恋と別れの狭間で揺れる少女たちの夏――韓国文学×アニメの融合『The Summer』が映し出す心の光と影

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『The Summer/あの夏』
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『The Summer/あの夏』
『The Summer/あの夏』

少女たちの恋心とすれ違いを描く新鋭監督作に、日本の各界著名人が感動を語る

韓国アニメーション映画界を牽引する新鋭ハン・ジウォン監督による長編作品『The Summer/あの夏』から、日本語吹替版の本編映像が解禁。2人の少女の恋が動き出す印象的なシーンとなっており、各界著名人からも絶賛コメントが寄せられている。

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原作は、第51回韓国日報文学賞を受賞したチェ・ウニョンの短編集「わたしに無害なひと」に収録された短編「あの夏」。Netflix初の韓国アニメ作品『あの星に君がいる』(25年)で注目を集めたハン・ジウォン監督がメガホンを取る。日本語吹替版では、主人公イギョン役を内田真礼が、イギョンの恋人スイ役を伊瀬茉莉也が担当する。

地方の高校で出会ったイギョンとスイ。2人の運命的な出会いは、グラウンドから始まる。運動場を歩いていたイギョンは、スイが蹴ったボールに当たってしまい、メガネを壊してしまう。そんな偶然をきっかけに、2人は少しずつ惹かれ合っていく。

『The Summer/あの夏』

高校卒業後、2人はソウルへ移住。イギョンは大学へ、スイは社会へと進む。異なる道を歩むなかで、新たな喜びとともに、予想もしなかった葛藤や、目を背けられない“違い”が浮かび上がっていく——。

日本語吹替版の本編映像は、サッカー部のスイが蹴ったボールに当たってしまったイギョンが、帰り道に付き添ってくれたスイの微笑みを思い出し、胸を高鳴らせるシーンから始まる。翌日、イギョンの様子を気遣って教室を訪ねてきたスイは、「具合はもう大丈夫?」と声をかけ、イチゴ牛乳を手渡す。「その週は毎日イチゴ牛乳が届いた」というイギョンのモノローグに続き、毎日のように彼女を訪ねてくるスイの姿が描かれる。

『The Summer/あの夏』

少しずつ惹かれ合っていく2人の想いを映すように、イギョンの自宅の机には、花が生けられたイチゴ牛乳のパックがひとつ、またひとつと増えていく。“青春の夢”をテーマに、繊細な感情描写と瑞々しい映像を届けてきたハン・ジウォン監督。その演出力が光る、印象的な一幕だ。

さらに、各界から本作への応援コメントも続々と到着している。NHK連続テレビ小説『なつぞら』のオープニングアニメを、当時22歳という若さで手がけた日本の新鋭アニメーター・イラストレーターの刈谷仁美をはじめ、原作小説「あの夏」を含むチェ・ウニョン作品の翻訳を手がけてきた翻訳家・古川綾子、同作が収録された書籍「わたしに無害なひと」の編集者・斉藤典貴、さらに映画宣伝ウォッチャーのビニールタッキー、アニメ映画ライターのネジムラ89、本作のパンフレットに寄稿した映画文筆家・児玉美月らが、アニメーションと文学の垣根を越えて絶賛の声を寄せている。

『The Summer/あの夏』

また、8月15日の初日より入場者特典として、韓国版ポストカードの配布が決定した。イギョンとスイが過ごしたかけがえのない “あの夏” の一瞬を切り取ったポストカードは、全国の上映劇場にて数量限定で配布となる。

■刈谷仁美(アニメーター、イラストレーター)

日常の中での感情の機微がとても繊細かつ丁寧に描かれている作品だと感じました。登場人物の表情の芝居のアニメーションが細かくて、シンプルな絵柄と背景の色彩の美しさに惹き込まれました。1本の映画を作り上げるのはとても凄いです! 尊敬します!

■古川綾子(原作翻訳者)

戸惑い、恋心、葛藤、すれ違い。イギョンとスイの繊細な心の動きが手の描写から伝わってきて、アニメの美しさに圧倒されると同時に、結末を知っているのに何度も胸が苦しくなりました。二度と戻れないから永遠に瑞々しい「あの夏」を、ぜひお楽しみください。

■ビニールタッキー(映画宣伝ウォッチャー)

少女たちの長くて短い夏の物語。時に重なり合い、時にすれ違う2人の恋愛はどこまでも詩的で淡く切ない。後に人生を振り返った時に「忘れられないあの夏」となるであろうかけがえのない日々を夏の眩い光と優しい風が包んでいた。

■ネジムラ89(アニメ映画ライター)

このアニメーションの中には光が描かれている。眩しいけれども決して熱を帯びていない。そんな心地よい陽が射した風景は、懐かしくてとても清々しかった。だからこそ、見終わった後にはそこにあったはずの陰(かげ)のことを思わずにはいられなかった。

■斉藤典貴(編集者)

大人になりゆく途中にはさまざまな出来事が起こり、避けようもない苦痛だって経験する。なかでも失恋の痛みは必ず。イギョンとスイが過ごしたふたりの大切な日々が、鮮明な風景となって、忘れかけていた私たちの記憶を揺さぶる。

■児玉美月(映画文筆家)

映画はふたりの出逢いの瞬間からはじまる。スイの蹴ったボールによってイギョンがかけていた眼鏡は吹き飛ばされ、露わになったその目でスイと視線がかち合う。風に揺れる青々とした葉がイギョンの恋に落ちゆく心情を形象化し、瑞々しい初恋の記憶に、ハン・ジウォンの手がけるアニメーションが息を吹き込む。(パンフレット寄稿文「その飛翔にやがて手が届くまで」より冒頭一部抜粋)

『The Summer/あの夏』は2025年8月15日より全国公開。