『国宝』で“異形の美”を宿した田中泯、今度は禅僧として“無”を生きる──映画『黒の牛』が描く悟りの旅

#リー・カンション#坂本龍一#映画#田中泯#蔦哲一朗#黒の牛

『黒の牛』
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『黒の牛』
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リー・カンション主演、坂本龍一の音楽と共に紡がれる、生命と悟りの映画詩

リー・カンション主演、田中泯共演、第49回香港国際映画祭にて日本映画初の火鳥賞(グランプリ)を受賞した映画『黒の牛』より、本ビジュアルと予告編、場面写真を紹介する。

・リー・カンション主演、田中泯共演『黒の牛』の場面写真をすべて見る

禅に伝わる悟りまでの道程を十枚の牛の絵で表した「十牛図(じゅうぎゅうず)」から着想を得て制作された本作。「フィルム以外では映画を撮らない」と明言し、独自の映像哲学で映画制作を続ける蔦哲一朗監督が、全編をフィルムで撮影し、長編劇映画の撮影としては日本初となる70mmフィルムも一部で使⽤した。

急速に変わりゆく時代。住む山を失い、放浪の旅を続けていた狩猟民の男は、山中で神々しい黒い牛と邂逅する。男は抵抗する牛を力ずくで連れ帰り、人里離れた民家で共に暮らしはじめる。生きるために大地を耕しはじめた男と牛だったが、自然の猛威の前に、息を合わせることができない。しかし、ある禅僧との出会いをきっかけに、次第に心を通わせていく──。

『黒の牛』

ツァイ・ミンリャン作品のアイコンであり、自身も映画を監督している台湾の名優リー・カンションが、この世ならざるものの気配をまとい「牛と出会う者」を演じ、映画『国宝』で歌舞伎役者・⼩野川万菊役で強烈な印象を残し、先ごろ文化功労者にも選ばれたダンサーの⽥中泯が禅僧として出演。音楽には、⽣前本作の企画に賛同し参加を表明していた坂本⿓⼀の楽曲を使⽤し、場所や時代を超越した世界観をさらに深く印象づけている。

『黒の牛』

今回紹介するビジュアルは、映画本編で採用されたスタンダード(白黒)✕シネスコ(カラー)という2つの画面サイズで表現される世界を示唆するデザイン。リー・カンション演じる「私」が、自己という「牛」を探し、一体化するように横たわる白黒カットと、遠景に爆発が映り込むカラーカットで構成され、作品がまとうスケールと哲学性を鮮やかに提示する象徴的なビジュアルに仕上がった。題字は、ティザービジュアルに引き続きリー・カンションが手がけている。

『黒の牛』

予告編は、禅僧として出演する田中泯の「私は、何者でもありたい」というセリフから始まる。生前、本作への参加を表明していた坂本龍一による楽曲「20210310」(アルバム『12』収録)に、雨や雷、虫の声、牛の咀嚼音といった自然音が重なり、森羅万象の息づかいが静かに立ち上がる。35mmフィルムによる白黒映像が生む深い黒の階調に身を委ね、五感を研ぎ澄ませば、圧倒的な没入を予感させる仕上がりとなっている。

『黒の牛』

あわせて場面写真も解禁された。禅僧姿の田中や、リー・カンション演じる「私」と「牛」のショットなど5点となる。

『黒の牛』

また、映画公開を記念し、12月14日にスペシャルイベントの開催が決定した。現在、墨田区・牛嶋神社にて開催中の「映画『黒の牛』特別展覧 ― 牛嶋神社」の特別プログラムとして、本作に出演する今年の文化功労者にも選ばれ、『国宝』での演技が話題の田中泯が、その場所・空間に身をゆだねながら、即興的に生み出す「場踊り」を披露する。さらに、主演のリー・カンションが緊急来日し、田中泯、蔦哲一朗監督とともにトークイベントを開催。参加は映画『黒の牛』Xアカウント(@BlackOX_2025)をフォロー、固定ポストをリポストした方の中から抽選での招待となる。

『黒の牛』は2026年1月23日より全国公開。