『ビフォア』シリーズのリチャード・リンクレイター監督が辿り着いた原点、映画愛を刻む『ヌーヴェルヴァーグ』

#ゾーイ・ドゥイッチ#ヌーヴェルヴァーグ#リチャード・リンクレイター

(C)JeanLouisFernandez
『ヌーヴェルヴァーグ』
『ヌーヴェルヴァーグ』

1959年の青春と創造の熱、映画が生まれる瞬間へのオマージュ

『6才のボクが、大人になるまで。』(14年)、『ビフォア』シリーズのリチャード・リンクレイター監督最新作『ヌーヴェルヴァーグ』が、7月に劇場公開されることが決定した。本作より場面写真とメイキング写真、海外予告編を紹介する。

・『6才のボクが、大人になるまで。』がニューヨーク映画批評家協会賞最多3部門受賞

本作は、『スクール・オブ・ロック』(03年)『6歳のボクが、大人になるまで。』『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(95年)から続く『ビフォア』シリーズで知られるリチャード・リンクレイター監督の最新作。1959年、ジャン=リュック・ゴダールと、彼の長編デビュー作にしてヌーヴェルヴァーグ=「新しい波」と呼ばれる当時の革新的な映画運動の記念碑的作品となった『勝手にしやがれ』(60年)の製作過程を、フランス映画界を代表する映画作家たちとの活気あふれる交流とともに描いた物語だ。

『ヌーヴェルヴァーグ』

(C)JeanLouisFernandez

学生時代にヌーヴェルヴァーグに夢中になり、その自由な撮影スタイルと姿勢から大きな影響を受けたというリチャード・リンクレイター。本作について「10年以上前から温めてきた企画」だと語り、『勝手にしやがれ』のスタイルに倣い、アカデミー比率(1:1.37)の白黒映像で撮影。リンクレイターにとって初の試みとなる、全編ほぼフランス語で制作した。

キャスティングも大胆で、監督作『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(16年)に出演したゾーイ・ドゥイッチを除き、ほぼ無名の俳優陣で構成。リンクレイターは、「観客に“1959年の若者たちと一緒に映画を作っている感覚”を味わわせるには、既視感のないキャスティングが不可欠だった」と語る。

本作の主人公である、当時29歳のジャン=リュック・ゴダール役には、写真家・モデルとして活動していたギヨーム・マルベックを起用。フランス映画界を代表する俳優ジャン=ポール・ベルモンド役をオーブリー・デュラン、ヌーヴェルヴァーグを支えた撮影監督ラウル・クタール役をマチュー・パンシナが演じるほか、フランソワ・トリュフォー、クロード・シャブロル、シュザンヌ・シフマン、ジャック・リヴェット、エリック・ロメールといった映画人たちも、ほぼ無名の俳優が演じている。

前出のゾーイ・ドゥイッチは、『悲しみよこんにちは』(57年)で脚光を浴び、『勝手にしやがれ』(60年)で世界的スターとなったジーン・セバーグ役を担当。また製作には、記者・プロデューサーとしてゴダールと親交があり、『ゴダールのリア王』(87年)にも出演した経歴を持つミシェル・アルベルシュタット(ミシェル・ペタン)が参加。プリプロダクションから撮影、編集に至るまで、フランス語ができないリンクレイターを全面的にサポートした。

『ヌーヴェルヴァーグ』

2025年カンヌ国際映画祭に正式出品され、大きな注目を浴びた本作。手ぐすねを引いて待ち構えていた批評家も多い中、会場では熱狂的な歓迎を受け、「“これぞリンクレイター”な映画の新しい形」(CinemaTeaser)、「映画へのピュアな愛の証」(Libération)、「映画を革命した若者たちを描く、まばゆいほどの青春のポートレート」(L’Humanité)と称賛された。

また、ヌーヴェルヴァーグに大きな影響を受けた映画作家のひとりであるクエンティン・タランティーノも、カンヌでの公式上映で本作を2度連続で鑑賞し、大絶賛。友人でもあるリンクレイターを現地で称えた。

さらに、ジャン=リュック・ゴダールが当時在籍していた歴史的映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」も本作に賛辞を寄せ、2025年のベスト映画TOP10(第8位)に選出。2025年の映画賞にも数多くノミネートされ、アカデミー賞最大の前哨戦とされる2026年ゴールデン・グローブ賞では、作品賞〈ミュージカル・コメディ〉部門にノミネートされるなど、受賞への期待が高まっている。

今回紹介するのはメイキング写真と場面写真。メイキング写真には、テラス席でリンクレイターとゴダール役のギヨーム・マルベックが肩を並べ、頬杖をつく姿が収められている。2人の背後に写る文字は「A bout de souffle」──『勝手にしやがれ』の原題名を冠したレストランだ。

一方、場面写真が捉えているのは、ジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグが『勝手にしやがれ』を撮影している最中のワンカット。その後、映画史に名を刻むこととなる名場面を切り取ったものとなっている。

あわせて海外版予告編も解禁された。いまでは偉大な映画人として知られる彼らが、まだ何者でもなかった頃、映画への夢を胸にヌーヴェルヴァーグを駆け抜けた──若者たちによる新たな時代の幕開けが、鮮烈に映し出されている。

リンクレイターは本作について、「これは『勝手にしやがれ』のリメイクではない。1959年にカメラを持って飛び込み、時代、人々、空気を再現したい。ヌーヴェルヴァーグの連中と一緒に過ごしたい。映画が作れると信じさせてくれた人々『映画を作るべきだ』と確信させてくれた人々へのラブレターだ」と語っている。

『ヌーヴェルヴァーグ』は2026年7月公開。