天才犬シンの名演技に注目! カンヌ映画祭W受賞の中国映画『ブラックドッグ』が感動を届ける

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『ブラックドッグ』
『ブラックドッグ』

撮影前に築いた2ヵ月の信頼関係がスクリーンで結実 人と犬が織りなす友情の物語

2024年のカンヌ国際映画祭で「ある視点部門グランプリ」と「パルム・ドッグ審査員賞」のW受賞を果たし、世界各国の映画祭で36以上のノミネート、15以上の受賞を重ねた中国映画『ブラックドッグ』。本作で“頭が良く、人に決して捕まらない野良犬”を演じた天才犬シンの驚くべき名演技5選を紹介する。

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本作は、人生に光を失った男が再び希望を取り戻す姿を犬との友情を通して描く、チャイナ・ノワールの系譜に連なる力強いヒューマン&ドッグ・ムービー。ロウ・イエやジャ・ジャンクーらに代表される中国映画ニューウェーブの新たな旗手、グァン・フーが監督を務める。

舞台は2008年北京オリンピック開催間際の中国。誤って人を殺めてしまった青年ランは長い刑期を終え、ゴビ砂漠の端にあるさびれた故郷へ戻ってくる。人の流出が止まらず廃墟が目立つ街には、捨てられた犬たちが野犬化し、群れを成していた。

ランは、自分を気に掛ける警官に誘われて地元のパトロール隊に参加する。ある日、群れには加わらず1匹で行動する黒い犬と出会う。頭が良く、人に決して捕まらないその犬とラン。“野良犬同士”の間に、やがて強固な絆が芽生えていく──。

『ブラックドッグ』

Eddie Peng, cast member of the film “Black Dog” speaks after the dog Xin won the Grand Prix Palme Dog award, during the 77th Cannes Film Festival in Cannes, France, May 24, 2024. REUTERS/Sarah Meyssonnier

パルム・ドッグ審査員賞は、カンヌ国際映画祭で上映された作品に出演した犬の中で、特に優れた演技を披露した犬に贈られる栄誉ある賞。映画祭最高賞「パルム・ドール」に敬意を表し、2001年に創設されたユニークな「パルム・ドッグ賞」の一部であり、最高賞に次ぐ名誉とされている。主に助演や複数の犬によるチーム演技を称える目的で贈られ、映画における犬たちの才能と、彼らが物語にもたらす深みを再認識させてくれる賞だ。

“頭が良く、人に決して捕まらない野良犬”を演じたシンは、オーディションでその才能を見出された経緯を持つ。撮影後、ランを演じたエディ・ポンに引き取られ、現在は彼と共に幸せに暮らしている。

『ブラックドッグ』

今回解禁された映像集は、シンの天才的な演技力を証明するものだ。カメラ目線をキープ――登録写真のために、カメラ目線を崩さないシーン。マーキングを上書き——なわばりに立小便した人間(ラン)の跡に、即座にマーキングを上書きするシーン。これについてグァン・フー監督は、「このわずかな場面を撮るために、20日近くかかりました。毎日、午前11時の同じ光の中で、2時間かけて撮り続け、ようやく理想的なシーンが完成した」と、撮影の苦労を明かしている。

お風呂をおねだり——体を洗うランを羨ましそうに見つめ、自分も洗ってもらうよう催促するような眼差しを向けるシーン。その後の気持ちよさそうなお風呂シーンが微笑ましい。仲間を助ける決意の演技——仲間を救うため、窓ガラスを破って屋内に侵入し、敵を威嚇する迫真のシーン。最後は、信頼の合図――ランが合図すると、自分の定位置であるサイドカーに乗り込むシーン。

これらの映像は、エディ・ポンとシンが共演者として深く信頼し合い、物語を動かす真の「俳優同士」であることの証明と言える。エディ・ポンとシンは撮影に入る前、2ヵ月もの間一緒に過ごし、信頼関係を築いていったという。パルム・ドッグの受賞式では、エディにエスコートされたシンが舞台上に登壇し、その絆を見せつけてくれた。

『ブラックドッグ』は2025年9月19日より全国公開。