリカ人の方と結婚をさせて渡米させるっていう桂子さんの父親の心理が全く理解できなかった。実際に桂子さんとお話しする機会をいただいたので聞いてみると、お父さんはいいよって、OKって言っただけだったと。その心理がわからず苦労していたのですが、稽古が始まって、桂子役の奈緒さん、夫のフランク役のウエンツ瑛士さん、共演者の皆さんを見ていたら、おのずと答えが出ました。皆さん素晴らしくて、奈緒さんが本当の桂子さんに見えて振り向くような瞬間もあるんです」と、稽古でのエピソードを紹介。
さらに「僕は稽古場からもう何度も涙しています。戦争も描かれていますが、すごく温かいお話になっています。感じたものをまた家に持ち帰って、みんなで考えてもらえるきっかけになったらいいなと思います。この舞台をお客様と一緒に呼吸しながら作っていって、成長させていけたらいいなと思っています」と、抱負を語った。
福山は「私は桂子の娘を演じますが、奈緒さんが本当にお母さんに見えて、ウエンツさんがお父さんに見えて…。桂子さんからお話を聞いた、その家族に私が入ったような、愛のぬくもりを体感しています。それが皆さんにも劇場で伝わればと思っています。本読み初日から、ワンシーンで1時間、2時間くらい意見を交わして、なぜこのセリフを言うのか、なぜ今ここでこの役が来るのか、本当に一つ一つ丁寧に仕上げています。稽古中はすごく素敵な日々を過ごさせていただきました。戦後80年経って、環境や時代は違えども、今こうして1人の人間として生きている皆さんに、何か一つでも受け取れるものがあると思う作品です。一緒に体感していただけたらなと思います」と話した。
最後に、川嶋監督が「戦後80年というタイミングに、今日来ていただいた皆様のご家族、おじいちゃんおばあちゃんからお子さんまで、なぜ世界中で戦争って起きているんだろう? と考えるきっかけの一つになったら嬉しいと思っています。その想いでドキュメンタリー映画と、舞台も制作しておりますので、皆様で見ていただけるとありがたいです」と力強いメッセージを語り、舞台挨拶を締め括った。
『War Bride 91歳の戦争花嫁』は池袋シネマ・ロサにて現在上映中、2025年秋より全国順次公開。
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