「性の解放の闇」を描いた映画にあった闇『ラストタンゴ・イン・パリ』の生贄となった女優の生涯を描く衝撃作
ベルナルド・ベルトルッチ監督の最大の問題作『ラストタンゴ・イン・パリ』の撮影の裏側と、その撮影で一生消えない傷を負った女優マリア・シュナイダーの人生を描く映画『タンゴの後で』の場面写真が解禁となった。
・過激な性描写シーンでトラウマに…「70年代最大のスキャンダル」と言われた作品の裏で一体何が起きていたのか?
『ラストタンゴ・イン・パリ』が残した深い傷
1970年に公開された『暗殺の森』で世界中の批評家から大絶賛されたベルナルド・ベルトルッチ監督が、「性の解放の闇」を描いた『ラストタンゴ・イン・パリ』。そのヒロイン、当時19歳のマリア・シュナイダーが与えられた苦しみを描いたのがこの『タンゴの後で』だ。
マリア・シュナイダーは新進気鋭の監督ベルナルド・ベルトルッチと出会い、『ラストタンゴ・イン・パリ』のヒロインに抜擢される。
妻に自殺された中年男をマーロン・ブランドが演じ、彼の逢瀬の相手となる若いジャンヌの役——だったが、過激な性描写シーンがあるとは聞かされてはいなかった。
それらのシーンはマリアに衝撃を与え、映画公開後におこった世論からの非難と侮蔑の視線にマリアは必死に反論するも、彼女の声が届くことはなかった。
“70年代最大のスキャンダル”で失意のどん底に突き落とされ、薬物依存に陥りながらも、演じることを続けたマリアだったが、2011年に58歳で闘病の末に亡くなった。
その終焉に立ち合った彼女のいとこ、ヴァネッサ・シュナイダーは、2018年に『あなたの名はマリア・シュナイダー :「悲劇の女優」の素顔』(早川書房・刊)を執筆した。
マリアの人生を、本人、家族、そして最後までマリアの味方となったアラン・ドロンやブリジット・バルドーの言葉、後年のベルトルッチの謝罪やブランドとの信頼関係にも言及している。
#metoo運動がおこる中でマリアのインタビューが掘り起こされ、届かなかった彼女の叫びと訴えに注目が集まった。
彼女の復権とエンタメ業界の問題の改善が取り組まれているなかで作られたのが、本作だ。
主人公マリア・シュナイダーを演じるのは、10歳で映画デビューし、『ヴィオレッタ』や『あのこと』で注目を集め、今年公開された『ミッキ―17』に続き話題作への出演が続くフランス映画界の若きスター女優、アナマリア・ヴァルトロメイだ。
そして、マーロン・ブランドを演じるのは、『アウトサイダー』で多くの映画ファンを魅了し、その後も様々な役柄を演じるマット・ディロンである。
ブランドは自身のアイドルだったと公言するディロンは、撮影後に「どうしてこんなことができたんだ」と話している。
ベルナルド・ベルトルッチ監督をイタリアを中心に活躍するジョゼッペ・マッジョが演じ、トラウマで心身ともに病んでいくマリアをパートナーとして支えるヌールをセレスト・ブランケルが務め、一途にマリアを守る姿が胸を打つ。
また、『さよならモンペール』や『素足のマリー』で初々しい笑顔を見せていたマリー・ジランと、『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』や『ふたりのマエストロ』のイヴァン・アタルがマリアの両親を演じている。
『タンゴの後で』は2025年9月5日より全国公開。
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