小栗旬「日本を離れていた時期で海外にいたので…」 『フロントライン』ジャパンプレミアでロックダウン当時を振り返る

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『フロントライン』
(C)2025「フロントライン」製作委員会
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豪華キャスト集結、立場の違う役どころから見たそれぞれの“最前線”を語り尽くす

『フロントライン』ジャパンプレミアが開催され、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森七菜、桜井ユキ、関根光才監督が登壇。本作への参加を決めた想いや、立場の違う役どころから見たそれぞれの“最前線”を語り尽くした。

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本作では、2020年2月に横浜港に停泊していた豪華客船で新型コロナウイルスの集団感染が確認され、未曾有の事態に災害派遣医療チームDMATが対応にあたる姿が描かれる。2020年当時のことを小栗は、「この時は日本を離れていた時期で海外にいたので、ロックダウンの状況で過ごすことを余儀なくされていて。日本のニュースを見ていると、この船が入港する姿が取り上げられていたり、物凄く不安のなかにいた事を覚えています」と振り返る。

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横浜に行く機会があり実際にダイヤモンド・プリンセス号を見たという池松は、「光景としてすごく残っています。本当に静かな海にウソみたいにキラキラしていた船を見て、これが報道されているダイヤモンド・プリンセス号かと思いながら見ていたんですけど。報道されている船内の状況とその光景のギャップに感情が追いついていかなかったですね」と明かした。

実際に起きたことを真実に基づいて制作された本作では、キャストがそれぞれ演じたキャラクターにモデルとなる人物が存在する。そのうえで今回の役作りについて問われると小栗は、「もちろんモデルの先生方がいらっしゃいますが、今回は実在する先生になるというよりは、役を通して彼らが受け取ったもの、体験したことを表現していく形だった。その当時経験されたことを僕らにも話してくれて、どんな想いで向き合っていたのかというのをお聞きして、DMATが一番にどんなことを選択していったのかを確実に大切にしながら結城という役をやっていこうと思っていました。実際に阿南先生の聴診器で診察するシーンもあり、いろんな事をサポートしてもらいました」と答えた。

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松坂は「僕が演じた立松は、批判はされるけど評価はされにくい仕事と言いますか、いろんなプロセスを踏んでジャッジをしていかなければならないという周りには伝わりにくい仕事なんですけれども。今回の出来事との向き合い方をちゃんと提示したいと思って大事にしました」と語った。

船内で患者の対応にあたる医師・真田春人役を演じた池松は、「当時乗り込まれたDMATの方が常に現場にいてくださって、真摯に現場を見守ってくださってとても助けになりました。医療従事者の役ということで、5年前の感謝、日ごろの感謝を含めて、大袈裟かもしれないですけど、捧げられるような役にしたいと思ってました」と強い気持ちを明かした。

豪華客船のクルー・羽鳥寛子役を演じた森は、「モデルの方が『私たちの仕事はお客様が下船する時にいつも通りの笑顔で帰っていただくこと』とおっしゃっていて、こういうピンチな時に考え直さないといけないことだなと思いましたし、日頃から考えるようになりました」とコメント。

報道記者・上野舞衣役の桜井は、「上野というのは一番視聴者に近い目線の役なので、そこは大事にしたいと思っていました。それでも、ここにいる皆さんの命を削った試行錯誤するようなシーンをたくさん読ませていただくと、どうしてもそちらに引っ張られてしまって、上野という立ち位置の落としどころの難しさがありました。上野は報道マンとしての正義を通して作品を立体的に見せる一つのパーツだったと思いますし、皆様に真実をお伝えする側の揺らぎを意識していました」と役作りの難しさを明かした。

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船内で指揮をとる仙道行義役の窪塚は、「モデルの近藤先生とお話させていただいた時に『今も能登です。空いてたら訓練してます』とおっしゃっていて。名もなきヒーローたちが命をかけて支えてくれているんだとこの映画を通して伝えられると思うんですよね。あきらめた人があきらめる人を作ると思っていて、乗船していた人全員があきらめなかったということだと思います」と答えつつ、「命よりも大事にしないといけないものは、何だっけ…」と小栗にヘルプを求めると、小栗が「人道的なことだね」とフォローし、旧知の仲を演じる2人らしいやり取りをみせる場面も。

関根監督は一番苦労した点として、「事実を曲げないことを大事にしていた。膨大な取材のもと事実を丹念に積み上げていく、フィクションを凌駕していく時代に生きてると思います。キャラクター造形まで事実が入っていたりして、気づかれないように演出するというか。モデルの方がいるんですけど、それに近づけるのではなくて、皆さんが皆さんとしてその場に立っていたらどんな行動をとっていたかを撮りたくて、ある種のドキュメンタリーを意識しながら皆さんを見ていました」と制作の裏側を語った。

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最後に、登壇者を代表して小栗が「みんなで良いこといっぱい言っちゃったので、すごい期待高まってるかもしれないけどちょっとハードルを下げて見はじめていただけたらと思います(笑)素晴らしい作品をご覧いただけると思いますし、今日初めて見てもらえることを嬉しく思います」と挨拶しイベントを締めくくった。

『フロントライン』は2025年6月13日より全国公開。