声とはこんなにエロいものなのか……ことに及ぶ声、大蛸が海女を吸う擬音、『春画先生』を鑑賞する

#エロい映画#内野聖陽#北香那#安達祐実#春画先生#柄本佑#白川和子

『春画先生』
『春画先生』
(C)2023「春画先生」製作委員会
『春画先生』
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『春画先生』

新春におすすめ!? 浮世絵春画の描写を無修正で実現した話題作

今回のエロい映画コラムでは、浮世絵が題材の艶っぽい映画ということでどことなく新春にふさわしい、『春画先生』を取り上げたい。公開当時、そのインパクト大のタイトルに「一体どんなエロい内容なのか」と好奇心をくすぐられた人も多いのではなかろうか。なにを隠そう筆者もその一人である。本作は、全国公開の商業映画において日本映画史上初めて浮世絵春画の無修正描写を実現した。『春画先生』は果たしてどのくらいエロイのか、女性目線で紐解いてみたい。

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春画について教わる代わりに家政婦に!?_

内野聖陽演じる芳賀一郎は、通称“春画先生”と呼ばれるちょっと風変わりな春画研究者だ。行きつけの喫茶店でも堂々とテーブルに春画を広げて鑑賞に耽っていることから、ウエイトレス達からは変人扱いされている。

『春画先生』

(C)2023「春画先生」製作委員会

だが、ある日ウエイトレスの一人、弓子(北香那)が机上の春画に眼を奪われているのを見て取った春画先生は、「あなたは春画を性器の露出や交接を描いた猥褻画像とは思っていませんか?」と問いかける。そして、「もし春画のこともっと知りたかったら明日にでもうちに来るといい」と名刺を渡すのだった。

それをきっかけに、春画先生こと芳賀と弓子の交流が始まる。春画について教えを乞う代わりに週に数日先生宅に家政婦として通う、ということで交渉が成立。芳賀家には既に長年奉公している絹代という高齢の家政婦がいるが、その絹代役にかつて団地妻シリーズで一世を風靡した日活ロマンポルノの女王、白川和子をキャスティングした采配もなかなか粋である。春画先生を通して様々な春画を鑑賞するうちに、弓子はどんどんその魅力にはまっていく。

『春画先生』

(C)2023「春画先生」製作委員会

喘ぎ声をスマホで……とんだ辱めを受けた弓子だが

先生宅には、編集者であり弟子的存在の辻村(柄本佑)という男が頻繁に出入りしていた。どこかふてぶてしいうえにいかがわしさもあり、初対面の弓子にも妙になれなれしい。最初はあからさまに嫌悪感を露わにしていた弓子だったが、春画先生の使いで辻村とともに大学に資料を取りに行った帰りにバーに立ち寄り、酔った勢いで一夜を共にしてしまう。辻村との情事で、女性上位で喘ぐ弓子。その声が妙に色っぽい。ところが翌日、弓子は衝撃の事実を知る。春画先生のたっての要望で、辻村は昨晩ことに及んでいる弓子の喘ぎ声をスマホで中継していたのだった。

とんだ辱めを受けて激怒した弓子だったが、もはや春画先生への恋心は止められなかった。最愛の妻を亡くして以来女断ちをしている先生と結ばれる日はまだ遠そうだが、愛する先生が喜ぶならと辻村と情事を重ね、その後も喘ぎ声の配信は繰り返されることになる。声というのはこんなにエロいものなのか、と本作を通じて気付かされた気がする。

裸体の海女と大蛸が絡む春画を卑猥な口上を聞きながら

作中に登場する春画のインパクトもなかなかである。なかでも、裸体の海女に8本の足を絡ませて口淫する大蛸を描いた、北斎の「蛸と海女」は強烈だ。春画先生、弓子、辻村が出向いた春画鑑賞会では、この春画の余白にびっしりと書き込まれたなんとも卑猥な表現を口上で聞きながら鑑賞が行われた。

要約すると、大蛸が前から狙いすましていた憧れの海女を捕まえ、その名器っぷりをほめたたえながら喜んで吸い尽くし、一方、海女は腰砕けになるほど感じて喘ぎまくる…といったかなり濃厚な内容である。特に、蛸が性器を吸うさまを表現する擬音や海女の喘ぎ声といった音の描写が、赤面もののエロさなのだ。

ほっこり純愛と思いきや、強烈な女性が登場

ちょっぴり風変わりながらも春画先生と弓子のほっこりした純愛物語として幕を閉じるかと思いきや、後半では物語を予想外の方向に急転回させる強烈な人物が現れる。先生の死別した妻の双子の姉であり、元恋人の一葉である。

『春画先生』

(C)2023「春画先生」製作委員会

一葉演じる安達祐実の演技がまた凄い。詳細は伏せるが、鞭を振り上げ弓子や春画先生に毒づく姿は圧巻である。なぜそんな展開になるのか知りたい方は、作品を鑑賞していただければと思う。声のエロさといい春画のエロさといい、『春画先生』はエロ初めにはうってつけの作品といえそうだ。(文:春蘭/ライター)

無修正の浮世絵春画、葛飾北斎の「蛸と海女」も。その他の場面写真はこちら